撮影/倉本ゴリ<Pygmy company>
子育てを通して、今まで以上にお金の大事さを実感するようになったけど、お金の使い方や貯め方なんて学校では教えてくれなかったし、みんなはどうしているの……? そんなママたちの悩みにこたえるべく、元外資系金融会社勤務、現在は企業の取締役をされているVERYモデル・申真衣(しんまい)さんに、毎月読者から寄せられたお金に関する質問に答えてもらうコラム連載。第3回は子育てにかかるお金がテーマです。(過去の連載はこちら)
【第3回】今月の質問
習い事や中学受験の費用など、教育費にどれくらいかけるべきか悩みます。
教育費の軸は2つ
「はやりに流されない」
「先に予算を決める」
中学受験というと、今放送している中学受験塾が舞台のドラマ『二月の勝者』も話題になっていますよね。私もコミックで読んで、自分の受験を思い出して懐かしい気持ちになりました。「小学生なのにこんなに勉強させてかわいそう」なんて親や周りは思っているのかもしれませんが、実は本人は結構楽しんでいたりするんです。振り返ってみると、私も「この学校に行きたい」という明確な目標はありませんでしたが、徒歩圏にある私立中に姉も進学していたので、きっとそこに行くんだろう、受けるからには受かりたい!と考えていました。
教育に関してはコスパってあるようでないと思うんです。お金をかけた分、子どもの生涯年収が上がるのかというとそんな保証はありません。だからわが家は夫と相談して「どれくらいかけられるか」という金額を最初に決めました。
大事なのは、はやりに流されないことだと思います。最近、海外の大学に進学したという話をSNSなどでよく見かけます。「これからは海外大」という雑誌の特集も増えました。でも、学費や滞在費などで何千万円もかけたって、ビザがない状態でアメリカで就職するのは簡単ではありません。そう思うと、一般家庭にとってはあまり現実的な話ではない気がします。まだ子どもが小さいうちはなかなかイメージしづらいかもしれませんが、気になったことはどんどんネットで調べて、予算がいくらあれば実現しそうなのか、というのを考えてみるのをおすすめします。
習い事は「みんながやっているから」では決めない
進路はさておき、英語教育に興味があって「まずは習い事から始めてみようか」というご家庭も多いかと思います。その場合も「なんのために英語が必要なのか」という目的をはっきりさせるといいんじゃないでしょうか。語学習得はかけた時間で結果が出るものです。ネイティブにするのにはかなりのコストがかかります。小さい頃から英語をやっていると耳が慣れるかもしれませんが、週1回4000円かけて習い事をするなら、中学、高校で1年留学してホストファミリーとたくさん話したほうがコスパがいいということもあるでしょう。
家庭や子どもによって、必要な習い事とそうではないものがあると思うんです。保育園によっても、庭があるかないかで運動量が違いますよね。運動量が足りないと思ったら体操教室に通わせるのもいいけれど、みんながやっているからやるというのは、ちょっと違うかも。
うちの年中の長女の習い事も、「お友だちがやっているからやる」というのは一切考慮しませんでした。今やっているのはピアノ、水泳、くもん、英語と中国語の家庭教師、アイリッシュダンス。水泳は夫の「いつか一緒にサーフィンしたい」という希望から。アイリッシュダンスは通っているスクールで先生に教えてもらったのがきっかけで、本人が気にいったので続けている感じです。くもんはとにかく座る習慣をつけてほしいと思って始めました。早期教育で学んだ内容は頭には残らないけれど、机に座る習慣は残る。国語と算数を毎回20分かけてやっていますが、先生がほめてくれるのがうれしいようです。
習い事を始める前に、「何かを続けることの大事さを学んでほしい」「親じゃない誰かに叱られる体験をしてほしい」「集団の中で何かを学んでほしい」など、家庭の教育方針を棚卸ししてみるといいと思います。
おもちゃはほとんど買わないけれど、「絵本タイム」は最優先
我が家の教育方針の一つに「自分の時間を自分で工夫して楽しんでほしい」というものがあります。だからなんでも与えすぎないように、おもちゃもあまり買いません。子どもは家のあるもので工夫して遊んだり、オリジナルの遊びを考えたりと自由に過ごしています。
家にはテレビもゲームもなし。その代わり、絵本は惜しみなく買っています。しっかり睡眠時間をとってもらいたいから、「読み聞かせは平日夜はパパママ1冊ずつ」というルールはありますが。
絵本を読むことで国語能力も高まると思っています。仕事で帰りが遅く夜読めない時は、朝に読んであげることも。親と一緒に本を読む時間が子どもには何より楽しみのようですが、私にとっても1日の中で一番優先したいひとときです。
▲最近お気に入りの絵本たち
取材・文/樋口可奈子