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青木裕子さん「アゲハ蝶の幼虫を飼っています」小学校受験にも役立つ“体験”って?

小学生の息子二人の小学校受験を経験した青木裕子さん。子どもの学びにつながる12カ月の具体的な「体験」のアイデアや専門家の解説をまじえた子育てのヒントが満載の著書『3歳からの子育て歳時記』(講談社)が好評発売中です。「特別なことをしなくても、日常の中でいろいろ体験ができることを伝えたかった」と話す青木さんに、おうちでできる体験学習のコツや育児で大切にしていることを聞きました。

家庭菜園、昆虫飼育……
日常の体験から学べることはたくさんある

──青木さんの新刊では、お子さんはもちろん、家族全員で楽しみながらいろいろな体験をされているのが印象的でした。季節の行事に合わせたさまざまな体験からの学びを紹介されているので、幼稚園や保育園のイベントに照らし合わせながら活用することもできそう。受験を考えている方にとっても最適な参考書になりそうです。

ありがとうございます。小学校受験に限らず、子育てする上でいろんな体験をさせたいと思っても「お金がかかるのでは?」「仕事が忙しくて時間がない」と尻込みしてしまう人も多いかもしれません。でも、家の中でできる範囲のことでも子どもは十分楽しめます。

 

 

3歳からの子育て歳時記』(講談社)より

 

──ほかにも昆虫飼育や家庭菜園など、子どもと一緒にできる身近な体験が盛りだくさんですね。

我が家の家庭菜園はベランダからスタートしましたが、近所にシェア畑を借りていたことがあります。コロナ禍でおでかけができなくなった際に「気兼ねなく外で過ごせる場所がほしい」と思って。あちこち遠出しなくても「毎週土曜日は家族で近所の畑に行く」と決めれば、それが1年通しての子どもの楽しみになる気がします。昆虫飼育は私自身も楽しみにしていることの一つ。アゲハチョウの幼虫は自宅でも比較的育てやすいのです。アゲハの幼虫が好きな種類の葉を入れておけばそれを食べてくれるので「ペットを飼ってみたいけれど、お世話する余裕がない」という人もチャレンジしやすいのではないでしょうか。それに比べるとややスペシャルになってしまいますが、6〜7月限定の西伊豆でのトビウオ漁は、家族全員が大好きな体験のひとつです。海上を飛ぶトビウオの美しさには、毎回感動します。漁に出るのは夜なので、仕事が終わった後に移動することもできると思います。ここ2年ほどは天気に恵まれず行けていないのですが、今年の夏こそは! と思っています。

 

家族で蛍観賞に出かけたホテル椿山荘東京にて(写真/青木裕子さん提供)

 

親の前のめりには要注意「待つ」ことも大事

──青木さんの普段の暮らしが垣間見えるエッセイもこの本の魅力です。お子さんが小さいころはラップの芯や食材の入っていた透明パックを「工作か何かに使えそう」と保管し続けて部屋に山積みに、というエピソードに、共感しつつも思わず笑ってしまいました。

いまだにトイレットペーパーの芯は捨てずに取っておくくせがあります! 振り返ってみると、私が前のめりになりすぎてしまったと思うエピソードはほかにも。親子で高尾山から山登りを始めて、おととしの夏には家族で富士登山もしましたが、張り切って「次は違う山に挑戦してみない?」と提案したら、子どもからは「高尾山のほうがいい」と言われてしまい……。親が先回りせず、待つことも必要なのですよね。潮干狩りに行って「なんで潮が引くのだろう? お月様と関係しているのかな?」なんて子どもに問いかけると、それは単なる理科の授業になってしまう。子ども自ら「なんでだろうね」と聞いてくるまで、待ちたいと改めて思いました。

 

──珍しい経験や初めての体験にも「楽しかった」「面白かった」だけで終わってしまうなど、お子さんの語彙力不足に悩んでいる人もいるかと思います。青木さんならどんな声がけをしますか?

大人だって「楽しかったー」「おいしい!」で済ませることが多いですよね。私も夫と「アレが」「ソレが」で会話してしまうことも多いです(笑)。子どもの語彙を増やしたいのであれば、大人も意識していろんな言葉を使って会話する必要があるかもしれません。感想を聞き出すのではなくて、「ママはこんなふうに思ったよ」と話すことから始めようと意識しているところです。なかなかできないのですが。この本に寄稿してくださった、中学受験専門塾「スタジオキャンパス」の矢野耕平先生から聞いた話ですが、家が雀荘を経営されている生徒さんの語彙力が非常に高かったということがあったそうなんです。「日ごろからたくさん大人の会話が耳に入る環境だったので、自然と語彙が増えたのではないか」と矢野先生はおっしゃっていました。親以外の大人と話す機会があると、格段に会話の力がつくことがあるようです。机に座って作文を書かせて「いろんな表現を使ってね」と指示しても、すぐに子どもは勉強がイヤになる気がします。それよりも習い事の先生や友達の親など、大人との会話を通して、じっくりと自然に国語に触れていってほしいと思います。

 

親ができるのは「自分で考えるためのベースを育てる」こと

──この春から青木さんのお子さんは小学5年生と3年生。親としての関わりもだんだん変化していると思いますが、最近はどんなことを意識して接していますか?

自立に向けて、少しずつ手を離すことも増えてきました。最近、長男は念願のスマホを持つようになり、今はお友だちとのショートメールのやり取りとカメラ機能に夢中です。フィルタリングなど必要な設定はしましたが使い方については基本的には子どもに任せ見守っています。これから成長するにつれいろいろなことに出合ったり壁にぶつかったりすると思いますが、子どもが自分で考えるベースを育てることまでしか、親にはできないと思っています。

 

──今、子育て真っ最中の読者にメッセージをお願いします。

うちの子もまだ小学生。ママとして偉そうなことは何も言えないのですが、親子が楽しんで一緒に時間を過ごせるだけで、十分ではないかと思います。思ったように子どもは育たないもの。でも思い通りにならなくても心折れずに、ママ自身も「自分が楽しいから」と取り組む姿勢でいくのが家族にとっての幸せではないかと思います。

「アゲハ蝶の幼虫を飼っています」青木さん流・昆虫の育て方は?

※以下『3歳からの子育て歳時記』(講談社)より抜粋

 

昆虫飼育──学びが多い、さまざまな虫の飼育

虫が好きです(と言っても、子どもが生まれてから好きになったので、にわかです)。今は羽化からもう3回目の夏を迎えるオオクワガタのメスと去年我が家にやってきたノコギリクワガタのオスをまったりと飼育しているだけですが、子どもたちが幼稚園児の頃はカブトムシの卵を50個以上孵化(ふか)させたこともありました。

それはそれで楽しいのですが、どうしても土を使っての飼育だと、ダニやコバエとの戦いが絶えません。コバエの繁殖力というのはすさまじく、一時はカブトムシを育てているのかコバエを育てているのかわからないよ!となってしまったことも。夜ごと、戦いを繰り広げ、コバエ撲滅に至ったときの喜びといったら……。と、話がそれましたが、その点、とても快適に飼育ができて、私がこの時期に楽しみにしているのが、アゲハチョウの幼虫飼育です。昆虫飼育初体験という方にはぜひオススメです。幼虫は黒から緑、その後蛹(さなぎ)へと変態し、その過程を観察できるので(つまり土の中などで起こるわけではないので)、子どもたちが興味を持ちやすいと思います。また何より、蛹から蝶へと羽化したときの美しさには感動します。羽化は明け方のことが多いので、その瞬間を目撃できたことは1度しかないのですが、子どもと一緒に夢中になりました。今年はまた子どもたちと観察したいなあと、週末に羽化してくれることを願っています(笑)。

 

幼虫が蛹になり羽化するまで観察しました(写真/青木裕子さん提供)

 

アゲハチョウの幼虫の餌は柑橘類の葉っぱです。もともといた木の葉っぱなどが一番だと思いますが、私は知人に幼虫を譲っていただいて、カラタチの葉やアゲハソウの小さいポットなどを購入して餌にしています。見えにくいところや、羽化する足場がなさそうなところで蛹になってしまったときなどは、紙と割りばしで“蛹ポケット”を作って入れると観察がしやすいです。蛹になる場所によってその色が変わるのもなかなか興味深いです。昆虫飼育はいつもうまくいくわけではありませんが、そこから学べることはとても多いと思います。親子で楽しんで取り組めるとよいですね。

『3歳からの子育て歳時記』

青木裕子 1500円(税込1650円)/講談社

 

 

フリーアナウンサーで、2人の男の子を育てる青木裕子さんのFRaUwebの人気連載『子育て歳時記』を書籍化! 親子「共育」として、3歳から一緒に楽しめる12カ月のさまざまな体験の実例をお届けするほか、青木さん自身の子どもの小学校受験の振り返りや、帯状疱疹ができたエピソードなど、連載公開時に大きな話題を呼んだ、子育てお悩みエッセイも収録。教育の選択肢が増えた時代に偏差値だけではない、長い目で見た「自ら学ぶ力」「勉強が好きになる力」を、未就学児の期間にどのように身につければよいか…小学校受験、中学受験、探究学習のプロによるアドバイスも!

撮影/川﨑一貴〈Ajoite〉 取材・文/樋口可奈子

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