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【プラダ】実はサステナブル名品!「リナイロン」のバックパックが支持される理由

プラダのリナイロンのバックパック

手にするたびに高揚感に満ち、自信をくれる。私たちが信頼を置くブランドの名品は、改めてその歴史に触れることで一層愛着が湧いてきます。ファッション論が専門の平芳裕子教授とともに振り返る本連載。今月は「プラダ」の名品たる所以を紐解きます。

改めて歴史を知ることで伝わるスピリット
平芳裕子先生と
「読むラグジュアリー」

PRADA(プラダ)

「しなやかな感覚で最新テクノロジーを
巧みに取り入れ、社会問題と
ファッションに革新性をもたらす存在」

プラダのリナイロンのバックパック

サステナブルと高感度なファッションを両立させた新しい価値観「リナイロン」
タイムレスでいて今の空気を纏った、ブランドの代名詞ともいえるバックパック。持続可能な革新的素材Re-Nylonを使用し、フロントにアイコニックなエナメルメタルのトライアングルロゴを配置。同素材のポーチ付きで実用性抜群!
バックパック[リナイロン/H32×W30×D15cm]¥357,500(予定価格)(プラダ/プラダ クライアントサービス)

社会に対する眼差しを軸に、
既存の枠にとらわれない
チャレンジで新しい女性像を牽引

20年前に大ヒットを記録、煌びやかなファッションの最前線を描いたことでも注目を集めた映画「プラダを着た悪魔」の続編が先日公開され、話題を集めました。タイトルに「プラダ」を冠しているこの映画は、オシャレの象徴というだけでなく、自分の力で現状を変えていく、仕事のできる女性像を映し出しています。まさに自立した女性の代名詞としてプラダが用いられているのが印象的です。プラダは、創業当時から自立した女性のためのファッションをデザインしてきました。創業者のマリオ・プラダがミラノ中心部ガレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレⅡ世に皮革製品店をオープンしたのが1913年。当時は、バッグやトランクなど、旅行用品が主力でしたが、創業からわずか6年後の1919年に、プラダはイタリア王室御用達に指定されました。サヴォイア家から王室の紋章と、王家を象徴する「結び目の紐(ロープ)」をブランドロゴに使用する許可を得たプラダは、上流階級に顧客を持つ由緒あるブランドとして成長していきます。

ブランドのアイコンでもあるトライアングルプレートには「PRADA」の文字だけでなく、サヴォイア家から使用を許された紋章が配置されています。その後、孫であるミウッチャ・プラダがブランドに参画し、プラダは新たなステージへ。革新的なブランドイメージは、ここから形作られていきます。戦後、1950年に生まれたミウッチャは、ミラノ大学の政治学部に在籍。当時盛んになっていたフェミニズムの運動に共鳴した彼女は女性の社会的な地位の向上に心を傾け、ファッションデザインを専門に学んでいたわけではありませんでした。しかし、現代社会における女性の生き方など、自身の経験に基づいた社会に対する眼差しがその後、ブランドの革新性に繫がっていきます。ファッションとは関係のないところにいた彼女が母親からプラダのオーナー兼デザイナーを引き継いだのが1978年。ミウッチャは老舗の枠組みにとらわれることなく、新たな試みをどんどん打ち出し、新しい息吹を吹き込まれたプラダは高感度なブランドへとさらに飛躍していきます。

’70年代後半、シューズ、バッグなど、次々と商品の幅を広げていく中で、1978年に革命的な「ナイロンバッグ」が誕生。パラシュートやテントに使われていた工業用の高密度ナイロン素材に目をつけ、それをファッショナブルなバッグに応用するという画期的なアイデアは当時、大きなインパクトを与えました。撥水性に優れ、耐久性があり、実用的。薄くて軽く、ファッショナブルなナイロン素材は現代人の社会性に求められる条件を軽やかにクリア。多くのブランドが皮革製品を扱い、上等な革が価値を持つ時代にナイロン素材を取り入れたことはとても斬新で、トライアングルロゴをあしらったデザインは世界中で大ヒットとなり、ブランドの代名詞となりました。そして2019年、ファッション業界においてもサステナビリティが意識される中、世界中の海から回収されたプラスチックや漁網、埋め立てごみ、繊維くずを再利用・浄化し、100%再生素材から作る「リナイロン」プロジェクトを始動。単なるナイロンとは異なり、独特の光沢、艶があるのがプラダのナイロン。素材が置き換わってもクオリティは不変であるところにブランドの美学を感じます。

ミウッチャの現代社会に対する問題意識は、環境問題だけではなく、文化活動やアートの支援にも向けられており、1993年には夫のパトリツィオ・ベルテッリと「プラダ財団」を設立。積極的に現代アーティストを支援し、2015年にミラノに建てられた美術館は世界中のアートファンから注目を集めています。そして、ファッション界の中心的な存在へと成長したプラダは2020年にラフ・シモンズが共同クリエイティブ・ディレクターに就任、新たな転換期を迎えました。共にカリスマであるデザイナーが2人体制で、対等な権利と責任を持って共同でブランドの舵取りをすることは極めて革新的で、世界中で大きなニュースとなりました。「レトロフューチャー」のデザインを得意とし、意志を持った新しい女性像を体現するミウッチャが手がけるプラダに、ミニマルで構築的なデザインを得意とするラフ・シモンズが加わって生まれる新しいシナジーは、プラダのアイデンティティをより強固なものに。2人の相乗効果によって書き換えられていくプラダの新しい女性像が楽しみです。

サヴォイア家王室からの発注書
王室御用達ブランドとして王侯貴族から特注ラゲージ製造などを担っていた当時を物語る、サヴォイア家王室からの発注書。
スーツケースやトランクを顧客に送るために使用されたトラック
創業当時、高級皮革スーツケースやトランクを顧客に送るために使用されたトラック。
第一号店を出店したミラノの世界最古のアーケード
世界で最も古い歴史を誇る格式高いアーケード、ミラノのガレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレⅡ世に第一号店を出店。
ナイロンバッグの初期モデル
ファッション界に革命を起こしたナイロンバッグの初期モデル。ハンドルには今でもおなじみの「サフィアーノ」レザーを使用。

神戸大学大学院人間発達環境学研究科教授平芳裕子先生
神戸大学大学院人間発達環境学研究科 教授
平芳裕子先生

東大ファッション論集中講義(ちくまプリマー新書)
文化を作り上げ、世界経済を動かすにもかかわらず、浅いものとされがちな「ファッション」や「衣服」を学術研究の領域で紐解く。反響を呼んだ東大での4日間の講義を書籍化。

\新刊本もぜひお求めください/

『何がダサいを決めるのか』
平芳裕子著(ポプラ新書)

撮影/山口恵史 スタイリング/坂野陽子 取材・文/北山えいみ 編集/城田繭子
*VERY2026年8月号『平芳裕子先生と「読むラグジュアリー」』より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のもので、変更になっている場合や商品は販売終了している場合がございます。

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