VERY September 2022

VERY

September 2022

2022年8月5日発売

780円(税込)

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コロナに対応できる人 不安に乗っ取られる人とは?元自衛隊メンタル教官の子育て戦略

新型ウイルスに対応できる人
不安に乗っ取られる人

 

――では、令和を幸せに生きるには?

 

身の丈に合った人生を送ることが幸せです。なにかを目指して頑張らせることはしなくていい。あと30年後には今ない職業が2/3になると言われています。親が知っている仕事は1/3しか残っていないわけですから。経済活動のほとんどはAIが担うし、生産性や効率ではAIには勝てません。家の中で上手に自分で自分を楽しませる、自己満足が上手な人が人生を楽しめると思います。
今、世の中は新型コロナウイルスの恐怖におびえていますが、これこそが未来の前兆です。コロナのような疫病は今まで何度も人類を襲っていますが、世界がこんなに反応したのはおそらく初めてでしょう。もちろん病気も怖いが、発達した情報化社会の動画やSNSによって、私たちは実態以上のストレスを受けています。このような新時代のストレスにうまく対応できる人と、不安に乗っ取られてしまう人に分かれているように思います。外出自粛で多くの人が自宅で過ごす時間が増えましたね。コロナのニュースばかりを追いかけて悶々する人と、仕方ないと腹をくくりゲームをしたりYouTubeを観たり気分を紛らわせられる人。
コロナはこれからまだ続きます。両者の違いは次第に大きくなってきます。

 

――自己満足がうまい人とは?

 

「これをやって何になるんだろう」など意義を求めずに好きなことに没頭できる人。今でいうオタクのような存在ですね。令和はゲームをしたりネットを見たり好きなことだけやっているオタクがちょっとアルバイトをする、みたいな生き方を楽しめる人が幸せになりますよ。

 

――それって、今は落ちこぼれと呼ばれる生き方ではないでしょうか。

 

そうですね。今は落ちこぼれが2割でちゃんとした人が8割ですが、その割合が逆転するイメージです。ほぼ、みんなが落ちこぼれます。

 

――どうしたら自己満足できる人間に育ちますか?

 

月並みな言葉ですが、好きなことをさせましょう。子どもは自分が好きなこと・ワクワクすることを自分で知っています。極力、その邪魔をしない。「ゲームばっかりしていないで宿題しなさい」と注意してしまいますが、それは生産性を上げる以外の欲求を怠惰とみなしているから。楽な方に流されているように感じている。こういう声かけを続けていると子どもは徐々に楽しんだらいけない、という思考になっていきます。今、カウンセリングをしていても、自分が何が好きか・何をしているときに楽しいのかさえ分からない人が本当に多いですね。自分が何をしたいのか考える機会さえなかったのでしょう。生産性や効率を重視する現代は楽しみを我慢して、休まず勤勉でいることが良しとされていたのですから。我慢をしてきた人は欲求がない人になるし、嫌だという感情が起きたときもそれをなかったことにしてしまう。ブラック企業で働いて鬱になる人の多くが、我慢する以外の対処法を知らずに破綻するまで我慢してしまう人です。子どもが就職先が合わなくて悩んでいたらなんと声をかけますか?

 

――自分が1年で会社を辞めているので、すぐに辞めなさい、と言ってしまうかも。

 

親には止められませんでしたか。

 

――母親は「3年は頑張ってみたら」と。

 

辞めたいと思っていても辞められない人は自分への信頼、いわゆる本当の自信が小さい人です。頑張ることをやめて、新たな自分になるのが怖い。親に相談しても、「もうちょっと頑張ってみなさい」とさらに我慢を強いられてしまう。親も同じ価値観なのです。こうなると、どう考えても辞めた方がいい状況でも辞められない。最悪、自殺に至ることもあります。今でこそ転職も当たり前ですが、以前は会社を辞めた=我慢できない人というレッテルを貼られていた。ひと昔前は離婚だって同じ扱いだったんですよ。時代によって規範意識も変わります。これからの感性・欲求の時代に勤勉で忍耐強い人はフィットしない。親が思ういい子―勤勉・実直・我慢の時代は終わりました。

 

――では、どんな子育てをしていけば?

 

従来型の子どもに我慢を強いる教育は、新時代を生きる才能が開発されにくいという弊害もあります。2割のやりがいのある仕事はAI研究と並んでエンターテイメントを生み出す仕事。楽しさや美しさを追求する感性が求められます。感性を養いたいなら子どもの気持ちを大切にしましょう。クリエイティブな仕事に就けなかったとしても、これからの時代は自分の気持ちを大切にできないと幸せになりにくい。でも、今の子育ては知らず知らずに子どもに我慢をさせています。
30分間、子どもとの会話を録音してみるだけで、子どもの感情を抑える言葉かけをけっこうしているはず。そうでなくとも、今は働く女性も増え、母親が忙しいし疲れている。聞き分けがいい、いい子でいて欲しい、と思っているのでなおさらです。

 

 

>>>親世代にできることは、自分の価値観を子どもに伝染(うつ)さないこと

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