入学式で意外と悩むのが、ママの服装。学校のカラーや地域に左右される部分もありつつ、“着物”を着る滅多にない機会ということで着物を選ぶ人も。とはいえ主人公は子どもたち。母親はどんな着物を選べばいいのか、またそもそも入学式に着てもいいのか、着物のプロの監修付きでお伝えします!
入学式に着物を着るのはあり?
晴れやかな場にふさわしい着物は、堂々と着てよし
着物はもともとお祝いの場にふさわしい装い。基本的には堂々と着て行ってよいものです。ただ、主役は子どもなのでどんな着物を選ぶかは注意が必要。また、着物を着ている方がどれくらいいるのか、どんな着物が多いかなどは、地域や学校によってさまざまです。できれば入学する学校の様子を、先輩から情報収集すると良いでしょう。
入学式に着るべき着物とは?
季節に合った、華美すぎず格式のあるものを
着物レンタルで人気の円居によれば、「着物の種類としては、『色無地』『江戸小紋』『付け下げ』『訪問着』の準礼装、略礼装がおすすめです。合わせる帯は、二重太鼓を結ぶことができ、式典にふさわしい格式ある『袋帯』を。名古屋帯はカジュアルなので基本的には適しません。季節の決まり事としては『袷(あわせ)』と呼ばれる裏地のついた着物となります。『絽』や裏地のない『単衣』は初夏〜初秋に着る着物です。ピアス(イヤリング)をつける場合は、一粒ダイヤやパールなど上品なものがおすすめです」(円居「」内、以下同)
色無地、訪問着、江戸小紋、付け下げとは?
●色無地とは…
柄のない、一色染めの着物のこと。卒入園だけでなく茶道やパーティ、七五三など幅広く使えます。家紋の数により格が変わり、非常に改まった式服の五つ紋、準礼装となる三つ紋、一つ紋は略礼装。紋のない色無地は、普段着と同様ですが略礼装として入学式にも着ていけます。
●訪問着とは…
式典や結婚式の参列など、おめでたい場にふさわしく、年齢や未婚既婚問わず着られる便利な着物。胸や袖など上半身にも模様が入っているのが特徴です。留袖に次ぐ準礼装・略礼装に当たります。
●付け下げとは…
訪問着が比較的豪華な柄のフォーマルな着物なら、付け下げは控えめな柄のフォーマルな着物。着物全体が一枚の絵のようになっている訪問着と違い、付け下げは柄が縫い目では繋がっておらず、飛び飛びになっているのが特徴。もともと訪問着の豪華さを控えめにする目的で作られたもので、格式としては訪問着より下、略礼装となります。結婚式やパーティでは訪問着、七五三や入学式など子どもの付き添いなら、控えめな付け下げが好まれることも。
●江戸小紋とは…
遠目で見ると、色無地にも見える細かい柄の入った型染めの着物のこと。色無地と同格として扱われ、紋や合わせ方次第でフォーマルからカジュアルにも対応できます。
入学式の母親の着物で注意するべき点は?
「着物だからと難しく考える必要はありませんが、洋装のフォーマルと同様に派手過ぎず格と季節感を合わせるようにしましょう。あくまでもお子さまが主役ということを意識していただければ、あとは自由に着物を楽しんでください」
バッグや草履、上履きなど小物選びは?
「バッグは小さめなもののほうがバランスが良いです。クラッチバッグやハンドバッグなど、和装用に限らず洋装用のバッグでも着物の雰囲気に合っていれば◎。学校からの配布物を想定し、折り畳めるサブバッグがあれば安心です。
草履は、白や淡い色合いで高さのあるものを。入学式では、草履を脱いで上履きに履き替えることがほとんどなので、上履き選びも重要です。足袋の色に近い白やベージュ系のヒールスリッパは全体のバランスも良く、足元の冷え対策にもおすすめです。底が薄い上履きの場合、着物の裾を床に擦ってしまう恐れがあるので要注意です」
卒園式・卒業式と同じ着物を着るなら?
「ご自身の着物をお持ちの場合は、同じコーディネートで全く問題ありません。もし変化をつけたい場合は、帯や帯揚げ、帯締めなどの小物を変えたり、ヘアスタイルを変えてみるのも良いでしょう。
着物をレンタルされる場合は、卒業・卒園式はシックな色合いの着物、入学式は春らしい色合いの着物というように全く違う着物を選ぶのもレンタルならではの楽しみ方です」
レンタル着物のおすすめ店
<着物レンタル 円居>
日本橋浜町に店舗もあり着付けもOK
試着も可能で、同じ着物でも一人一人に似合うコーディネートを提案してくれます。レンタルした着物は郵送のほか、予約すればお店でヘアセットや着付けも可能です。グレー地/おぼろ絞り七宝柄¥88,000
<着物興栄>
フルセット価格でリーズナブル
銀座に店舗を構えるレンタルショップ。なんと銀座での着付け料金も込みの価格で、「きものの女王コンテスト」(東京きもの新興会主催)で優勝したスタッフも常駐しています。訪問着※フルセットレンタル価格¥35,800
実際に入学式で着物を着た先輩ママをチェック!
着物だけでなく、セットや着付けも母に
「色や柄が入学式にふさわしい着物を、母の持っている中から選びました。独身時代に茶道をしていた時から、着付けも髪も母にお願いしていました。ヘアはシンプルイズベストの考えはいつも通り、でも入学式なので少しだけボリュームを出して華やかにしてもらいました。バッグは、エルメスのケリー28を。長女の入園前に出会いたいと願っていたところ、本当に入園の数カ月前に手に入れることができて感激。以来、卒園も入学式もケリーで通しています」(田中由香里さん)
髪型は画像検索してお願いしました
「着物はたくさん所有している母のものを借りました。娘が主役なので、派手すぎず落ち着いたピンクをチョイス。髪型は、華美にならないようにきちんとまとめたスタイルに。理想の髪型をネットで探し、着付けの方に画像をお見せして、似た感じに仕上げていただきました。バッグは書類を入れることも考え、エルメスのボリード31を持って行きました」(丹治志帆さん)
卒園式でも! 濃紺の付け下げをチョイス
<着物レンタル 円居>の狩野麻紀子さんは、卒園式&入学式両方で着物を着用。「保育園では着物は毎年 1 人 2 人しかいないとのことだったので、色は周りに合わせて濃紺のシックな付下げを。式典感を出すためにあまり色は入れず、シルバー系で統一し、パールの帯留とピアスを取り入れました。入学式は、卒園式とはガラッと雰囲気を変えて春らしい色合いで。柄が刺繍のみで施されていて上品な付下げです。小物はあまり色を入れすぎないほうがフォーマル感が出ると思います」(狩野麻紀子さん)
まとめ
入学式に着物を着るのは“あり”。着物はフォーマルな衣装として、堂々と着て臨んでよいものです。せっかくふさわしい着物を持っているなら、子どもと一緒に写真に撮れると、記念にも残りそうですね。また最近はネットで気軽にレンタルもできるようになりました。着物を持っていてもいなくても、レンタルするのも手かもしれません。
監修/着物レンタル 円居
取材・文/有馬美穂
よくある質問
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入学式に母親で着物を着ていってもいい?
着物はもともとフォーマルな衣装であり、お祝いの場にふさわしい装いの着物は堂々と着て行ってよいものです。
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入学式の母親の着物で注意するべき点は?
着物だからと難しく考える必要はありませんが、洋装のフォーマルと同様に派手過ぎず格と季節感を合わせるようにしましょう。あくまでもお子さまが主役ということを意識していただければ、あとは自由に着物を楽しんでください
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卒園式・卒業式と同じ着物を着てもいい?
同じコーディネートでも全く問題ありません。もし変化をつけたい場合は、帯や帯揚げ、帯締めなどの小物を変えたり、ヘアスタイルを変えてみるのも良いでしょう。