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「離乳食は食べないこともある!」小児科医が心配しなくていい理由を解説

「離乳食作りが大変」「なかなか食べてくれない」。離乳食が始まると悩みはつきもの。VERY児童館でも頼りになるアドバイスをいただいた小児科医工藤紀子先生に、「頑張らなくてもいい離乳食」についてお聞きしました。先生はご自身の大学院での研究と育児経験から「離乳食は作らなくてもいい」と広く伝えています。その理由を聞きました。

工藤紀子先生 小児科専門医・医学博士。

小児科専門医・医学博士。 順天堂大学医学部卒業、同大学大学院 小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。 現在2児の母。アメリカにて子育てを経験。「育児は楽に楽しく安全に」をモットーに、年間のべ1万人の子どもを診察しながら、インスタグラムや講演を通じて子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。

 赤ちゃんは離乳食をそんなに食べない!

──「食べない」「進まない」「作るのが面倒」という離乳食の悩み。よくありますね。

お子さんの離乳食をこれから始めるという人たちに私が必ず言っているのが、「赤ちゃんは最初からそんなに食べない」ということです。最初から食べてくれたらラッキーだけれど、食べないのが当たり前くらいの気持ちでいたほうが後々楽です。食べないため離乳食はどうしても余ったりますし、こぼしてグチャグチャになったりします。大人の食事ならこぼすことも少ないですし食べきれない分は冷蔵庫に、で済みますが、離乳食はそうもいきません。せっかく作ったのに捨てるのはもったいないと罪悪感を感じる人も多いようです。そういう方にも、「離乳食は捨てることがあるものだと思っておいたほうがいいですよ」と伝えています。

 

 憂鬱だった離乳食の時間

──出産後、自治体の乳児健診や子育て講座で離乳食の始め方や作り方を教わることが多いです。

私も以前は手作りすること前提で保護者の皆さんに離乳食について話をしてきました。自分の子どもにも手作りで栄養バランスのよい食事を作ろうと思っていたのです。でも、実際に子どもが生まれ、離乳食を始めてみたら、全然食べてくれません。私は思い通りにいかない育児にイライラしていました。せっかく作った離乳食を食べないどころか吐き出して遊び、あたり一面ベチャベチャに汚されたときには、ついカッとなって子どものお尻を叩いてしまいました。自分がそんなことをするなんて……。今もその光景が脳裏に焼き付いているほどショックでした。昼間は子どもと家に二人きり。離乳食の時間が来るのが憂鬱で仕方ありません。こんなやり方ではいけないと同じくらいの月齢の子がいる友だちと一緒に離乳食を作ってシェアしたり、親子で外出する機会を増やして乗り切っていました。

 

 アメリカで「なんで手作りするの?」と聞かれて

──離乳食はお母さんが手作りすることが基本という雰囲気がありますね。

二人目は夫の仕事の都合でアメリカで出産しました。現地の小児科医に「そろそろベビーフードを始めたら?」と言われ、またあれを作るのか……と落ち込んでいると先生に「なんで作るの?買った方が衛生的だし、栄養もあるし、欲しいときすぐあげられるのに」と言われ、驚きました。今まで作るのが当たり前だと思っていたのに。最初にあげることをすすめられたのは欧米でポピュラーなお米で作られたベビーフード「ライスシリアル」でした。今まで離乳食でおかゆを作るときはお米をすりこぎですったり、裏ごししたりと手間がかかりましたがこれはスーパーで買ってきてお湯を注ぐだけです。あっという間にできました。子どもにあげたら、たまたまかもしれないけれど結構食べてくれたんですよね。楽だったし何より自分の心の負担がすごく少なかったです。上の子もいたので、食事を作るときにお味噌汁の具を取り分けてあげるようなことはありましたが、離乳食だけをわざわざ作るということはそれ以来しなくなりました。調べてみたらアメリカだけでなくイギリスでもオーストラリアでも中国でも、先進諸国の多くでベビーフードを使った育児をしています。なぜ日本は手作りが基本なのかと疑問でした。

 

 離乳食作りが大変で、泣き出すお母さんたち

──日本にもベビーフードは各種ありますが、「忙しいときや外出のときはベビーフードでもいいですよ」とあくまでも補助的に使うように言われることが多い気がします。

 

帰国後にふたたび小児科で仕事をするようになりました。そこには「離乳食を作るのがしんどいです」「食べてくれません」とポロポロ泣き出すお母さんがいたのです。「わかります、つらいですよね」と共感するだけではもどかしかったです。「離乳食を作らなくても、ベビーフードでいいんですよ」と言ってもなかなか伝わりません。「本当は作らなきゃいけないのに、私がダメだからベビーフードに頼ってしまう」という思考回路になる人も多いよう。外来ではなかなかゆっくりお母さんと話す時間がないので本を書きました。離乳食作りが楽しいという人はいいのですが、そうでない人は無理に作らなくても大丈夫、と言ってあげたいんですよね。日本では手作り神話というか、手作りにはお母さんの愛情がこもっていて素晴らしいとする傾向がある気がします。そのせいでお母さんたちは「ああ、今日もベビーフードあげちゃった」という気持ちになってしまう。とてももったいないことだと思います。私が言いたいのは、子どもと笑顔で過ごす時間を増やして、お母さん自身もハッピーな気持ちでいたほうがいいから、離乳食は作らなくてもいいということ。「ベビーフードを使っちゃった」ではなくて、「私はベビーフードで育児しています」と堂々と言える世の中になればいいなと思っています。

離乳食の時期は、疲れもイライラもマックスになる時期。そんな大変な時期に、さらに大変な思いをして離乳食を手作りしなくてもいいんです!元気で頭のいい子に育てたいからこそ、「離乳食は作らない」。市販のベビーフードを活用し、離乳食作りから解放されれば、ママの笑顔が増えます。現役ママ小児科医が教える「作らない」離乳食の本。

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