Q6.セックスレスでも仲が良いと
答えた人に聞きます。
どんなコミュニケーションを
とっていますか?
「ありがとう、愛してるとしっかり私から伝えています。また近くに座ったり手をつないだりします」
(M.Mさん・7歳、5歳の子どものママ)
「大好きだよ、ありがとうは日常的に伝え合い、ハグや軽いキスくらいは日常。何でもない日にささやかなプレゼントを贈り合ったり本当に仲良し。誰よりも信頼し家族として愛はあると思うので、セックスはもうしなくていいねと合意」
(S.Yさん・0歳の子どものママ)
「夜は必ず隣で寝て手をつなぎます。些細なことでも感謝の言葉を添えることや挨拶は欠かしません。LINEのやり取りはお互い丁寧語で、親しき仲にも礼儀を大切に。常日頃からどうでもいい冗談を言い合うことを楽しんでいます」
(M.Mさん・I0歳の子どものママ)
「水曜はお互いノー残業デーにして夫婦で他愛もない会話をしたりホームシアターで映画を観る」
(Y.Mさん・2歳の子どものママ)
「寝かしつけ後に晩酌をしたり、年に一回程実家に子が泊まりに行った際、二人で出かけたりしている」
(N.Hさん・6歳、4歳の子どものママ)
「一緒にお笑いを見ながらお酒を飲む!」
(Y.Yさん・6歳、4歳の子どものママ)
「ハグやキス、寝かしつけ後に高いおやつを食べながら話したり、うまくいけばこっそり二人でお風呂に入る」
(M.Sさん・5歳0歳の子どものママ)
❝夫婦仲良しだけど、セックスレス。
これってダメなことですか?❞
A. セックスレスでも
夫婦幸せ、は成り立つ。
焦る必要はまったくありません
調査結果を見て、VERY読者層の年代にしてはセックスレス率がやや高いように感じました。でもコロナ禍で在宅時間が増え、セックスをする人が増えるかと思いきや逆だったというデータもあり、どの年代も、日本ではセックスレス状態の夫婦は多いのが事実。結論から言って、「レスであっても夫婦仲が良好というのは十分あり得る」し、「レスでも幸福を感じているなら焦る必要はまったくありません」。レスだと女性ホルモンが枯渇するとか、すると肌がキレイになるというエビデンスはないんです。もちろん、セックス自体に運動効果もあるし肌のふれあいによってホルモン分泌も促されますが、直接の効果は期待できないレベルです。
大切なのは、レスで不安や不満を抱えている場合、どうして不安や不満があるのか掘り下げること。夫に認めてほしいのか、性的欲求を感じたいのか? もし前者なら、夫との関係を見直し、コミュニケーションを増やすことでセックスなしで気持ちが満たされる可能性は大いにあります。ホルモン的に見ても、結婚前や出産前では男女ともにドーパミンやテストステロンが多く出ているので、性的に求め合うのは必然でした。それが年を重ねたり出産した後、特に女性はそれが30~40代で一気に落ちることが多い。エストロゲンが落ちる代わりに、絆を求めるオキシトシンが増えます。一方男性はテストステロンが緩やかに下降していくため、VERY世代では男女間のギャップが大きくなりがちで、夫の方が求める気持ちが強いのが一般的と言えます。でも今は若くてもいわゆる〝草食系〟が増え、一概に言えなくなってきましたね。
そうして性欲や情熱が、穏やかな絆を求める時期に入ったVERY世代は、セックスがないことを嘆く必要はないとあえて言いたい。海外ドラマでは年を重ねてもセックスがあるのが普通に描かれています。でも欧米は普段からスキンシップ文化で、セックスはスキンシップの延長にあるもの。日本ではスキンシップがなくても夫婦関係、信頼関係が成り立ってきたという文化の違いがあります。セックスだけを取り上げて比較するのはとても不自然なのです。もちろん掘り下げて考えてもやはりセックスをしたいと考える場合には、よく言われることですがマッサージをし合うなどお互い徐々に触れ合うことに抵抗をなくしていくことが効果的かもしれません。
オキシトシンは1対1の絆を深めるホルモンです。目を見たり、体に触れることは「相手を認めている」ことで、とても心が満たされます。夫側も、オキシトシンの作用で思いやりや共感が高まり、妻に優しくしなければという気持ちが芽生える効果も期待できます。必ずしもセックスしなくても、目を合わせて話しながらご飯を食べる、手をつないで歩く、寄り添いながら映画を観るなどでも、夫婦の絆は深めていけるのです。繰り返しますがセックスレスだからといって悩む必要はなく、お互いに満足できていれば、十分に幸せで自然体なカップルだと自信を持ってほしいですね。もちろん、子育てが一段落したり、時期が巡ってまたするようになるかもしれません。自然に任せつつ、夫婦の絆を深める日々の小さなコミュニケーションこそ、大切だと思います。
お話を聞いたのは
桜美林大学教授 山口 創先生
早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は臨床心理学、身体心理学。『子供の脳は「肌」にある』(光文社新書)、『人は皮膚から癒される』(草思社文庫)など著書多数。
写真/TongRo/アフロ 取材・文/有馬美穂 編集/羽城麻子
*VERY2023年7月号「「産み終えセックスレス」でも夫婦仲良く過ごすには」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。