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元サッカー日本代表中澤佑二さんの「食べて」体を変える方法

元Jリーガー、サッカー日本代表の中澤佑二さんは現役時代「唐揚げを食べない」「飲み会に行かない」とストイックに食事や生活を管理していたことでも話題に。サッカー選手としては遅咲きだった中澤さんですが、プロになるという夢を叶え、長く活躍できた理由の一つは「食」にあったそう。人生を変える「食べ方」のコツ、ダイエットのヒントを教えていただきました。

※掲載中の情報はVERY2021年11月号掲載時のものです。

 

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食事を通して病気を予防するという観点からもっともおすすめなのが「リンゴ」。僕は毎日必ず2分の1個以上食べています。食物繊維やカリウム、ポリフェノール等が豊富でがんや生活習慣病などの病気のリスクを軽減するという研究結果もあるそう。皮に栄養がつまっているので、皮ごと食べるのがおすすめです。

 

遅咲きだった僕が、強くなれた理由

──恵まれた体格を持ち、ストイックな努力も欠かさないアスリート……そんなイメージの中澤さんですが、ご著書の中では、鼻炎、扁桃腺が弱い、すぐ熱を出すという体質に悩まされたとも語っています。

僕の名前って調べると、病弱になる画数らしいんですよ(笑)。そういった画数とか占いを信じているわけじゃないけれど、ちっともアスリート向けの名前じゃないので、なんでうちの親は、あえて名付けたんだという(笑)。実際、体は弱いんです。ウイルスにも弱くて、すぐ風邪をひくのでコロナが騒がれる前から、うがい、手洗い、早寝早起きを徹底していました。現役時代は特に厳しく食事制限して、休日もトレーニングするような生活でした。休んだら、他の誰かに追いつかれてしまうのではないか、自分より努力をしている選手がいるんじゃないかという恐怖感があったので気を抜くことはできませんでした。

年齢を重ねてからは休息をとることも仕事のうちだと気づいて、きちんとオフの日もつくるようになりましたが。昔はお酒を飲んで、夜遊びして、練習は適当に、という選手ももちろんいました。今は持ち前のセンスだけでサッカーができる時代ではないですからね。一瞬のパフォーマンスの良し悪しで首が切られる厳しい時代です。僕は、どうしてもプロになりたい、他の人と差をつけたいという思いで食事やトレーニングに気をつかってきましたが、今は、それが当たり前になってきていて、やらないと生き残っていけない時代なのです。

幼い頃に父と2歳年上の兄と。「自分で決めたことは、必ず最後までやり通す」という僕の信念は父から譲り受けたものです。

ヴェルディに所属していた頃。高校卒業後もスカウトが来ず、遅咲きだった僕ですが、「他の誰よりも練習する」「サッカーのために何かを我慢する」「食生活を変える」ことでプロへの切符を摑みました。

NEXT>>ダイエットするなら、一日に「何かひとつやめてみる」

ダイエットするなら「一日ひとつやめてみる」

──中澤さんご自身も30代、40代で体質の変化を感じたといいます。周囲にも「太りやすくなった」「若い頃に比べて代謝が落ちた」という人が多いんです……。

僕としては、健康的に痩せてほしいので、短期間に結果を出そうとする方法は反対ですね。急いで痩せなくてはいけないとか、事情があるなら仕方ないですがリバウンドが怖いので。ジムを経営している方に聞いたのですが、脂肪がついた年月分くらいの時間をかけてゆっくり痩せないと体には良くないらしいですよ。急激に痩せると体がびっくりしてしまうそうです。結局「痩せる習慣をつくる」ことが、効果が出るまではゆるやかでも一番いいと思います。僕は糖質制限はすすめません。食事はバランスよくとって、毎日ビールを飲んでいたのを2日に1本にするとか、自分でできそうなことからはじめればいいと思います。まずは10ある内の1削ってみる。それが8になり、7になり、それがいつしか3になっても苦しくなくなる時がくるはずなので、徐々に減らしていきます。1週間、2週間と続けていくとだんだんと習慣づいてくると思います。一度習慣になってしまうと「今日はお酒は飲まなくていいな」、「今、揚げ物はいらないかも」というメンタルに変わってくると思うんです。一日1個でいいので、何かひとつやめてみる。別にダイエットでなくても、だらだらスマホを見続けてしまうのをやめるとか、一日24時間の間にこれ無駄だよなぁと思うことを1個削ってみるだけでもいいんじゃないですかね。僕は、そういうコツコツ派でやってきました。

──在宅で過ごす時間が増えて、運動不足になりがちなのも気になります。筋力をつけたり、運動するのにおすすめの方法も知りたいです。

特別なことをはじめなくてもいいと思います。僕は、駅やショッピングモールでは階段を使います。エレベーターやエスカレーターには乗らないと決めるだけでも変わっていくと思いますね。筋トレは、今は動画でも色々ありますが、「一日10分の腹筋で痩せる」といっても10分間の腹筋ってスポーツをやっていない人にはけっこうきついですよ。何なら5分でもいいので、それを毎日続けられるようにする。それが10分になってやはり習慣になっていくのが一番いいです。こんな体形になりたい、この服が着たいという目標や体重、体脂肪の具体的な数値をゴールに設定することも大事ですね。

いま成長期の子どもに食べてもらいたいもの

──伸び盛りの子にすすめる食材はありますか? 忙しくてなかなか栄養バランスのとれた食事を毎食作るというのは難しいです。

まずは、タンパク質も野菜もバランスよく色々なものをたくさん食べてもらいたいです。僕が現役時代にしていたようなハードな食事制限は成長期の子どもにはすすめません。食事はつらいものではなく楽しいものだとまずは思ってほしい。本の中でも僕がすすめる食材はたくさん紹介しましたが、例えばバナナやリンゴなどの果物かな。とくにバナナは、おすすめです。ビタミンや食物繊維も豊富で手軽に栄養がとれるスーパーフードだと思います。

僕も試合や練習の前後の補食によく食べていました。普段の生活の中で、栄養バランスが100%完璧なご飯を毎日作るのはまず難しいですよね。外食やお惣菜でもいいと思うんですよ。でも主食だけにするのではなくて、ヨーグルトにフルーツを添えるとか、野菜サラダやチキン、魚肉ソーセージをプラスするとか単品メニューだけで終わらせないように心がけるだけで違うと思います。子どもがお腹をすかせて、コンビニでおやつや軽食を買う時は、菓子パンよりもおにぎりや肉まん、具材が豊富なおでんがおすすめ。手作りに比べれば塩分や添加物は多くなりますが、特に運動の後の補食は適切な時間が大切なので、買い食いはダメと禁止せず賢く使うのも手だと思います。

 

NEXT>>結婚20周年、夫婦の危機は?  オフの日の予定は“掃除”

結婚20周年を迎えて、僕が思うこと

──20代で結婚された中澤さんには、娘さんが2人いて、もう高校生と大学生とか。夫婦生活は、ずっと円満でしたか?

結婚20周年くらいになりますが、普通の結婚生活ですよ。もちろん浮き沈みはあって、離婚危機とまではいかないけれど、他の家庭と同じように喧嘩をしたり険悪になったりしたこともあります。結婚って結局、他人同士が一緒になるものだから、大切なのは相手をどこまで思いやれるかということだと思いますね。僕は、元々「自分で決めたことは、最後までやる」というのがポリシーなんです。他人にすすめられてやったことは、続きません。でも自分で決断したことなら、責任をもって最後までやり通そうと思う。よっぽど別れたい理由があるのに、修行僧のように耐えろとは言いませんが、二人が今後、どんな人生を歩んでいきたいのか、イメージできれば続けていくのがいいんじゃないですか。周囲の人にもう別れちゃえとか我慢しろと言われても、いいかげんなメディアと一緒で、言ったその人が責任をとってくれる訳じゃありません。結局は自分の強い意志が必要だと思います。これは聞いた話ですけれど、お互いやり直しがきく年齢。そのご夫婦の場合は45歳だったかな。密かに別れよう、離婚しようという考えが多少あるならばそれは45歳までにしよう。そこで別れなかったらあとの残りの人生はどんな努力をしてでも最後まで添い遂げよう、と約束したそうです。色々な夫婦の形があって、そういう約束ができるのも素敵だなと思いました。

試合に負けた翌日は「掃除の日」

──ご著書の中で、普段のスケジュールを公開されているんですが、オフの日の予定に、「掃除」というのがあって気になっています(笑)。

現役時代は遠征や食事制限があって、家族は大変だったと思いますが、家事や育児は昔から当たり前のこととしてやっていました。掃除は好きなんです。試合に負けて落ち込んでいても、掃除をしていると心が晴れると気づきました。無心になって、掃除機かけたり、埃をとったりしているとストレス解消になるんですよね。勝った日は余韻に浸りたいのでまずやりません。負けてくやしい時によく掃除機をかけたり模様替えしたりしていました。リビングや風呂場の気づかなかった汚れを落とすのも、掃除機の性能を比べるのも好きです。某海外メーカーの掃除機は吸引力があって人気があるけれど、重いので国産メーカーを使うことが多いです。これまでは東芝を愛用していて、今は犬の毛が絡みにくいというパナソニックの製品も気になっています。ロボット掃除機も便利なんですが、うちの犬のウンチやオシッコまで吸い取ってばらまいてしまい大惨事ということがありまして(笑)。ペットのいない家庭ならいいんですけどね。こうやって家電とか洗剤とか、色々試すと楽しくて、よく嫁に「これが良かった!」ってプレゼンしています。「この洗剤がすごい」ってドヤ顔で話しても、「ハイハイ、勝手にやって」って感じなんですが(笑)。いいんです。あくまでも自己満なので。家事でも何でも、楽しくやれることがまず一番いいと思うんですよね。

アイロンがけ中。現役時代から家のことはやっています。無心になれる家事が好きで、試合に負けてくやしい時こそ掃除をしていました。

今、家にはグレートデンとポメラニアンが2匹ずついます。いつか犬屋敷を作ってたくさんの犬たちと暮らしたい、というのが僕の密かな夢です。

中澤佑二さん(なかざわゆうじ)

1978年埼玉県生まれ。元日本代表プロサッカー選手。現役時代は横浜F・マリノス所属ディフェンダー。三郷工業技術高等学校卒業。ブラジルへのサッカー留学を経て、’98年に現東京ヴェルディに練習生として加入。’99年Jリーグ新人王獲得。同年日本代表初招集。シドニー五輪代表で不動のセンターバックとしてベスト8進出に貢献。’02年横浜F・マリノスに移籍。’04年JリーグMVP受賞。’06年ドイツ、’10年南アフリカW杯連続出場。’10年の岡田体制では大会途中までキャプテンとしてチームをけん引。2018年まで横浜F・マリノス所属ディフェンダーとして活躍(2012年からフィールドプレーヤーとしてはトップの199試合に連続出場)2019年1月現役引退。Jリーグ功労選手賞受賞。著書に『下手くそ』(ダイヤモンド社)、『自分を動かす言葉』(KKベストセラーズ)などがある。

撮影/須田卓馬 取材・文/髙田翔子 編集/フォレスト・ガンプJr. 

 

『鉄人 中澤佑二の食トレ』ダイヤモンド社

元プロサッカー選手・中澤佑二が引退後初めて明かす食トレの本。強い体をつくるための秘密を楽しく伝えます。W杯日本代表に2度なり、40歳まで現役ディフェンダーとしてJリーグの試合にフル出場し“鉄人”と呼ばれた中澤。サッカーが「下手くそ」だったという中澤さんは中3の時「絶対にプロになる」と決意。そのために『これまでの食生活を変える』と、中澤流の「食トレ」を開始し、プロサッカー選手として活躍するべく、食に関する情報を常にアップデートしてきた。プロとして最高のパフォーマンスを発揮するために徹底的に体にいいモノにこだわった中澤流の食事は、現役を引退した今だからこそ語れる内容。アスリートを目指す子どもたちはもちろん、健康にダイエットしたい大人にもおすすめしたい本です。
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*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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*VERY2021年11月号「【元サッカー日本代表】鉄人・中澤佑二さんの自分を強くする習慣」より。


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