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【心の入園準備】お茶の水女子大学こども園園長メッセージ全文掲載

「2021年度、入園おめでとう」

いよいよ迫った我が子の入園入学。ただでさえ心配がつきものなのに、コロナ禍でさらに不安を募らせているママも多いのではないでしょうか。「0歳児で預け始めますが、マスクで表情が見えない保育ではコミュニケーション上の発達が心配。また、そもそも0歳という年齢で預けて大丈夫かという漠然とした不安がぬぐえません」「保育園の行事が軒並み中止になっていると聞き残念。子供たちにとって大切な思い出が減ってしまうのでは?」などの心配の声も、よく耳にします。こんなときに、親としてできることは何なのか、悩んでいるママも多いはず。〝とはいえ預けずに引きこもるわけにもいかない〟というママたちへ、「心の」入園準備をするためのお話を、幼児教育のプロフェッショナルにうかがってきました。

文京区立お茶の水女子大学
こども園 園長
宮里暁美さん

国立大学法人お茶の水女子大学人間発達教育科学研究所教授。30年以上保育の現場や保育者養成に従事。著書に『子どもたちの四季』(主婦の友社)など。3児の母。

“お母さん、悲観しないで。
子どもってどんな状況でも
楽しいことしか
数えないものなんです”

 

コロナ禍で、多くの幼稚園や保育園は皆さんと同様に不安な中で対応を続けてきました。マスクをしたままの保育や誰とも話さずに給食を食べるなど、感染防止のためにとらざるを得なかった対応が子どもたちの心に与えた影響は大きいと思います。

でも、子どもは「集まる」のは好きだけれど、集められたり待たされたりすることで生じる密の状態はもともと好きではないんです。3密を避けて分散して取り組めるようになったことは、幼児教育の中ではメリットもあったなと思うんですね。コロナ禍が続く中、「これができなかった」というより「こうしたら前より良くなった」という園も増えてきていて、豊かな体験を守ろうという動きが高まっています。

私もマスクをしながら目で笑う練習をしていますが、大人がマスクをしているから0歳・1歳児の笑顔が減ったとは感じません。人が育つということは、そんなに単純なものではないと思っているんです。子どもたちに気になる行動があったからといって、マイナス面を拡大して見て、簡単にコロナと結びつけたりしないように、と思います。

 

子どもたちは「こんな状況いつまで続くんだろうね」とは言いません

 

大人は失ったものを数えがちで私もそうでしたが、つくづく子どもは楽しいことしか数えないものだなぁと思います。でも大人が不安なままだと、子どもにも不安な心が移ってしまう。「貸切りバスに乗って動物園に行けなくてかわいそう」と言うのは大人だけで、子どもたちは、リュックサックにお弁当を入れて近所の公園に出かけるだけでも「遠足、遠足!」と、とてもうれしそうでした。だから、「あなたたちは大変な時代を生きている」とか「大切なものを失った」とは絶対に言ってはいけないな、と。小さな子どもたちは失ったと感じてはいないのですから。

新型コロナウイルスによる影響は大きいです。でも在宅勤務が普及したり、バーチャルで水族館や博物館を楽しめたり、家でパンケーキを焼く時間ができたなど、大人の努力や工夫がつながって家族の新しい時間が生まれたのもまた確かです。それが子どもを笑顔にしたこともあるはず。子どもたちに必要なのは、遠くに旅行することではなく、親子で笑い合える温かい時間です。だから、ウィズコロナでできることはいっぱいあるなと思いますし、このような状況の中でもプラスを見つけ出そうという前向きな気持ちが、人間を生き延びさせてきたのではないでしょうか。普段はポジティブな人も、我が子のことになると途端に心配になってしまうものなんですよね。「心配」とはつくづく不思議なものです。でも子どもはそんなヤワではないし、感染防止対策を確実に行い健康に気をつけて過ごしていれば、この経験は無駄ではなかったと思える日が必ず来るでしょう。

去年のGW、園で鯉のぼりを泳がせてみて、すごく心が救われました。自粛期間中は日常を楽しむことさえどこか罪悪感を持ってしまっていたんだな、と気付かされました。日常生活を丁寧に過ごしたり、年中行事を楽しんでみたりするのは良いことですね。ウィズコロナも、1年2年と続けばそれは非常事態ではなく常態ですから、上手な付き合いをしていきたいものです。

 

子どもが必要としているのは、笑顔のお母さん。「大丈夫」という言葉をお守りに

 

預けはじめるのは、0歳4カ月からでも3歳からでも、変わりなくどれも良いと思います。「0歳から預けられてかわいそう」という声を聞くと「どうして?」と思ってしまう。働いている間、子どもらしく落ち着ける場所に預けられていることはなんら悪いことではない。保育園や幼稚園を安心して、活用してほしいですね。

感染防止のためおもちゃの色が消えるまで消毒をしたりという話を聞いたことがあります。「そこまでやらなくても」とは言えません。子どもたちの命を守っているわけですから。厳しいコロナ対策を講じる園はもちろん多いですし、答えの見えないコロナ対策の会議を繰り返して疲弊しているという園の話も聞きます。私個人としては、きちんと対策はする一方でおおらかに暮らす方法があればいいなぁと切に思います。

赤ちゃんを抱っこしないで、濃厚接触しないで赤ちゃんを育てることはやはりできないのですから。いろんな心配もあるでしょうが、大人だって、心配ばかりされると居心地が悪いでしょう。子どもたちは笑ったり嬉しいことが大好きです。ママたちには「大丈夫」という言葉をお守りに、深呼吸しながらできるだけおおらかに過ごして、入園を迎えてほしいなあと思っています。

 

撮影/相澤琢磨 取材・文/有馬美穂 編集/羽城麻子
*VERY2021年3月号「ウィズコロナ時代の、心の「入園準備」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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