VERY March 2024

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2024年2月7日発売

880円(税込)

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実は10代より多い『40代の予期せぬ妊娠』夫婦間の避妊って?

中絶というと10代などの若い世代が多いイメージを持ちがちですが、実はそれより多いのが「40代の中絶」です。既婚女性の4人に1人が中絶経験者と言われ、VERY世代と決して無縁ではないトピックです。イーク表参道 副院長の高尾美穂先生に40代の中絶について、お聞きしました。

\VERY世代が知っておきたい/
夫婦間避妊と体のこと

実は10代より多い
40代の予期せぬ妊娠

人工妊娠中絶の件数

(厚生労働省「母体保護統計報告」「衛生行政報告例」より作成)

妊娠100に占める中絶の割合

(2020年「人口動態統計」「衛生行政報告例」より作成)

「ごくたまに」のセックスで
妊娠、中絶する
ケースが目立つ40代

──不妊治療などで悩む知人も多いなかで、40代の中絶件数の多さに驚きました。いわゆる「超高齢出産」などの年齢的問題や、3人目問題などの経済的理由もあるとは思いますが、友達などにも打ち明けたりしないだけで、実は経験している人が多いのかもしれないですね。

実際に診ていても、決して少なくないです。42歳を過ぎると初産では妊娠が難しいイメージがありますが、経産婦なら40代でも妊娠出産しているケースは寿命の短かった江戸時代でもあったこと。個人的な感覚としては「たまにある性交渉で妊娠した」というケースが多いように思います。今回ピックアップした数字は中絶件数で、中絶手術前に流産してしまった場合はカウントされていませんが、年齢的な理由で流産になったケースを含めたらもっと多いと考えられます。

──年齢とともにセックスレスになっている場合もあり、避妊については話し合うこともないまま流れでしている人が多い気がします。

月に何度も性交渉があるような夫婦はむしろミレーナやピル、コンドームなどで対策をしている印象ですね。でも3カ月に1回程度などごくたまにだったら「たった1回の性交渉では妊娠しないだろう」と油断して、妊娠してしまう。更年期に近づいてくると排卵の時期も不安定になりますからね。

──中絶は体にどんなダメージがありますか? 経口中絶薬は3月の正式承認が待たれるところですね(2023年2月取材時点)。

中絶薬の承認をめぐり中絶方法について注目を集めたことから、中絶手術の主流は特にここ数年で掻爬(そうは)法(掻き出す)が減り、吸引法メインになってきています。どちらもリスクについて説明が必要ですが、一度でも経膣分娩を経験していれば難易度が高いものではないと思います。中絶薬という選択肢はあるべきだと思いますが、中絶薬での中絶は排出されるまでの時間が読めない点、麻酔を使わないため痛みのコントロールをどうするか、排出物を本人が見てショックを受ける可能性があるかもしれない点などには留意すべき。手術であれば痛みや時間も含めコントロール下におけるというメリットが、かえって注目されるかもしれません。でもどんな方法でも、心身には負担になりますよね。

避妊「する?」「しない?」から
「どれにする?」になればいい

──「SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)」について日本は遅れていると聞きますが、40代の妊娠中絶への影響はあるとお考えですか?

SRHRとはどのタイミングで性交渉を持ちたいか、産むか産まないか、誰の子をどんなタイミングで何人産むかは、女性が決められる、という権利です。性交渉を持たないというのも一つの権利だし、何かしらの避妊方法を自分側で持っておくのも大切。日本では、避妊は男性任せのコンドームが主流(もちろん外出しは避妊ではありません)。現状日本で女性ができる対策は、ピルやミレーナ、IUDくらい。他の国ではシールのようなパッチや皮下に埋め込むインプラントなど、いろんな種類の避妊方法があります。そうなると「どれにする?」となるけど、日本では「やる? やらない?」になる。日本も「どれにする?」になれば良いなと思いますし、ミレーナは生理痛がひどい、経血量が多いという場合も改善が見込めるので、更年期での生理不順など避妊以外の面からもおすすめしたいですね。

──ピルは40代だと適用にならないと読んだのですが…。

それは一つ前のガイドラインで、現在は40歳以降もメリットがリスクを上回る場合は使っていい、50歳未満では使えるとなっています。飲むことで閉経前の生理のばらつきや更年期の不調も気づかないうちにカバーされるので、体の状態をチェックしながら続けるのも良いと思いますよ。ホルモンの変動でメンタルが不安定になっている人は、薬により感情の浮き沈みがフラットになります。ホルモンに詳しい産婦人科医からのアドバイスをおすすめします。

「幸せを感じにくい」も
ホルモンで理由がつく場合もある

──40代は体も心も変化がありそうなのかなと感じています。

40代女性は更年期の前半世代、みんなお疲れですよね。疲れが取れないという訴えが強いのですが、睡眠不足も大きい。日本人女性はとくにマルチタスクすぎることに加え、子育てや人間関係に悩んでいる人も多い印象です。抗うつ作用のあるエストロゲン、抗不安作用のあるプロゲステロンも年齢的に分泌が減ってきて、リラックスしにくく、なんとなく幸せを感じにくくなることもホルモンの変動で説明ができます。卵巣は50歳あたりで確実に機能が終わり、閉経の中央値は50・5歳。30代後半から働きが落ち、40代半ばで閉経を迎えても異常ではありません。生きている限りテストステロンが分泌されて生殖機能を保持できる男性とは大きく違いますから、男性と女性でセックスに対してのモチベーションがすれ違う場合も多々あるのに、互いの体のことを知らない夫婦も多いと思います。

──ただ単に、「パートナーとのコミュニケーションがなかなか取れていないな」で終わっていそうですよね。

40代でも妊娠について、フワッと考えている人は男女ともに多いように感じます。でもパートナーがいるなら、どういう人生にしたいか、性交渉の頻度などについても話し合う機会があってもいいのではないでしょうか。とはいえ、男性は妊娠によってキャリアが途切れることもないし生理もないので、いつ産むかや避妊については女性の希望に合わせてもらって良いのではないかと私は思います。私が女性贔屓なのかもしれませんが…。

──「たまにだから大丈夫」ではなく更年期、そして閉経までどう過ごしたいか、今一度考えて備えたいと思います。最後にVERY世代にメッセージをいただけますか?

病気などで両側の卵巣を摘出していない限り、ホルモンの変動はいずれ誰にでも起こりえます。だんだんと卵巣機能が下がって、生理が来なくなって閉経する。これはみんなに起こることだから、心配しなくていいと伝えたいですね。メンタルを保つためにも望ましい生活習慣や睡眠時間をキープして、専門家にも必要に応じて相談して欲しい。そしてセックスの頻度はたまにという人でも、どんな避妊方法があるか、どんなメリットがあるか一度自分ごととして考えて、できたらパートナーと話し合ってみてほしい。それでPMSや更年期症状もコントロールできれば、自分も周りもハッピーになると思いますから。

◉お話をうかがったのは

イーク表参道 副院長
高尾美穂先生

産婦人科医、医学博士、婦人科スポーツドクター。東京慈恵会医科大学大学院修了後、同大学附属病院勤務を経て現職。女性の体と心の悩みに寄り添ったハートフルなアドバイスがメディアでも話題。

撮影/五十嵐 洋 取材・文/有馬美穂 編集/羽城麻子
*VERY2023年5月号「実は10代より多い40代の予期せぬ妊娠」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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