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申真衣さん「夫婦で財布は別でも、お互いの貯金額は共有するべき」その理由は?【お金連載 第9回】

申真衣さん連載コラムイメージ写真

©倉本ゴリ<Pygmy company>

子育てを通して今まで以上にお金の大事さを実感するようになったけど、お金の使い方や貯め方なんて学校では教えてくれなかったし、みんなはどうしているの……? ママたちの悩みにこたえるべく、元外資系金融会社勤務、現在は企業の取締役をされているVERYモデル・申真衣(しんまい)さんに、毎月読者から寄せられたお金に関する質問に答えてもらうコラム連載。第9回は「『お財布は別』夫婦の家計管理」がテーマです。(過去の連載はこちら

 

【第9回】今月の質問

共働きで夫と私の財布は別。家計が一つのほうがお金が貯まりやすいと聞いて、もしかしてもったいないことしてる?と気になっています。

 

「財布が別」のメリットは
自由に使えるお金があること

 

先日編集部の人に教えてもらったのですが、今はVERY読者の7割以上が共働きなのだそう。それぞれに収入がある分、財布も分けているという家庭もきっと増えていると思います。わが家も財布は別です。

財布を分ける派の中には「万が一、離婚するという場合に備えて、家計を分けて自分名義の貯金を持っていたい」と考えている人もいると聞きました。でも、実は夫婦どちらかの名義になっている財産でも、夫婦の協力によって築いたものであれば財産分与の対象になります。それよりも、財布が別であることの最大のメリットは「自分で自由に使えるお金がある」に尽きるのではないでしょうか。どちらか一方が家計を管理していて、主導権を持つ人にお伺いを立てなきゃいけないのはちょっと息苦しい気がしませんか?

私は自分のお金で洋服などほしいものは買います。だから夫の使い道にも文句を言わないようにしています。行きもしないジムの会費を払っているのは気になるけれど(笑)、夫が自分のお金で払っている分には仕方がないですよね。お金の使いどころは人それぞれだと思います。

わが家の家計は割り勘制。夫か私のどちらかが支払って、定期的に精算しています。旅行に行く際の会計は夫の担当。夫のクレジットカードをマイルが貯まりやすい設定にしているので、一旦夫が支払って、精算後に私が夫の口座に振り込みます。教育費や子どもにかかるお金は私が支払い、年末に年間総額を夫に報告して、半額振り込んでもらいます。

大きな出費はきっちり分ける反面、細かいところはさほど気にしていません。例えば生活費の中でも食費は私持ちですが、スーパーの前を通りかかった夫が買ってきてくれることもあります。洗剤など日用品は買った人が負担しています。

 

家計は割り勘。月1お金会議で認識をすり合わせる

 

財布が別であることのデメリットとして、「貯められない」という話は確かによく聞きます。お互いの収入をあてにしてしまう、自由があるから使ってしまうというのはありがちな話かもしれません。わが家は月に1回、「お金会議」と称してそれぞれの資産の現状を共有し合っています。日頃から週に1回は夫と2人きりで外食する機会を設けていますが、お金会議は自宅で、それぞれにPCを開いて、カードの明細や保有する金融資産の状況などを確認しながら行います。

月1のお金会議でお互いの資産の状況を確認し合うとともに、働くために必要なアウトソース費用を考えたり、仕事について話し合ったりもしています。今の生活コストを割り出して、あと何年生きるかを計算して必要な額を計算し、半分に割る。半分に割った金額を自分で貯めたら、いつでも仕事を辞めてもいいという取り決めもあるんです。

お金会議をするにあたって、やはり家計の見える化は重要だと感じます。私はExcelで詳細な家計簿をつけているので、生活コストはそちらで管理できます。項目は食費、交通費、被服費、医療費、交際費、趣味費、仕事関連費といったところでしょうか。コロナ前は旅行費用も大きなウエイトを占めていました。教育費は子ども2人をそれぞれに分けて。私は細かく記録するのが好きなのですが、苦手な人は先日紹介した家計簿アプリを使うといいかもしれません。

銀行口座を複数持っている人も多いですが、減らせるなら減らしたほうが管理面でもラクになります。私の場合、住宅ローン用の口座に1年分まとめて入金したら、あとは触りません。クレジットカードも2枚と決めて、一つの口座から引き落とすようにしています。

 

お金の話を通して
夫婦のすれ違いを減らす

お財布は分けたとしても、収入と資産は情報として共有しておいたほうがいいと思います。お互いに知らないことが多すぎるとお金は貯まりません。また、夫にお金の相談ができないから家事代行も自分のポケットマネーから出してしまったり、家事を頼むことが夫のキャリアにとってマイナスになるのではと考えてしまったりと、夫婦のすれ違いも生まれるような気がします。

「夫が昇進するために私が家事も育児も引き受ける」と考えるのもいいですが、「課長になっても給料が月5000円しか上がらないなら、さっさと帰ってきて家族と一緒にいたほうがいいよね」と考えてもいい。正解は人それぞれです。でも選択肢が与えられるのも、お互いオープンに話ができているからこそ。

それに、妻が働いていることの金銭的メリットは必ず夫にもあります。夫のキャリアだってずっと続くとは限りません。病気をすることだってあるし、会社が傾くことだってあります。2つエンジンがあって働いていること自体がリスクヘッジ。どちらの給与が多い、少ないではなく、お互いのキャリアが夫婦にとって大事だと考えていけばいいのではないでしょうか。

わが家はお金も家事育児も対等と考えていますが、夫のがんばりどき、私のがんばりどきがそれぞれあるので、サポートするようにしています。今の家のローンは半分ずつ負担していますが、起業した当時は収入が減ったため、夫と話し合って家賃の負担は免除してもらっていました。これからもその時々の夫婦の状況で、柔軟に決められたらいいと思います。

取材・文/樋口可奈子

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