VERY September 2022

VERY

September 2022

2022年8月5日発売

780円(税込)

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小児科医がすすめる【離乳食は買ってもいい!3つの理由】

インタビュー前半に続き、小児科医の工藤紀子先生に「頑張らなくてもいい離乳食」についてお話を伺いました。先生は市販のベビーフードにはメリットがいっぱいあると話します。もうヘトヘトになって離乳食を作らなくてもいい。普段から市販のベビーフードを使うとよい理由を教えていただきました。

工藤紀子先生 小児科専門医・医学博士。

小児科専門医・医学博士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。アメリカにて子育てを経験。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、インスタグラムや講演を通じて子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。

  お母さん=プロのシェフでなくていい

当たり前のことですが、第一子のお母さんの場合離乳食を作るのははじめてという人がほとんど。離乳食は、やわらかく煮て裏ごしするなど、大人の食事とは違う手間がかかるのに、母親なら簡単に作れるのが当たり前と思われているよう。もともと「お母さん」は栄養士でもシェフでもないのに、栄養満点のおいしいごはんを作れることを常に求められがちです。元気で時間があればできるかもしれませんが、出産後のお母さんの体は、離乳食を始めることの多い生後半年頃まだ回復していません。授乳や寝かしつけでまとまって眠れず疲労がたまっている人も多いです。そんな時期に離乳食という新しいタスクが増える。なのに「食べてくれない」「みんなちゃんと作っているのにできない」。そういう気持ちで離乳食を準備するのはつらいですよね。私がよく言うのは「まずお母さんがゆっくり、おいしいものをいただきましょう」ということ。子どもの食事には気を遣うのに自分の食事は立ったまま大急ぎで適当に済ませる人も多いです。自治体の育児支援施設では、比較的手頃な利用料でお子さんを一時預かりしてくれることも多いのでぜひ活用して、ゆっくりお食事タイムを是非。

 

離乳食は買ってもいい!3つの理由

1、衛生的でストックや持ち運びに便利

一般家庭の台所はいっけんきれいに見えても、雑菌へ配慮しながら毎回調理をし続けることは難しいものです。よく冷凍で作り置きできる離乳食レシピなどがありますが、解凍するときも中までしっかり火を通し直すなど気をつけなければいけません。市販のベビーフードは衛生管理された工場で生産され、無菌状態で充填されます。そのため防腐剤なしでも長持ちします。常温保存がきくものが多いので、お弁当にするときや災害時のストックにも便利です。

2、食べないときの心理的負担が少ない

前編でもお話ししましたが、離乳食ってなかなか食べてもらえないことが多いのです。食べないと、「私の作り方が悪いのかな」「せっかく作ったのに」と自分を責めたり落ち込んだりしてしまう人もいます。買ってきたベビーフードであれば「これは好みに合わなかったのかな」「別の商品も試してみようかな」で済むかもしれませんね。気持ちの負担を減らす意味でもベビーフードはおすすめです。

3、必要な栄養素が摂りやすい

栄養面に関して「ベビーフードで大丈夫なの?」と気にする方もいますが、さまざまな食材の離乳食を手作りで毎度用意するのは大変です。普段の家庭料理でも完璧な栄養バランスで作るのは至難の業。鉄や亜鉛、ビタミンD、カルシウムなどは、子どもの成長のために非常に大切ですが普段の食生活の中では不足しがちです。海外製ベビーフードは以前からあらかじめ必要な栄養素が強化されているタイプの商品がありましたが、日本のメーカーの製品でも鉄やDHAなど栄養素が強化された商品が増えてきました。

 

  ベビーフードは安全なの?と気になる人へ

──ベビーフードの安全性を気にする人もいます。オーガニック食材を使ったものやドラッグストアによく置かれているものなど価格もさまざまなのでどれを選ぶか迷うことも。

ベビーフードをいわゆる大人向けのインスタントやレトルト食品のようなものだと思っている方もいるようです。インスタント=体に悪いと言っているわけではありませんが、いま日本で販売されているベビーフードは、塩分量や添加物など、大人向けとは異なる別の厳しい基準をクリアしたものだけが販売されています。大手メーカーの商品など、企業のスケールメリットで価格が抑えられている商品もあるでしょうし、小規模のメーカーで素材にこだわって作るのであれば単価が上がることが多いでしょう。一概に高いからいい、安いからダメとはいえないと思います。

 

  約3割のお母さんが「料理嫌い」

──インスタなどではみんな見た目もきれいで栄養バランスもよさそうな料理を作っているので「私はダメだ」と落ち込んでしまう方も多いと思います。

そうですよね、落ち込みますよね。ただ、ある論文のアンケート結果によると約3割のママが「料理が嫌い」と回答しました。この数字を見るとちょっと勇気がわきませんか? 誰もが料理が好きで得意なわけではないはずです。私自身、料理は好きなほうでしたが、子どもの離乳食だけをせっせと作る作業はとてもつらかったです。離乳食づくりをはじめ育児では、なるべく人の手を借りて、困ったことがあったら小児科や自治体の育児支援センターなどに相談するのはいかがでしょう。「もしかしたらこれが原因かもしれない」と一緒に考えるだけでも、心の負担が少なくなるかもしれません。

離乳食の時期は、疲れもイライラもマックスになる時期。そんな大変な時期に、さらに大変な思いをして離乳食を手作りしなくてもいいんです!元気で頭のいい子に育てたいからこそ、「離乳食は作らない」。市販のベビーフードを活用し、離乳食作りから解放されれば、ママの笑顔が増えます。現役ママ小児科医が教える「作らない」離乳食の本。

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