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ママたちに短歌ブーム!? 育児中に歌を詠むと、気持ちの整理ができるように

短歌ブームと言われて久しい今、TwitterやInstagramに寄せられた歌が話題になることも多いです。31音の短い定型で心の内を表現できる短歌は、SNSと親和性が高く、日々忙しく外出もままならない育児中もチャレンジしやすいもの。短歌が趣味で、暮らしの中で歌を詠んでいるという読者にその魅力を聞きました。

*VERY2022年9月号「ママたちの短歌ブーム」より。

*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

岡野優子さん
(息子7歳、娘2歳)

「六歳は大雨すらも虹にするキャンパスノートのCanCanCanCan」

「『そうちゃんのママ』から優子に戻ってもいいんだよ その両足で踏め」

異国で子育てを
しながら詠む短歌

──実際に歌を詠む読者はどんなことを考えているのか。現在、英国で暮らし(取材当時)、育児をするかたわら短歌を作っているという岡野さんに話を聞きました。

子育てをする日々の中で、新鮮な発見に出くわすことがよくあります。一つ一つは決して大きなインパクトがあるわけではないし、時間がたてば忘れてしまうようなことですが、確かに自分の心を動かした出来事を短歌にしています。独身時代に約1年間、短歌教室に通っていました。その後、結婚し、出産や夫の転勤の帯同もあり、数年間、歌を詠む生活から遠ざかっていましたが、昨年からオンラインでの短歌教室に参加するように。短歌を再開したのは、コロナ禍にイギリスに引っ越し、人間関係を一から築き始めていた頃。このような時期に、自分の心の内を表した短歌を発表し、それに対して教室で共感の声をもらい、心と心のつながりが実感できる機会があったことは、自分の気持ちを安定させるうえで大きかったように思います。

短歌を始めた頃作ったのは、ほとんどが恋愛の歌でした。与謝野晶子の情熱的な短歌に影響を受けていた記憶があります。改めて振り返ると、キャピキャピした歌か、重たい歌のどちらかです(笑)。今は子育ての歌がメイン。自分の短歌を辿ると子どもの成長を改めて感じます。短歌は、31文字に自分の想いを込めないといけないので、一つの歌に多くの要素を詰め込むことができません。どんなに想いが溢れていても、冷静に整理する作業が必要になります。余分なものをそぎ落として、自分が伝えたいことと向き合いながら作っています。その甲斐あってか、以前は、心がざわついたり、惑わされたりするようなことがあると、浮き足立った気持ちやネガティブな感情を引きずることがあったのですが、最近は以前に比べて気持ちを整理して冷静に捉えられるようになってきました。

writer’s note

育児や仕事に忙しい今こそ、
短歌始めませんか?

今回の取材で、歌を詠む人たちにお話を聞いて再確認したのは、「短歌はいつでもどこにいても始められる」ということ。それこそ、育児に忙しいときでも、住まいが都会から離れていてもできるのがとてもいいなと思います。読書が好きな私は、本の企画を担当することが多いのですがその実、育児中は本を読む時間がほとんど取れません。「本当はママたち読むひまなんてないよね!」と思いながらも本を紹介することは、時に心苦しくありました。その点、短歌はたった31文字。スマホでもメモできる文字数で、SNSにも発表の場所があるので、片手で始めやすいです。

学生時代の一時期、大学の短歌会に入っていました。当時は歌を詠むということが生活の一部であって、歌会に参加し、日々の思いや目に映る風景をいくつも歌にし、好きな歌人の歌を全部手書きで書き留めました。思えば時間が際限なくあった。同時期にフラれた友人と泣きながら川沿いの道を延々と歩いたことや、学生街の夜の温度やにおいは、ずいぶん昔のことなのに当時の下手な歌を読むだけで思い出せます。それなのにどうしたことか、結婚、出産し日々の暮らしに追われるようになってから、短歌からはすっかり離れてしまいました。自分の心の中のみずみずしい部分が、かっさかさに乾いていてもとに戻りません。毎日の生活の中でわだかまりがあってもこんなことは、人に言うことじゃないなと胸にしまいこむようになっていました。でも、取材をしてわかったのは人に言えない悩みも胸のつかえも歌にしてよかったんだということ! 私もまた歌を詠みたくなりました。こんなふうに。

グッモーニン人生どうでも飯田橋人生どうにか鳴門大橋(初谷むい『わたしの嫌いな桃源郷』)

「離婚したら名字どっちになるのがいい?」走るボルボの灰皿あふれる(上坂あゆ美『老人ホームで死ぬほどモテたい』)

バーミヤンの桃ぱっかんと割れる夜あなたを殴れば店員がくる(柴田葵『母の愛、僕のラブ』)

※歌集はすべて書肆侃侃房

取材・文/髙田翔子 編集/フォレスト・ガンプJr.
*VERY2022年9月号「ママたちの短歌ブーム」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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