撮影/倉本侑磨<Pygmy Company>
子育てを通して今まで以上にお金の大事さを実感するようになったけど、お金の使い方や貯め方なんて学校では教えてくれなかったし、みんなはどうしているの……?そんなママたちの悩みにこたえるべく、元外資系金融会社勤務、現在は社長としても活躍されているVERYモデル・申真衣(しんまい)さんに、毎月読者から寄せられたお金に関する質問に答えてもらうコラム連載。第15回は「子どもにお金の話をどれくらいするのか」がテーマです。(過去の連載はこちらから)
【第15回】今月の質問
年長のわが子は、お年玉をもらってもありがたみがピンときていない様子。お金の価値や仕組みについて教えたほうがいいのでしょうか?
これからの変化に対応するために
子どもと一緒にお金の話を
年長の長女には、お金に関する細かい話はしていません。それよりも意識しているのは、世の中にどんな仕事があって、どうやって回っているのかを伝えることでしょうか。私が社長とモデルという複数の仕事をしていることも分かっています。「お母さんが朝早く家を出る日はモデルの仕事」と思っているようです。以前の連載でも話しましたが、お金の増やし方の一つに投資があるということも徐々に教えています。
こうした話を子どもにしようと思ったのは、私自身が社会人になるまで世の中のことを何も知らなかったから。親が医師だったので、会社で働いている人やビジネスをしている人の姿が見えづらかったこと、また子どもにあまりお金の話をしないという両親の教育方針も大きかったと思います。親の気遣いのおかげで私はのびのびと育ちましたが、進路を決める前にもう少し社会の仕組みやルールを分かっていても良かったのに……と今でも時々考えます。
とはいえ、「お金の価値に応じて態度を変えてほしい」とは考えていません。たとえば、子どもが成長すると学費や塾代もかかってきますが、子どもにお金をかけるのは私の自己満足だと思っています。教育費にコスパという考えは馴染まない、かけたぶん子どもの生涯年収が上がるのかという問いに答えはありませんから。「高いお月謝を払っているんだから」とがんばりを期待するのは、子どもにとって気の毒ではないでしょうか。
今、どんどん世の中が変化しています。いい学校に行って優良企業に勤めれば一生安泰という時代ではなくなりました。だから、子ども自身が働くことや社会の仕組みについて、学びながら考えていく必要があると感じています。
最近ではYouTuberになりたいというお子さんも増えてきましたよね。「顔出し」など慎重になるべきこともありますが、子どもがYouTuberに興味があるのなら、親が管理しながらやってみたらいいと思います。実際に何回再生されたのか、どれくらいの再生数、チャンネル登録者数で収益になるかを一緒に考えるのも勉強になりそうです。
欲しいもの、やりたいことをイメージさせる「親子の対話」
6歳の長女とは将来の仕事についてもよく話をします。ここ2年くらいはずっと「スムージー屋さんになりたい」そう。スムージーが大好きなんです。「大人になったら始めたい」と言うので、「中学生になったら始めてもいいんじゃない? 学校に行っている間は他の人にお店番を頼むこともできるよ」なんてアドバイスしてみたりします。値段は一杯いくらにするか、何時からお店を開けるかなど盛り上がりました。これなら教えられている感覚がないので、子どもも楽しみながら学べる気がします。
子どもは誰でも近い将来のことしか考えられないもの。だから先々の楽しみをイメージして計画させる練習をしたいとも思っています。仕事の話からずれますが、サンタさんへのお手紙もその一つ。長女の誕生日は7月なので、誕生日が終わった直後から「何がほしい?」と親子で話しながら考えます。サンタさんには好きなものをリクエストしてもいいけれど、ママとパパが納得したものしかお手紙に書いてはダメ、という約束をしているんです。
選ぶ基準は金額ではなく、「本当に欲しいものかどうか」。今年はバービーをリクエストするつもりだったようですが、私が見た限りは月に1回遊ぶかどうか。「月に何回遊んでいる?」と聞いたら、遊ぶ頻度が少ないことに気づいたようで「やっぱり他のものにしようかな」と言っていました。これからも対話を通して本当に欲しいもの、やりたいこと、将来の夢を自分自身で考えられるように育ってもらいたいです。
取材・文/樋口可奈子