ママが『がん』になったら?子どもは?仕事は?その先の人生を見つめ直さざるを得ない、大きな病気です。罹りたくはない病気だけど、年々身近になっているのも事実だから……もし隣のママががんになったら、受け止めて、受け入れて。今回は、希少腫瘍が見つかり、調べ尽くして医師を見つけたというライター・関城玲子さんに話を伺いました。
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〝9人に1人〟は他人事じゃない
VERY編集部のメンバーも
〝がん〟を経験しています
【がんになったら、患者は受け身?】
❝希少腫瘍とわかり、
調べ尽くして見つけた医師。
患者になる道筋は自ら作りました❞
──ライター 関城玲子さん
「結婚相手を探すようなものだから、
納得いくまで紹介状は何通でも」と
最初の担当医も協力
私の場合は、乳がんではなく、大腸に腫瘍が見つかりました。ちょうど元夫と離婚の話し合いを進めている渦中で、落ち込んでいる場合ではありませんでした。小学4年生だった息子とはその前から〝バディ〟のように生きてきたから、何も隠すことなく、泣くことなく毅然と伝えるべきだと思いました。そして彼も、そのときもその後も体調を気遣う言葉はあれど、弱音はなし。最近聞くと、「一人ではいろいろ考えた……」とは言っていましたが。
死ぬわけにはいかない。NETは珍しい種類の腫瘍。告知当初は、患者はどうしても聞き手になってしまい、医師の質問に答えるだけで終わってしまいがち。ネットで検索しても自分がそのとき欲しかったポジティブな情報はほとんどなくて落ち込むだけ。周囲のアドバイスもあり、ネットを封印していた時期もありましたが元々リサーチ魔で何でもとことん調べて自分で納得することを選んできた人生なのに、肝心なときに私はそれを放棄するの!?と奮起。患者のためのサイトだけでなく、英訳アプリを片手に医療従事者向けの論文や文献も読み漁り、英語を知人に読み解いてもらったり。その当時の主治医にも本音を話し、一般的にお願いするのは気が引けると言われる紹介状も2回書いていただきました。その過程でこの方に診ていただきたいと思える医師に辿り着きました。
年間の発症率は10万人に3~5人と言われる希少腫瘍。その患者を全国に何百人と持つ先生であること、そしてその人柄にも信頼を置いています。もちろん、完治となるまでは私の選択が正解だったのかはわかりません。でも、この先生のもとで手術を受け、今も治療、経過を診てもらえていることに私自身が納得していることがとても大切な気がしています。
プライベートではスペイン在住のパートナーと縁があって、私も拠点を向こうに。今はスペインの大家族、友人たちと賑やかな毎日を過ごしており、数カ月ごとに日本に帰国、仕事も続けています。理解して仕事を発注してくださるクライアントにも本当に感謝なんです。息子の学校のことや仕事のことを考えたら、移住に関して以前なら親も反対したでしょう。でも病気になって初めて、自分の人生の期限を感じた。再発の恐怖と隣り合わせの側面も。だから、ここからは人生のアディショナルタイムだと思って生きていこうと。誤解を恐れず言うと「病気になってよかった」とさえ思えているんです。
チームVERYでがんサバイバー会を開催! 信頼できる間柄で病気の近況報告や情報交換ができることは何より心強く、貴重な機会となりました。
(左から藤田、関城さん)(佐藤さん衣装)ニット¥29,700(エレンディーク)
病気がわかるまで&治療の経緯
2019年9月から 腹部に違和感
2019年10月 クリニック受診、内視鏡検査→追加検査要の電話連絡
2019年11月1日 院長より告知
2019年11月上旬 1つめの大病院受診
2019年11月下旬 大学病院のNET専門医へ
2019年11月末 手術に向け再度内視鏡やMRI
2020年1月 入院・手術
2020年4月から 大学病院と専門病院での連携した定期検査開始
2020年12月 ベーチェット病と診断される
現在 NETの定期検査を残り7年とベーチェット病の投薬治療をしながら元気に過ごす
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撮影/木村 敦 ヘア・メーク/KIKKU 取材・文/嶺村真由子 撮影協力/Podium Cafe
*VERY2023年11月号「ママががんになったから、伝えたいことがあります 自分をもっと抱きしめよう!」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。