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子どものお小遣いに『誰かのために使わないと1年後に消える500円』の新提案!

「お金ってなんで必要なの?」何気ない子どもの質問に、ドキッとしたことがあるママたちに向けて。『きみのお金は誰のため ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』の著書である田内学さんの連載が復活!今回は、お金の有意義な使い方について悩むママにお答えします。

元GS、社会的金融教育家・田内 学さんが回答!
ママのための「お金の教育」
悩み相談室

今月の戸惑うママ
Yさん(40代 共働き、小2と5歳のママ)

週1出社、リモートワーク中心の会社員として働く傍ら、副業でライター業もこなす2児のママ。サッカー少年な兄におこづかい制を導入したところ…。

小2の息子に、定額+お手伝いに対する報酬としておこづかいをあげています。ただ、せっかくあげても全く使わずに貯め込んでいるだけ。どうやったらお金の有意義な使い方を教えられるでしょうか。

お金が減る=幸せが減る?

田内 学さん(以下、田内) おこづかいは、今いくらあげているんですか。
読者 Yさん(以下、Y) 1カ月500円がベースです。それにプラスして、壁にお手伝いの一覧表を用意して、何かやってくれたらその数だけシールを貼って、月初に集計してお金を渡しています。お手伝い分は10、20円程度ですが、5歳の妹と一緒になって頑張ってくれています。ただ、息子はそうやって貯めたお金をなかなか使おうとしないのが気になっていて。おもちゃなどは「ママがお金を出してくれるなら、買ってもらおうかな」という感じです。学用品や、今夢中になっているサッカーで必要なものがあったら、私に交渉してきます。
田内 なるほど。Yさんは、どんなものが「必要」だと考えているんですか?
Y サッカー用品なら、シューズやボールを入れるバッグは買い与えました。キーパーグローブをねだられたことがあったのですが、息子のポジションはキーパーではないんです。だから、それは自分で買ってと伝えました。それ以外に息子がお金を使うのは、ゲームのカードくらい。すでにたくさん持っているのに、「レアカードが出ない」という理由だけで使ってしまうのは引っかかります。
田内 最近の子は、「親を納得させられたら買ってもらえる」ことが分かっているんですよね。だから、自分のお金を使ってまで買いたいものはないという子も珍しくないような気がします。Yさんとしては、「ゲームのカードに使うくらいなら貯金してほしい」のか「せっかくだからお金の使い方を学んでほしい」のか、どちらの気持ちが強いのでしょうか。
Y 湯水のようにお金を使うよりは、貯金してくれるほうがいいのですが…せっかくあげているのに使わないのはなぜ?と思ってしまうんです。お手伝いした分を報酬として渡す仕組みは、人の役に立ったらお金がもらえるとか、がんばったらお金がもらえるということを実感してもらいたいと思って始めました。でも結局息子は、「○円貯まった」ということだけに喜びを見出しているようで…。
田内 お金を使いたいか貯めたいかは、それぞれの価値観だと思います。ただ、息子さんの年頃だとお金を使うことの充足感を知らないだけかもしれないので、まずは使わせたらいいとは思うんです。その上で結果的に欲しいものがないから貯めるというのであれば、それがお子さんのお金に対する価値観ということです。
Y お金を使わないと経済も回らないと思っています。そういう話をしてみてもいいのでしょうか?
田内 子どもにお金の使い方を教えるにあたって、「経済を回す」という言葉とは切り離したほうがいいと思います。今の日本で生活が苦しくなっているのは、みんながお金を使わないからではありません。圧倒的に足りないのは人手です。これまでの日本には、人も生産設備も十分にあったので、「お金さえ使えばもっと経済は回る」のが当たり前でした。景気が良くなれば仕事が増えて収入も増えるから、さらに欲しいものが買えました。ところが、人手が足りない状況では欲しいものを作ることができません。人件費が上がって、国内旅行や新築マンションの価格が上昇していますよね。人手が見つからなければ、陥没の危険性がある道路を点検することもできません。今後さらに人手不足が深刻化することを考えると、「経済を回す」ためではなく、本当に必要なことにお金を使うことの方が大事になると思います。それだけではなく、「経済を回す」という言葉には「お金を使うことが偉い」といった価値観が滲んでいるような気がしませんか? それよりも「お金は自分や身近な人を幸せにするために使うもの」と教えてあげたほうが、お子さんも前向きに捉えられる気がします。
Y 大人の私にとっても身に沁みる話です。ちなみに息子は数字が好きなので、数としてお金が増えていくことが嬉しいみたいなんです。
田内 数字は増えたのか減ったのかが、客観的に判断できますからね。それに比べて、幸せは数値化するのが難しいもの。本来、お金は溜め込むより使ったほうが幸せになるはずなのに、なぜか使うと幸せが減ってしまう感覚があるのではないでしょうか。
Y なるほど。息子にとって、お金が減る=幸せが減ると捉えてしまうのかも!

「誰かのために使わないと1年後に消える500円」を提案してみては?

田内 お金の使い方を覚えさせたいという親の目的と、息子さんがお金を貯めたいという気持ちは分けて考えてあげるといいかもしれません。今、おこづかいは500円ですよね? 例えば毎月1,000円あげることにして、そのうち500円は誰かのために使わないと1年後に消えてしまう、というやり方を試しても面白いかもしれません。私が勤めていたゴールドマン・サックスでは、一定以上の役職者の給与の一部に「社会貢献に使うための枠」が設けられていたので、寄付をすることが盛んでした。期限内に使わないと消滅してしまうだけなので、使わなくても自分は損をしません。でも、せっかくもらえるなら有効に使いたいと考えるわけです。
Y 「期間を設ける」「人のために使う」という前提で、知恵を使わせるということですね。残りの500円は今まで通り自分で判断して貯めてもいいということであれば、提案しやすいです。ところで、人のために使うといった際に、どういった使い道があるでしょうか?
田内 人のため、とはいってもご自分で「ママのために使って」とは言い出しづらいと思うので、妹やパパのために使ってもらうのはいかがでしょうか?ここで大事なのは、相手が喜んでくれそうなことを見つけること。自分の好きなゲームのカードを妹にあげても、妹が喜ばなかったらケンカになってしまうかもしれないですよね(笑)。もちろん、そうした失敗から学ぶことがとても大事なのですが。大人は人から何か贈られると、つい同等の金額で返そうと思ってしまいがちです。でも子どもの場合はその前提は気にせずに、限られた金額の中で最大限できることを考えるといいと思います。
Y お金の使い方だけでなく、人の気持ちを考える練習にもなりそうです。実は、お手伝いした分をお金で渡すようになった後、たまたま一覧表にはなかったことをお願いしたら「やってもシールがもらえないなら、やりたくない」と言われたことがあったんです。ついカチンときてキツいことを言ってしまいましたが、もともとは私が困った時に何かを頼むと喜んで動いてくれる子なんです。お金を渡すより、「ありがとう、助かったよ」と伝えることで、人の役に立つ喜びをもっと感じてもらえたかもしれないんですね…。

 

「何にお金を使ったら幸せ?」

田内 「パパとママの役に立った時におこづかいをあげる」という話はさまざまなご家庭からよく聞きますが、お金の教育としてはあまり勧められません。役に立つことでお金がもらえるのは、あくまで知らない人との間の話。相手が喜ぶからやってあげようと思えるのが、近しい人との正しい関わり方だと思います。小さい子がお手伝いしてくれるのって、単純に「ママが喜んでくれる」からだと思うんですよ。それがいつの間にか、報酬がないと動かないようになってしまうと、元には戻しづらいことも。損得勘定しか働かない人間関係って、寂しい気がしませんか?
Y 確かに妹は今なんでも手伝いたがる時期ということもあるのか、シールがもらえないようなことでも積極的にやってくれます。…なんだか急に怖くなってきました。お手伝いをお金に変えることはやめたほうがいいですか?
田内 今からやめますと言って、小2の子を納得させるのは難しいと思います。シールと共に「ありがとう」を伝え続けるだけでも十分だと思いますよ。シールだけが目的になってしまうことで、「相手が喜んでくれるからやってあげる」という子どもの気持ちを削いでしまう可能性があるので、そこだけ気をつけてくださいね。
Y まずはお手伝いをしてくれたら、きちんと感謝の気持ちを伝えることにします!その上で、おこづかいの活用方法は、息子の気持ちをもう少し聞いてみようと思いました。そういえばキーパーグローブも、去年学校から出された「欲しいものを考えよう」という宿題から本人が思いついたものなんです。「僕はサッカーが好きで、家でゴールキーパーの真似をしたいから」って。本人なりに突き詰めて考えたから、自分でお金を出してでも欲しいと思えたんですね。
田内 「何にお金を使ったら幸せ?」という話を親子でするといいかもしれないですね。「うれしい」とか「満たされる」といったキーワードでもいいと思います。結果的に出てきた答えがゲームのカードだったとしたら、それが息子さんの価値観ということになってしまいますが、きっとYさん親子なりの答えが見えてくると思います。
Y ありがとうございます。お金を使うことに価値があって、それで自分が成長できることや満足できることは何かを考えてもらえるよう、うまく伝えていきたいです。

田内学さん

田内学さん
1978年生まれ。2001年、東京大学工学部卒業。 2003年、同大学院情報理工学系研究科修士課程修了後、ゴールドマン・サックス証券入社。日本国債、円金利デリバティブ、長期為替などのトレーダーに。2019年に退職後は、子育てのかたわら、金融教育家として講演や執筆活動を行っている。インスタグラム@tauchi mnbで経済やお金の情報を発信中。

田内学さんの著書『きみのお金は誰のため』

『きみのお金は誰のため
ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』
田内学著¥1,650/東洋経済新報社
中2の優斗はひょんなことで知り合った投資銀行勤務の七海と謎めいた屋敷へ。そこにはボスと呼ばれる大富豪が住んでおり「お金の『3つの謎』を解けた人に屋敷を渡す」と告げられる。大人も子どもも一緒に読みたいお金の教養小説。

イラスト/犬ん子 撮影/吉澤健太 取材・文/樋口可奈子 編集/中台麻理恵
*VERY2025年4月号「ママのための「お金の教育」悩み相談室」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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