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現役女子中高生が「生理」について考える授業をはじめた理由<品川女子学院CLAIR.>

東京の女子校・品川女子学院中・高で発足した「CLAIR.(クレア)」では、生徒たちが生理について知り、発信する活動を続けています。「女性のライフプランに関わる生理や避妊のこと」「婦人科を受診してみて思ったこと」などメンバーのみなさんが活動を続ける理由や気づきを伺いました。

高校生が婦人科に行くとき気になる「周囲の視線」

──生理痛など、体の不調を感じたとき、メンバーのみなさんはどうしていますか?
(全員):婦人科に実際に行ってみたという人はメンバーのなかにも多いですね。
守谷さん:私は、生理痛がつらくて月に1回くらい、学校を休んでしまう日があったので、最初は母が病院に連れていってくれました。受験勉強も始まるなか、このままでは通学や勉強にも支障が出るなと思って。

永井さん:私もそうです。
守谷さん:私はピルを飲み始めて、生理の心配が少なくなったのがよかったなと思っています。毎月1週間ほど出血が続くのは辛いし、ナプキンを頻繁に変えなくてはいけないのも大変です。私の場合、ピルは最初だけ副作用がありましたが、今は気になりません。「生理が嫌だな」と思って過ごすことがなくなりました。

大場さん:私の友達は生理が重く、月に2、3回は学校を休んでいたんです。私は「CLAIR.」の活動で知った知識があったので、「婦人科で生理の悩みを相談できるよ」「ピルなどの内服薬で症状を軽くする方法もあるよ」と話をしたら、友人は実際に病院に行ってみたと。「今までずっと痛みを我慢していたことが信じられないくらい快適」と喜んでくれました。気になる症状があったら、一度病院で相談してみることをおすすめします。

 

──未成年の場合、診察台に上がっての内診を可能な限り省くなど、抵抗感をなくすようにしている病院も多いと聞きますが、婦人科に行くのはハードルが高い、周囲の目が気になるという声も聞きます。
守谷さん:一人で病院に行きにくいな、とは感じています。生理痛での通院であっても、「なんで女子高生が婦人科に来ているの?」なんて詮索されたら嫌だなと思ったり。考えすぎだと思うのですが、今はできるだけ母に付き添ってもらっています。
永井さん:私は、生理痛軽減のため薬を処方してもらっていますが、通っている婦人科は待ち時間が長く、処方箋をもらうだけでも時間がかかることがあり、毎月通うのはちょっと大変です。

 

妊娠や避妊について…女性の選択肢がもっと増えたらいい

──日本は、海外に比べると生理痛対策や避妊など、女性が選べる選択肢が少ないように感じることも。
永井さん:進学や就職など、女性のライフプランを考えたとき、今は妊娠を考えられないという時期があると思います。とはいえ、コンドームによる避妊は完全ではなく、日本では女性が自分で対策できる避妊の手段が少ないです。海外ではインプラントなど、さまざまな避妊方法が普及していると聞きました。キャリアや人生を考える上でも、女性が自分で選べる避妊や生理対策の方法が増えたらいいなと思っています。
飯田さん:望まない妊娠をしたとき、緊急避妊薬を使うことも考えられますが、日本はまだまだ制度が確立しておらず、実際に処方してもらうにも時間とお金がかかるので普及には程遠い状況です。万が一のとき、体にも心にも負担が少ない選択肢ができたらいいなと思っています。

 

今の日本社会は、「女性だけでなく男性も苦しい」はず

──VERYでも「40代の思いがけない妊娠」「大人の性教育」など特集したことがあるんですよ。10代のころから体のことや将来のことを考えられるのは大切なことですね。
守谷さん:「CLAIR.(クレア)」では、生理をタブー視することなく女性が生きやすい社会を作ることはもちろん、女性も男性も、性別を超えてお互いを理解し合える社会を作ることを、団体の理念、目標にしています。
永井さん:日本の社会通念上、男女間の格差がいまだ大きく、ジェンダーギャップ指数などの統計を見ても女性の地位は低いままだという課題があります。ただ、逆に女性を持ち上げすぎだと感じることもあるんです。女性の権利や生きづらさが多く語られるなかで、男性をないがしろにしている部分もあるのではないかなと思います。男性優位の価値観も「男なんだからこうあるべき」と男性を苦しめる原因になっているのではないかと感じます。蓋を開けてみたら、固定観念でみんなが苦しんでいるように思うことも。男性も女性もどちらも大事な存在だと、お互いを敵対視せずリスペクトすることができたら、と思っています。

「CLAIR.」が編集協力した単行本『女子中高生が教える 男子にも知ってほしい生理の話』より

 

女子校ではやりたいことが思い切りできた

──みなさんは中高6年間を女子だけで過ごす環境ですが、品川女子学院(品女)に通ってみていかがですか?
永井さん:実は第一志望は共学だったんです(笑)。でも今は、女子校でよかったと思っています。「やりたいことが自分でできる」と自信をもてる環境は女子校ならでは。男子がいたら、「男なんだから重いもの持ってよ」なんて、つい頼っていたかもしれません。女子校では性別ではなく得意分野かどうかで役割分担するのが当たり前で、リーダーも女性です。今は、女性だからできないことはない。苦手なことがあるとしたら、それは性別ではなく得意不得意の問題、とはっきり言えるようになりました。
守谷さん:ここまでCLAIR.の活動を続けられたのも、品女の環境があってこそだと感じることもあります。だいたいみんな、中2、3くらいで一度は共学校に憧れるんです。他校の文化祭に遊びに行ったりして。その後、高校に入るころから悟りを開く感じ(笑)。今はこの学校に入学できてよかったと思っています。ただし、メンバーが在校生のみなので、どうしても女性目線になりがち。今後、男子校や共学校での授業など、全国に向けた活動をするなかで課題だと思っています。

 

──品女は将来のキャリアを考えるプロジェクトも積極的に行っているとか。みなさんの夢は、例えばどんなものですか?
小泉さん:私の将来の夢は臨床検査技師です。品女は「世界に羽ばたける女性に」という理念があって。青年海外協力隊にも参加するなど海外でも活動してしたい。私自身は研究職として将来の医療を変えていけたらいいなと思っています。

 

──みなさんのびのびと好きなこと、興味のあることに向き合っている様子が伝わってきます。
飯田さん:恋愛しないといけないとか世の中の流行りに乗らなくてはいけないとか、「こうあらねば」というバイアスを感じることがこの学校ではいっさいなくて。好きなことやりたいことを全力でできる環境です。固定観念に縛られず好きなことや気になることを思い切り追及できる環境が最高です。

お話を伺った「CLAIR.(クレア)」の高校生メンバー。永井さん、小泉 さん、大場 さん、大河内さん、飯田さん、守谷さん

品川女子学院「CLAIR.(クレア)」とは?


品川女子学中等部・高等部(東京都品川区)の有志団体。「女性も男性も生きやすい社会」の実現を目指し、生理や女性の体についての講座を開催するなど積極的に活動中。メンバーは中高合わせて約50名。「生理って月に何日くらい?」「血はどれくらい出るの?」「PMSがつらいときはどうする?」など生理に関する悩みや疑問について、男女問わずわかりやすく伝える授業も男子校、共学校で行っており、メディアで話題に。

『女子中高生が教える 男子にも知ってほしい生理の話』
監修:高橋幸子 協力:CLAIR.(品川女子学院)
(株式会社 Gakken 4,950円)


品川女子学院「CLAIR.(クレア)」の協力のもと、生理に関する悩みや疑問を解説した本。学校生活や受験の際の生理悩みや、アンケートをもとにした男女のリアルな声も多数掲載。マンガを中心としたストーリー展開で、誰でもわかりやすく生理や女性の体のことを知ることができ、これから初潮を迎える小学生や男の子にもおすすめです。

取材・文/有馬美穂 撮影/古本麻由未

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