30代のほとんどは夫の転勤帯同で引っ越しの連続。その後ようやく仕事復帰した岡野優子さん。8キロの産後ダイエットや資格取得など忙しいなかやりたいことを実現するコツは「やめること」だそう。育児中の時間の作り方や目標達成のコツを伺いました。
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「やめること」に気づいたら、自分時間を捻出できた!
──幼稚園児と小学生の2児の母として、多忙な日々を送る岡野さん。仕事や社会活動にも積極的です。どうやってその時間を捻出しているのでしょう?
「やらなくてもいいことは、やめる」ことは意識しています。朝食作りに時間をかけるのはやめて、子どもたちにもできるだけ自分で準備をしてもらっています。子どもの習い事も必要最小限。積極的にやりたがらない習い事はやめて、子どもが主体性を持って取り組めることのみに絞ることで送迎時間を短縮しています。
新卒入社した会社を退職、2人の子どもの育児、度重なる引っ越し、新たな仕事と30代は激動の日々でした。
──出産後に宅地建物取引士やキャリアコンサルタントの資格も取得。学びを続ける秘訣があれば教えてください。
マルチタスクというか、自分の体で、今空いている箇所を探すんです。「家事で手は動かしているけれど、耳は空いているな」と思ったら、オーディブルやポッドキャストなどの音声メディアを利用して耳から知識をインプット。目が空いていたら動画を見て、口が空いていたら声に出して覚え……と、できる限りタスクを同時進行するようにしています。
気付けば「臨月の体重」に! 育児中に効果的だったダイエット法
──イギリス駐在を終え、帰国後には8キロのダイエットにも成功されたそうですね。
帰国後は毎朝のジョギングを習慣にしていました。というのも、イギリス駐在中に現地の濃厚なヨーグルトにハマり、毎日食べ続けていたらどんどん太ってしまったんです……。でも、イギリスの自宅には体重計がなかったので、体重増加に気付きませんでした。帰国後、久しぶりに計測したら、なんと臨月の頃と同じ体重になっていて! 「さすがにこれはまずい」と、必要に迫られて走るようになりました(笑)。
最初は「1日5分でもいいから、とにかく習慣にしよう」と、あまり負荷をかけずに開始。ただ、週末に時間がとれるときには1時間ほど走ることを続け、結果10カ月で8キロの減量に成功しました。
イギリス駐在中、現地のおいしいヨーグルトにハマってしまい……(笑)
──10カ月間、コツコツと続けられた秘訣があったらお聞きしたいです。
家族が起床前の早朝に走っていたのですが、日中は観光客でごった返す京都の街並みを、その時間だったら独占できているようで心地好かったんです。毎日走っていると季節の移ろいを知ることもでき、日々の楽しみになったことも大きいです。記録を取ることで数字を可視化したことも、私には合っていた気がします。アプリを使って走った距離や時間、体重を記録することで、変化が目に見えて継続のモチベーションになりました。
現在は京都在住。早朝のジョギングは爽快感がたまりません。
──昨年受けた検診をきっかけに、ステージ1の乳がんが発覚。今年1月には摘出手術を受けたそうですが、現在も運動は続けているのですか?
摘出した右胸の傷跡が痛むので手術後のジョギングは控え、今は週に2~3日、1万歩を目標にウォーキングをしています。ダイエットというよりは術後の体力回復の意味で続けています。新たな趣味として、週末に登山も始めました。友人と一緒に、京都の五山の送り火で有名な大文字山への早朝登山を楽しんでいます。近所ですし、登山といっても子どもでも登れる程度の山なのですが、早朝3時半に起きて5時すぎには登山口に集合というスケジュール! 最初は続けられるか心配だったのですが、朝の時間に爽やかな自然の空気を感じることの心地好さに病みつきになりました。家族の起床前に帰宅できることも育児中の私には都合がよかったです。今では可能な限り毎月、朝日を拝みに登っています。
がんになってから「後悔なく生きたい」と思った
──忙しい生活を送るなか、新たな趣味までアクティブに楽しむ岡野さん。昔から、何にでもチャレンジする積極的なお子さんだったのですか?
特別に行動力があったり、好奇心が旺盛だったりしたわけではないように思います。10代の頃は、友人関係がうまくいかず不登校気味になったことも。中高の6年間は自分に自信が持てず、自分の殻に閉じ籠ることが多かったです。
ただ、大学受験で上京し、環境が変わったことが転機になりました。そこで出会ったバイタリティのある友人たちと一緒に過ごすうちに、自分の価値観が変わっていった気がします。「ありのままの自分を見せてもいい」「やりたいことには何でもチャレンジしてみよう」と思うようになりました。大学時代の出会いが、今の私の原点です。
駐在時はヨーロッパ各地を旅しました。子どもたちと一緒に。
──最近はキャリアコンサルタント仲間と一緒に、女性のキャリアを応援するラジオ番組も始められたそうですね。音声メディアで発信を始めたきっかけや思いを聞かせてください。
まだ5月に始めたばかりなのですが、音声配信サービス「stand.fm」で週に1回、月曜日の朝に番組配信を行っています。実は私、昔からラジオが大好きで! 高校時代はハガキ職人でした。「機関銃ゆうこ」のペンネームで、キングコングやチュートリアルなどお笑い芸人さんの番組に、ハガキを送りまくっていたんです(笑)。
ラジオ番組を持つことに憧れがありましたし、「30歳で出産をしてから今に至るまで試行錯誤した経験を話すことで、悩んでいる誰かの心を少しは軽くできるかもしれない」という思いもきっかけになりました。キャリアコンサルタント仲間で私と同じ2児の母でもある友人と意気投合し、思い切って2人でラジオ番組に挑戦してみることにしたんです。
──いろいろな活動をされていますが、何より「楽しそうだからやってみたい!」という気持ちが原動力にあるようですね。
「何より自分がやってみたい」という気持ちが動機なので、何とか時間を捻出して続けようと思えます。失敗はあるかもしれないけれど、チャレンジする気持ちは持ち続けたいですし、子どもたちにもそんな母の後ろ姿を見せたい。昨年、40歳にして乳がんが発覚したときには、「人生が長く続くとは限らない」ことを強く感じずにはいられませんでした。手術後の今は体力も気力も以前と同じようにはいきません。それでも、やりたいことを年齢や体調のせいにしてあきらめたくはないんです。これからも仕事、育児、趣味と今できることを全力で楽しむのが私の目標です。
何より、「楽しそうだからやってみたい!」気持ちが原動力です。
PROFILE
岡野 優子(おかのゆうこ)さん
1984年生まれ、京都市出身。早稲田大学政治経済学部を卒業後、鉄道会社に総合職として入社。結婚・妊娠を機に30歳で家業を継ぐため転職するも、直後に夫の転勤が決まり休職。専業主婦として大阪、東京、広島、京都を経てロンドンに駐在。2023年に家族で帰国後は、実家のある京都に戻り家業に復職。本業の傍ら、高校の非常勤講師や子育て世代のキャリア支援を目的とした団体「De ma vie」を主宰。シリアの教育支援に関わるNPO「Piece of Syria」のアンバサダーとしても活動中。2024年にはステージ1の乳がんが発覚し、摘出手術を受ける。これまでの活動や日々の思いを綴るnoteはこちら。
取材・文/小嶋美樹