育休取得経験者であるTBSアナウンサーの蓮見孝之さんと国山ハセンさん。VERY11月号では「ポストや男性女性にかかわらず、休める社会になってほしい(国山さん)」「必ずしも育休をとらなくてもいい、夫婦の最適解を話し合うことが大事(蓮見さん)」と育休への思いを話してくださいました。ここでは本誌に収録しきれなかった、お2人の育休中のリアルな生活や家事育児の回し方、夫婦関係の変化について、スピンオフでお届けします!
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<プロフィール>
◉蓮見孝之さん
1981年埼玉県出身。バラエティから報道まで幅広く出演、現在は「JNNニュース」「ひるおび」、TBSラジオ「蓮見孝之まとめて!土曜日」「ジェーン・スー 生活は踊る」などを担当。三男誕生時の2019年4月に3週間の育休を取得。現在12歳、9歳、3歳の三兄弟のパパ。イクメンオブザイヤー2022受賞。
◉国山ハセンさん
1991年東京都出身。現在は「news23」のメインキャスター、「世界ふしぎ発見!」などを担当。学生時代のサッカー経験を活かし、スポーツ選手への取材も。長男出産時の2022年5月に3週間の育休を取得。現在5カ月の男の子のパパ。
——蓮見さんは2019年4月に、国山さんは今年5月に、それぞれ3週間の育休を取得されました。育休中はどんな生活を送っていたのでしょうか?
蓮見 起床後は朝ご飯と幼稚園のお弁当を作って、子どもたちが食べている間にゴミを出します。長男を小学校に送り出したら、次男を車に乗せて幼稚園に出発。一度帰宅して昼食を作ったり家事をやったりして、余裕ができたら妻と赤ちゃんとのまどろみタイムですね。午後は夜ご飯の仕込みをしてから、車に乗って次男の幼稚園に向かい、今度は長男を習い事に送り届けて、次男をサッカーに送って、最終的に2人をピックアップして帰って夕食。みんなが寝た後に洗濯物を干し始めて、終わったら寝るという日々でした。今、あの頃から3年経ったので家事や育児のタスクも大幅に変わっていますけど、妻と相談しながら二人三脚でって感じですね。
国山 仕事より忙しいですね…!
蓮見 仕事よりスタミナが要るね。次男が遠方の幼稚園に通っていたのと、習い事もその近くだったので移動距離がすごくて。一日50kmの運転って結構集中力がいるんですよね。でも、今まで長男次男と話す時間があまりとれていなかったので、車を運転している間がゆっくりコミュニケーションをとれるいい時間になりました。お風呂も当時は長男次男と三男、みんなで一緒に入っていたので、今でも上二人は下の子への面倒見がすごくいいです。出産直後は特に体調管理には気をつけなければいけませんし、今だって、子どもと一緒のお風呂は避けたいと思う日もあるでしょう?
国山 私の場合は第一子で、私も妻も何の知識もないので、すべて一緒にやる感じでした。夜泣きしたら一緒に起きて、ミルクを作って一緒にあげて、一緒に寝る。赤ちゃんの生活リズムに2人で合わせました。わからないことは妻に質問しながら、沐浴をしたり、ちょっと妻にライバル意識を持っていましたね(笑)。妻より上手くなりたい、みたいな。蓮見さんにも言われたのは「手伝うじゃなくて、“協力してやる”ものだから」って。そういう意識を念頭に、むしろ自分が先に覚えようという感じでした。
蓮見 我が家の場合は、妻が黒帯で僕が白帯。長男次男の時はほとんど家にいなかったから。二人とも初めての育児で一緒に走り始められるのは良かったよね。
国山 今はちょっと差が開きつつありますけど。復帰後の今は、私が午後から出社なので、朝起きたら妻が食事を作っている間、私が息子を着替えさせて遊んでいて、3人で一緒に朝ご飯。一日一回は必ず一緒に食事をしようと決めているので、今は仕事のスケジュールの都合で朝か昼を一緒にとります。出社後は妻のワンオペになってしまいますが、私が深夜帰宅なので、深夜の夜泣きのタイミングは私がミルクを作って寝かしつけます。子どもと同じ朝6時に起きるのはちょっとしんどいと伝えているので、そこは妻に任せて、8時頃に起きるシフト制にしています。どのシフトが一番よく回るか、そこはしっかり話し合いましたね。たとえば、朝も寝ようと思えばもっと寝てしまえるのですが、ちゃんと起きて家族で時間を作ろうと。出社がちょっと遅い日は外でお茶したり、公園を散歩したり。息子も成長してきて、そういう時間が楽しいですね。
——育休をとったことで夫婦関係や相手への気持ちに変化はありましたか?
蓮見 やっぱり二人で一役だねという話はよくするんですよね。我が家は分担が特になくて、やれる方がやれるタイミングでやる。逆に二人ともサボりたい場合は放置しています。二人で一役分を上手にやりくりできたら一日平和に終わります(笑)。育休中の3週間は、たまたま僕のタイミングだったんで。翌日の仕事のことを考えなくてよかったことも大きいですよ。
国山 子育て中の女性は本当に寝てないなと実感しました。育児ってこんなに睡眠不足になるんだと。一緒にやっているとは言え、僕にできないこともあるので妻への尊敬の念が増しましたし、夫婦関係は良くなりましたね。
——お二人の話を聞いていると育休は良いことづくめの感じがするのですが、一番良かったと思うのはどんなことですか?
蓮見 朝食と子どもたちのお弁当を作るようになったことかな。育休前は、夕飯は週に何度か作っていましたが、僕が朝食は要らないと言って出かけることも多かったんです。今は僕が用意して一緒に食べて、お弁当も準備して出社する日もあります。食事を作る時は、必ず冷蔵庫の中を確認してから買い物に行くようになりました。野菜室に古くなりそうな野菜があったらカットして冷凍しておけば、朝は出汁に放り込むだけで味噌汁を作れるし、冷蔵庫にあるものをチェックしてレシピ検索したり、そういった工夫も上手くなりました。
国山 家事のことで言えば、僕は使っている水の量を意識するようになりました。それまではシャワーも気にせず使っていましたが、水の使用量をチェックするようになって。家の中のことをこんなに考えるようになったのは初めてだなと気づきました。
蓮見 けど、いまだにできないこともあって、いわゆる見えない家事は苦手かな。洗濯や食事などのわかりやすいものは何でもできる自信がありますが、配達の野菜の注文はほぼやったことがないです。あとは小学校からの連絡関係も妻にお任せしてしまっている現状があります。
国山 僕も、買い物関係は妻に任せていますね。勝手に買ったら、妻から「こっちの方が安いよ」と言われたりするんですよね。ポイ活(ポイント活動)は妻の方がプロなので。
蓮見 あと、三男は僕のことを「お世話してくれる人」と随分前から認識してくれているような気がします。長男次男の時は幼稚園の送迎もお弁当も妻が当たり前だったけど、三男は本人が「今日はパパと」と選んでくれる。お弁当も作るようになったので、帰宅後に「パパ、全部食べたよ」と言って空の弁当箱を見せてくれるんです。僕が作った日はもちろん嬉しいし、作っていない日もそう言ってくれるから、めちゃくちゃ嬉しくて。彼の中にちゃんと「僕」もいるんだと感じられるのが嬉しいです。ハセン君の息子も絶対にハセン君に愛着があると思うよ。
国山 そういう意味では、育休取得で子育ての基礎は作れたと思っています。そのおかげで時間によるシフト制も組めているし、全力で遊んだりもできているので、向き不向きをお互いで補いながらやっていきたいですね。
蓮見 ただ、お弁当を作れるようになったとか子どもと過ごす時間が増えたというのは、僕にとってはあくまで通過点。もう少し長い目で子どもたちの様子を見てみたいですよね。というのも、良くも悪くも、人間が持っている価値観や思想ってそうは変わらない。でも、僕の子どもたちが大人になってパパになる選択をした時に、「そういえば、赤ちゃんが生まれた時にお父さんも休んでいたな」と父親の育休を選択肢の一つとして考えてくれたら、その時にようやく答え合わせができたというか、育休をとって良かったと実感できるんじゃないかなと。一緒に赤ちゃんのおむつを替えたこと、お風呂にも入ったこと、そんなおぼろげな記憶が彼らが大人になった時のモチベーションになる気がしていて。もちろん現行のままなら収入面での影響も少なくないし、様々な事情で育休をとれないケースもあります。必要ならとるべきだけど、夫婦で最適解が出ているならとらなくてもいいと思うんですよね。それでも、僕の場合、息子たちに対して、「おぉ、お前も育休とるのか!」と言えたら最高ですね。
撮影/渡辺謙太郎 取材・文/宇野安紀子 編集/羽城麻子