VERY August 2024

VERY

August 2024

2024年7月5日発売

930円(税込)

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漫画家・東村アキコさん、2度の離婚を経て考えた「結婚の意味」

『東京タラレバ娘』『海月姫』『ママはテンパリスト』など数々のヒット作を手がけた漫画家の東村アキコさん。今年、幼少期の思い出や家族についてつづった、爆笑必至の初のエッセイを出版しました。ご自身は、30代のころに2度の離婚を経験。シングルマザーとして一人息子を育てました。東村さんにとって家族とは、そして結婚とは? 今、考えていることを伺いました。

結婚は「一人ではできないことをするチーム」みたいなもの

──子育てだけではなく、夫婦関係にも悩みを抱える読者も多いです。東村さんご自身も2回の結婚を経験されていますが、ご自身にとって「結婚」とはどんなものでしょうか。

最初の結婚は育児と仕事の両立が大変すぎて、ギスギスしてうまくいかなくなってしまいました。「なんで手伝ってくれないのよ!」っていつも思っていましたから。私自身、仕事と子どものことで手一杯で、夫婦関係にまで気を回すことができなかった。2回目の離婚も似たような理由です。よくいう「すれ違い」ですね。ただ、私自身、結婚そのものには全く否定的ではないです。

結婚=家庭というコミュニティができることだと考えています。夫側の親戚も増えて、自分のベースが広がっていく。家族が仲の良い家庭で育ったので、誰かと支えあってひとりではできないことをやるチームを作るのって素敵なことだと思うんです。

そう思うのも、自分が一人では外食すらできないさみしがりやだからかも。一人でいるほうが気楽という人もいるけれど、私はファストフードすら一人で入れません。「一人でレストランに入るくらいなら、家でコーンフレーク食べればいいや」って思っちゃう。私、このまま一人になったらさみしくて死ぬかも(笑)。孤独を感じないというだけでも、結婚する意味があるんじゃないかと私は思います。

 

将来は「気が合う人、できれば園芸好きと一緒に暮らしたい」

──「夫婦関係に悩むくらいなら、老後は女友だちと暮らしたい」という意見も聞きます。

友だち同士だと「ごめんね」「ありがとう」を忘れずに言うといった気遣いが必要ですよね。きょうだいなら遠慮がないかもしれないけれど、友だちってどんなに仲良くてもこじれるときはこじれますよ!

皆さんも経験ありませんか? 友だちの家に何日か泊めてもらったり、一緒に旅をしていて、はじめのうちは楽しく過ごしていたのに、だんだんと関係がギクシャクするようになったことが。「まとめて最終日に掃除すればいいや」と思っていたら、「掃除くらいしてよ!」と言われたとか。「老後は気の置けない女友だちと暮らしたい」……。女性同士で集まるとしょっちゅう聞く話ですが、程よい距離感があるからこそ仲良くいられる気がします。

2回離婚したけれど、二度と結婚したくない! とは思っていません。子どもも巣立って老後に一人で過ごすの、私はつまらない気がする。気が合う人と一緒に家庭菜園をやりたいなぁ。私は園芸が好きなのですが、重たい土とか軽石を一人で担ぐのはけっこうつらいから(笑)。一緒に運んでくれる人に出会えたらうれしいですね。

 

 

エッセイを通じて「我が子の目線」を体験してほしい

──初のエッセイ『もしもし、アッコちゃん?~漫画と電話とチキン南蛮~』を拝読しました。お父様の仕事の都合でお引っ越しも多かったようですが、短期間しかいなかった学校のこともよく覚えていらっしゃることに驚きました。

子どものころや若いころのできごとを細かく覚えているので、時々思い出しては一人で爆笑しています。今となっては失敗談でも笑い飛ばせてしまえます。よく驚かれますが、本当にどんな些細なことでも映像のように鮮明に覚えています。これは漫画家あるあるみたいで、漫画家同士で思い出を語ると、みなさん描写が細かいんですよ。

──主に電車の中で読みましたが、「チャウチャウの頭から植物の芽が生えていた」という描写は、見てきたかのように目に浮かんでしまって、思わず笑ってしまいました 。

笑ってもらえて光栄です。子育て中の方は活字を読んで笑う機会が少ないと思うので、ぜひこれをサラッと読んで笑ってほしいですね。特に幼少期のエピソードを読むと、ご自分のお子さんがこういう視点で世界を見ているのだなと想像してもらえると思います。この狭い世界が子どもの全てなのだなと。

小学生アキコが見たのは……!? 続きはぜひエッセイで。©東村アキコ/光文社

 

──学校の友人関係だけでなく、ご親戚のこともかなり詳しく書かれています。反応はありましたか?

実は本に書くことは内緒にしていたのですが、どうもバレていたようです。先日、親戚の家に山積みになっていたのを見かけました。父親をモデルにしたギャグマンガ(『ひまわりっ 〜健一レジェンド〜』)を描いたときも、「自分の父親をこんなバカみたいに描くなんて!」と叔母や叔父に相当怒られました。何度も繰り返しますが、育児でそれどころじゃなかったんですよ(笑)。出産したばかりで創作に割く余裕がなく、思い出を描くしかなかった。しつこいようだけど私だって『愛の不時着』みたいな恋愛ものを描きたかったんです……!

でも、なんだかんだ言って、うちは親戚仲がとてもいいです。父が5人姉弟の末っ子、母が7人きょうだいの末っ子のビッグファミリー。いとこたちとは今もLINEグループでやりとりしていますし、私の仕事を応援してくれています。ありがたいです。

最新エッセイ『もしもし、アッコちゃん?~漫画と電話とチキン南蛮~』(光文社)

 

 

電電公社勤めの一族に生まれ、子どものころからお絵かきが得意だったアッコちゃん。利発でちょっとやんちゃ、子どもながら好みがはっきりしているアッコちゃんは、周囲の大人を振り回しつつ、宮崎の自然とのんびりした人々の気質にはぐくまれ時には鍛えられ、才能を開花させていきます。アッコちゃんの成長と日本の人気漫画の変遷をタテ糸に、電話の進化をヨコ糸に、昭和末期から令和までの著者の半生を“笑い”とともに綴ります。

 

profile

東村アキコさん(ひがしむらあきこ)

漫画家。1975年生まれ、宮崎県出身。1999年、「フルーツこうもり」でデビュー。『ママはテンパリスト』が100万部を超えるヒットとなる。自身の半生を描いた『かくかくしかじか』、映画化された『海月姫』(講談社漫画賞)をはじめ、『東京タラレバ娘』(米国アイズナー賞最優秀アジア作品賞)などメディア化作品も多く、同年代の女性の強い共感を得ている。2020年には『偽装不倫』でのウェブトゥーンなどへの功績で、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞、『雪花の虎』でアングレーム国際漫画祭ヤングアダルト賞受賞など、先駆的な活動で日本の漫画界を牽引するのみならず、韓国、米国、フランスなど海外でも広く読者に支持されている。フィクション版「アッコちゃん」ともいえる小学生が主人公の『まるさんかくしかく』第1集も好評発売中。

 

取材・文/樋口可奈子

撮影/松蔭浩之

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