昨年の大晦日は、一緒に香川県へ。
親にとってきっと胸を割くほどに切ないのは、子どもが生まれ持った自身の個性についてひとり悩みを抱えること。同性が好きという性的指向も個性であって、誰かを好きになる気持ちに差異はないはず。Netflixリアリティシリーズ『ボーイフレンド』シーズン2に出演のジョウブさん&ジョウブママことユカさんの仲良し親子が語る「カミングアウトのいらない」関係性。
「好きなこと、やりたいことを
家族に否定された記憶がない。
だから、男性が好きと
わざわざ手を挙げて言うことではない
と思っていました」ジョウブさん
――恋愛対象が同性の人たちの多くは親へのカミングアウトを、とても覚悟のいる切実な問題と語ります。一方でジョウブさんは、カミングアウトの必要がなかったと伺いました。
ジョウブさん そうですね。小さい頃から自分の内面的なことを家族に否定された記憶がひとつもなくて、好きなことややりたいことを自由に口にできる環境にありました。なので、気がついたらわかってもらえていたという実感。ちゃんと話し合ったこととかないよね?
ジョウブママ(以下、ユカさん) なかったね。思い返せばジョウブは小さい頃から戦隊モノとかには興味がなくて、キティちゃんとか可愛いものが好きだったんです。親として子どもの個性は尊重してあげたいという気持ちが強かったので、特別ではなく「これがジョウブ」と自然に受け入れていました。
ジョウブさん そのおかげもあってか、僕もわざわざ手を挙げて言うことでもないのかなって。
バレー部でセッターをしていた中学時代のジョウブさん。
――ジョウブさんがご自身の性的指向に気づいたのは、いつ頃でしたか?
ジョウブさん あまりきれいな話じゃなくて申し訳ないのですが、小学校6年生のときに友だちと大人のビデオを観ていて、一瞬だけ男性同士の映像が映ったんですよね。そのときに「あ、僕はこっちなんだ」とビビッときたというか、はっきり自覚したのを覚えています。ただすぐには口に出さず、1年間ぐらい自分の中で咀嚼する時間はありました。
ユカさん そんな早い頃から気づいていたと、最近ジョウブのYouTubeを観て知ってすごく驚いたんです。もしかしてそのことでひとり悩んだりしたのかなと考えたら、親は泣いちゃいますよね。
ジョウブさん 会うたびに泣いてるけど(笑)。僕は正直、思い悩むことはなかったんです。基本は楽観的な性格なので“男性が好きなのは自分の個性”と、事実としては捉えてもマイナスには解釈しませんでした。中学からは男子校だったので、女の子の話題についていけない寂しさはちょっとありましたけど。同級生には、本当に仲のいい友だちにはカミングアウト。彼女とかの話になったときに「俺、男の子が好きなんだよね」とわりと軽い感じで。最初は1人、3人、最終的には15人ぐらいの友だちが知ってくれている状態でした。その子たちがほかに言うとかもなく、いい友だちに恵まれたおかげで学校生活は最高に楽しかったです。生まれ変わっても男子校に行きたい!
ユカさん ジョウブの男子校時代の友だちのママとは、私もいまだに仲がいいんです。Netflixのインスタグラムで『ボーイフレンド』シーズン2へのジョウブの参加が発表されたときにちょうどランチして「ジョウブ、この恋リアに出んねん!」と報告。「えー、観る観る!」とみんなが盛り上がって「泣ける!」とか「ジョウブに頑張ってほしい」とか感想をたくさんもらいました。うれしかったですね。
ジョウブさん 兄と妹からもいっぱい感想が届いたのですが、兄がハマってくれたのは意外でした。恋リアとか見たことなかったそうなのですが、毎週きょうだいのグループLINEにコメントを送ってくれて。
年賀状撮影は、家族揃ってユカさんの手作り衣装でコスプレ。
――ジョウブさんのお父さんのリアクションはいかがでしたか?
ジョウブさん カミングアウトの必要性を感じていなかったこともあり、僕から特に話はしていませんし、父からも何か言われたことはありません。男性の同性愛者は男親へのカミングアウトのほうが難しいとよく言いますけど、母ほどオープンには話せないところは正直あります。
ユカさん パパは「ジョウブが幸せで楽しいならいいんちゃう?」としか言ってないよ。
ジョウブさん きっとそうだよね。父は何事にもすごく肯定的で、あと口数が少ないタイプ。我が家の会話の90%は母が占めています(笑)。
>>カミングアウトとか、同性愛者を区別するような言葉はなくなってほしい<改ページ>
「ママ友の間で
息子の彼女の話題になっても
ジョウブには“彼女できた?”
とは聞きませんでした」ユカさん
――カミングアウトで悩む人、子どもがそうかもしれないと気にかけている親にとって、ジョウブさん親子のスタイルは最強であり理想という気がします。どうしたらそう在れると思いますか?
ジョウブさん 難しいですけど……でも、カミングアウトできずに悩んでいる人の話を聞くと、家族の会話のなかで耳にした何気ない一言が引っかかっているケースが多いのかなと感じます。例えばテレビを観ているときに「男同士でキスするなんて気持ち悪い」と親が言っているのを聞いてしまったとか。その一言に苦しんで、カミングアウトのハードルが上がってしまっているんですよね。自分もそういう経験があったかなと振り返ってみたんですけど、家族の誰かが人のことを悪く言っているのをあまり聞いたことがないんです。基本はおもしろいほうに持っていくタイプの家族なので。
ユカさん そうなんです、おもろいが大事で。だからジョウブがシリアスな話題になったときに、最後に照れて笑ってしまうのがすごくわかるんですよね。私も友だちの相談に真剣に向き合いながらも、最後のほうは話を聞きながらどうしてもオチを考えてしまうんです。
ジョウブさん 今も絶対、途中からオチを考えてたよね(笑)。そういう感じで育ってきたので、シリアスな会話であっても最後は笑って終わらせたい気持ちがあります。ただいろいろな人の事情や人との向き合い方を知るなかで、それが寄り添うことにならない場合もあると学びました。
中学の文化祭での教室のドア越しにツーショット。
――おもろいが大事、最後は笑顔で終わらせたい。ジョウブさんとユカさんからはハッピーな家族のムードをすごく感じます。
ユカさん 自分に与えられた1回きりの人生なら、楽しく生きるのが一番じゃないですか。本人が楽しいなら、それを他人がとやかく言うことではないと思っています。誰を好きになるのも自由。「好きな人ができた」と教えてくれた人に「それって男の人、女の人?」と普通は聞かないじゃないですか。人としての憧れや、尊重する気持ちから好きになっているのであって、そこに男女は関係ないですし、恋人がいるもいないも自由。なのでママ友の間で「息子に彼女ができた」という話題になっても、ジョウブには何も聞きませんでした。
――ジョウブさんはもしお母さんから「彼女できた?」と聞かれていたら、何か変わっていたと思いますか?
ジョウブさん どうだろう……。でも聞かれたら答えなきゃですよね。もし「まだいないよ」と答えたら、いずれ恋愛の対象が女性ではないとカミングアウトしなきゃいけないと思ったかもしれません。ただ「僕の人生だから、僕の好きにする」という根本的な考えは変わらなかったはずです。
ユカさん カミングアウトとか、同性愛者を区別するような言葉はなくなってほしいと思っています。一度、ジョウブがボーイズたち(Netflix『ボーイフレンド』シーズン2の参加ボーイズ)との食事会を開いてくれたのですが、みんな本当にいい子たちで、それぞれに努力して人生を歩んできているんですよね。どうして彼らが生きづらさを感じなければならないのか、そういう世の中にすごくモヤモヤを感じます。性的指向で悩むことなんてないと私は思いますし、もし悩んでいるなら「みんなうちにおいで!」と言いたいぐらいです。
>>「留学したいなら東大に行きなさい」<改ページ>
「LINEは毎日、スルーしたら
大変なので(笑)」ジョウブさん
「本当のところは
ずっと笑顔でいてほしい、
それだけ!」ユカさん
今年2月、ユカさんがジョウブさんに会いに東京へ。
――ジョウブさんは今、会社を離れて独立し、クリエイターとして活動。インスタグラムやYouTubeで積極的に発信をされていますが、YouTubeのなかで「東大は母からの提案」という話があって、ユカさんの子育ての緩急に痺れました(笑)。
ユカさん 本当ですか(笑)。そのときのことはハッキリと覚えていて、ジョウブから留学したいと言われて「留学したいなら東大に行きなさい」と返したんですよね。半分冗談で、半分本気。留学にはお金がかかりますから、それぐらい頑張るのが当たり前でしょう?と。もし行けなかったとしても、そのための努力はきっと将来の役に立つし、目標を高く設定するのはいいことだと思いました。特にジョウブは小さい頃から負けず嫌いだったので。
――ジョウブさんは「東大に行きなさい」と言われたとき、どう思いました?
ジョウブさん 小さい頃から習い事をしたい、欲しいものを買って!とおねだりすると、ダメとは言われないけれど必ずミッションを与えられてきたんですよね。「テニスをやりたい!」と言ったら「最低1年は通う、行きたくないと言ったら即やめさせる」みたいな。そこは冗談ではなく有言実行なので「頑張ったら叶う」と、ゲーム感覚でクリアすることに楽しみを見出せるようになっていきました。留学は一番大きなおねだり。それなりのミッションはあるだろうなと覚悟はしていたものの、東大かと(笑)。「よし、やってやるよ!」という感じで、2年目に無事合格。大学在学中に留学させてもらいました。
ファッションからも自由で楽しいムードが伝わるふたり。
――新しい道を歩み始めたジョウブさん。多忙とのことで、ユカさんとゆっくりお話しするのも今日が久しぶりと聞きました。
ジョウブさん LINEは毎日してるんですよ。母から来たLINEに返すだけなんですけど。
ユカさん 私さえメッセージをすれば一応は返してくれるんです。既読スルーしたら私が拗ねるとわかっているので(笑)。
ジョウブさん 母とはインスタでも繋がっているのですが、高校生のときに一度だけ母のフォローを外しちゃったことがあって。それは友だちと遊んでいる様子とか見せなくてもいいかなと気軽な気持ちからだったんですけど、母が寝込むぐらい落ち込んじゃったんですよ。それ以来、スルーとかできないです(笑)。
ユカさん そんなこともあった! 東京と大阪で離れているのでなかなか会えずに寂しくもありますが、本当のところはジョウブが元気に楽しくやってくれているのが一番と思っています。ずっと笑顔でいてください、それだけ!
ジョウブさん ゆかぴー、ありがとう!
Profile

Jobu
1998年生まれ、乙女座。
大阪で青春時代を過ごし、大学進学を機に上京。アメリカ留学を経て、東京大学法学部を卒業後、外資系化粧品メーカーに勤務。Netflixリアリティシリーズ『ボーイフレンド』シーズン2出演をきっかけに注目を集め、現在はファッションを中心に、ライフスタイルやカルチャーなど幅広い分野で、明るく個性的なキャラクターを生かしてクリエイターとして活動中。YouTubeチャンネル「Jobu Jobu Jobu」も開設。Instagram@jobu_98
取材・文/櫻井裕美









