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大塚 愛さん「子どものころはピアノが苦手」音楽好きになったきっかけは?

2003年にデビューしシンガーソングライター、アーティストとして活躍する大塚愛さんがVERYwebに初登場! 昨年デビュー20周年を迎え、この夏は自身初となる個展を開催するなど勢力的に活動中です。大塚さんの音楽やアートにまつわる感性を育んだ幼いころの家族の思い出を伺いました。

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大塚愛さんが描く油絵、そして普段の表情

習い事のピアノは「大嫌い」でした

──幼少期からピアノに触れ、10代から作詞作曲をスタート。学生時代に送ったデモテープがデビューのきっかけになったという大塚さん。子どものころはどんな環境で育ってきましたか

音楽など芸術が好きな家庭に育ったわけではないのですが、ピアノは4歳から習っていました。でも、はじめた当時はピアノが嫌いで(笑)。先生がけっこう怖い人だったので、当時は仕方なく続けていたようなものでした。課題曲はクラシックばかりで興味がもてず、練習もほとんどしませんでした。「何でこんな曲を弾かないといけないんだろう」と思っていたくらいです。「練習しなさい!」と怒られ続けてもいっこうに気持ちが入らなくて、最終的には先生があきらめたんですよ。「もう、好きな曲をやればいいよ」って。それでポップスの楽譜を練習するようになったら、はじめて先生から褒められたんです。「正直、誰よりもヘッタクソだけど、あなたのピアノには心があるの。まるでピアノが歌っているようだから、人の心に届くのよ。それはあなたの武器だからこれからも大事にしなさい」と言ってくれました。「いい曲だな」って思うと、気持ちが入るんですよね。音楽はもともと好きでしたが、ようやくピアノが好きになって、「好きな曲を弾きたい」と目指す方向が定まっていった感じでした。

 

「勉強しなさい!」と言われたことはありません

──ご家族はどんな方たちですか?

両親は学校の勉強についてうるさく言うことはありませんでした。テストで0点を取ったとしても、たぶん何も言わなかったんじゃないかな。勉強や学歴が人生の第一優先では決してない、むしろどうでもいいというような価値観のもとで育ちました。高校受験のときも「公立だと入学試験が5教科で大変じゃない? 3教科で受けられる私立にしたら?」と言われたほど。でも、学びたいことや目的がないのに私立の高い学費を出してもらうわけにはいかない! と、当時は本気で思っていて結局自分で公立校の受験を決めました。

 

いつも私を「べタ褒め」してくれた母

──前のインタビュー(記事はこちら)では、「曲が売れても高い買い物ができなかった」と仰っていましたが、堅実志向で心配性なのは昔からなのですね(笑)。

家では、ピアノを弾いたり歌を歌ったりしていると、必ず母親がベタ褒めしてくれました。母は生まれつき心臓が弱くて病気と闘いながら生きてきたので、自分ができることは何もないと思って、娘には好きなことをさせてくれたんだと思います。曲作りに使う機材など、欲しいものは迷わず買ってくれましたし、私が歌ったりピアノを弾いたりするだけで、「もう、なんて素敵なのっ!」という感じで思い切り褒めてくれました。勘違いであっても「私、もしかしたら向いているのかも」という気持ちになって、ますます音楽好きになってしまうような環境でした。私は一人っ子として育ったせいか、幼いころから一人で留守番をしても寂しいと思うことがありませんでした。むしろ親がいないと「自由だー!」とテンションが上がる感じでした。大人になった今もよっぽどの用事がない限り自分から連絡することは少ないです。たくさん愛情を注いでもらっていて、離れていても安心感があったからだと思いますが一人で過ごす時間もとても大切なんです。それでも、デビュー前に一度、親に弱音を吐いたことがありました。はじめて親元を離れて東京に行き、デビューシングルのためのデモテープを制作していたのですが、アレンジがうまくいかないまま実家のある大阪に帰る予定日に近づいてしまって。本当につらくて「うまくできない」と電話で母に弱音を吐いたら、「できるまで帰ってこなくていいよ」と言ってくれました。そのひと言が本当にありがたかったのを覚えています。

 

『買物ブギー』のバイブスに夢中だった幼少期

──朝ドラ『ブギウギ』でも話題になった歌手の笠置シヅ子さんを尊敬しているという話を聞きました。どんなところがお好きですか?

10歳ぐらいから笠置シヅ子さんの『買物ブギー』が好きなんです。アニメ『ちびまる子ちゃん』の映画で劇中歌として流れてきて、衝撃を受けたのがきっかけです。幼い頃から「男っていうだけでエラそうにしていてムカつく!」という怒りがあったんですよ。同じ大阪で育った笠置さんが曲を発表したのは私が生まれるより前の時代ですが、曲中で「おっさん」を連呼して畳み掛けるバイブスにノックアウトされました。音楽ってこんなふうに自由でいいんだ!と曲作りの概念がぶち壊された瞬間でしたね。

──最後に、VERY読者に向けて、おすすめの自作3曲を教えてください!

『kit palette』は、何気ない毎日だってすべてがスペシャルだという内容の、前向きで明るい気分にさせてくれる曲です。毎日、家事をこなしているVERY読者の皆さんが「代わり映えしない」と感じている毎日はスペシャルなんだよ、と気づくきっかけになる曲だと思うので、ぜひ皿洗いとかしながら聴いていただきたいです。もう一曲『日々、生きていれば』の曲は、慰めてくれる感じです。なんか毎日いろいろあるよね、と共感してもらえる曲なので、子どもが寝た後に一人でお酒を飲みながら聴くにはすごくいいんじゃないかなと。私自身ですか? 家ではほとんどお酒を飲まないんですよ。喉を使うお仕事があるときは飲まないようにしているのと、むくみやすい体質なので自然とお酒は控えるようになりました。最後にもう一曲、『君フェチ』は、色っぽくセクシーな気分になれる曲です! ちょうどVERY世代くらいの女性って、年齢を重ねたからこそにじみ出る色っぽさや魅力にあふれていてある意味「最強」だと思っているんです。この曲は、たとえて言うなら女性ホルモンがバーッと出るようなちょっとエッチな歌詞なのですが(笑)、VERYの読者の皆さんにもぜひおすすめしたい一曲です。

PROFILE

大塚愛(おおつか・あい)
シンガーソングライター。1982年生まれ。『さくらんぼ』『プラネタリウム』など多数のヒット曲を⼿がけるほか、楽曲提供や絵本制作、イラストレーション、⼩説を寄稿するなどマルチな才能を発揮。近年では油絵を本格的に描き始めるなど精⼒的に活動中。

この夏、大塚愛さんが初の個展を開催!

昨年デビュー20周年を迎えた⼤塚愛さん。2019年から本格的に油絵を描き始め、その後、書道、フラワーアレンジメントなど幅広い分野で創造的なクリエイションを発表。初の個展となる今回のイベントでは、⾃⾝の楽曲をテーマに描き下ろしした作品を展示します。また、CD付パンフレット『AIO ART』が個展会場とmu-mo shopで限定販売! 油絵の作品集に、全曲ピアノ・インストゥルメンタル・ミニアルバム『graine』のCDが付属。CDに収録された楽曲は各音楽サブスクリプションサービスにて配信中です。

AI OTSUKA 20th ANNIVERSARY ART EXHIBITION AIO ART

開催期間:2024年7⽉18⽇(木)〜7⽉29⽇(月)
スパイラルガーデン(東京都港区南⻘⼭5-6-23 スパイラル1F)※⼊場無料

【⼤塚愛さんからのmessage】
⾔葉とメロディを使って20年以上作品を創り続けてきた中でメロディから⾒える景⾊、⾔葉から⾒える神気をそれぞれ細分化し、表現したく今に⾄りました。そうすることでまた新たな⼀⾯や物語をぜひ観ていただけたらと思います。

取材・文/亀井ゆりこ

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