撮影/倉本侑磨<Pygmy Company>
子育てを通して今まで以上にお金の大事さを実感するようになったけど、お金の使い方や貯め方なんて学校では教えてくれなかったし、みんなはどうしているの……?そんなママたちの悩みにこたえるべく、元外資系金融会社勤務、現在は社長としても活躍されているVERYモデル・申真衣(しんまい)さんに、毎月読者から寄せられたお金に関する質問に答えてもらうコラム連載。第21回は「復職」がテーマです。(過去の連載はこちらから)
【第21回】今月の質問
この春、育休から復職しました。これまで通り夫婦別財布を続けるべきか一緒にすべきか、どちらがいいでしょうか?
夫婦のお金に関して「一般的な正解」はない
夫婦の財布を一緒にすべきか、別にすべきかというテーマは過去にも紹介しましたが、一般的な正解はないと思います。我が家は別財布で家計は半々ですが、私が起業して年収が下がった時期は、家賃は全額夫が払ってくれました。別財布派も一緒派も、ライフイベントに応じて話し合い、見直すことが重要なのかなと。我が家の場合、私の起業が大きなきっかけになりましたが、「家族が増える」「家を買う」「進学」などの大きな節目で、お互いの考えをきちんと擦り合わせることで、あとでどちらかが不満を溜めるといったことは減らせる気がします。
共働き夫婦にとって、最初のライフイベントは「第一子の出産」が多いのではないでしょうか。復職するためにシッターさんや家事代行を頼むこともあるかもしれません。その費用をどちらが出すべきなのか、人によっては意見が分かれるところ。個人的には、夫婦それぞれのキャリアを大切にするためにも、折半するのが健全ではないかと思っています。
「外注するとお金がかかるし、時短勤務で得られる収入を考えたら退職したほうが……」という考えが頭をよぎることもあるでしょう。でもいずれまた正社員として働きたいと思っているのであれば、なおさら今は辞めないほうがいいと思います。復職後こそ長期的なスパンでお金について捉えられるよう、夫婦で話ができるといいですね。
撮影/西崎博哉〈MOUSTACHE〉
復職に向けて、役割分担についても話し合うのが重要
復職にあたって、お金の話だけではなく役割分担についても話しておくことをお勧めします。「名もなき家事」という言葉が一時期話題になりましたが、「名もなき育児」もあると思います。例えば子どもの習い事。送迎だけではなく、月謝の振り込みなどの作業も発生します。習い事の種類によっては、お月謝袋を用意して新札を入れて先生に手渡しする、なんてところもあります。たとえ月に1回でも、それが毎月続くと面倒ですよね。先生から渡されるお便りを読んで、夏休みや冬休みがいつなのか確認することも必要。保育園行事でも同じことが言えます。
だから我が家の場合は、上の子の学校、習い事関連は夫、下の子関連は私の担当に分けました。お便りも、それぞれが担当する分だけ読みます。夫はきちんと読まないことが多くて忘れ物することが少なくないのですが、口出ししないようにしています。その結果、上の子が「○日までにあれが必要だよ」としっかりリマインドしてくれるようになりましたが(笑)。
フォローしない理由は、夫にも主体的に関わってほしいから。妻が家事・育児のリーダー、夫は手伝う人になってしまうと、妻は不満が溜まるし、夫もきっと楽しくないと思います。子どももママだけを頼るようになってしまい、悪循環です。産休、育休中は時間があるから全てやっていたという人も、復職をきっかけに分けて、「二人で育児をする」という意識を高めていったほうが、お互いにとっての幸せにつながるのではないでしょうか。保育園の送迎を朝と夕で分担するのでもいいですし、荷物の準備と片付けを分けるのでもいいです。小さなことから始めてみてください。
家事も同じように分担できるのが個人的には理想です。我が家の分担のコツは「相手のクオリティに口出ししないこと」。食事の支度にしても掃除にしても、やり方やメニューが気に入らなければ否定するのではなく自分でやる。何事も試行錯誤だと思います。
以前、私が作っていた朝食に夫があれこれリクエストしてきたことがありました。だから夫が担当していた洗濯とゴミ出しを私が、夫が朝食を含めた食事の支度というように、役割を入れ替えたんです。そうしたら夫が1週間で音を上げて「ご飯と納豆とか、朝は簡単なものでいいね」って。やってみないと分からないこともたくさんあります。
何度かの交代ののちに、最近の朝食は夫が担当しています。仕事で夜に不在がちなので、朝ごはんの時間が子どもとのコミュニケーションのひとときになっているようです。お金も役割も、家族のことは都度話し合い、見直すことが欠かせないと思います。仕事で異動があれば繁忙期や忙しい時間帯が変わることもあります。中学受験を控えて、子どものサポートなどのロールが増えることもあります。ガチガチに決めすぎずに、お互いが主体性を持って関わり、意見を出し合う。我が家はこれからもこのやり方でいくつもりです。
取材・文/樋口可奈子