VERY September 2022

VERY

September 2022

2022年8月5日発売

780円(税込)

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安藤美姫さん「習い事はいつでもやめていい」が娘とのルール

生活リズムも価値観も自分優先ではなくなったけれど、 本当は誰にでもあるずっと変わらず好きなことをインタビューする連載「ママですが、これが好き!」。Web版では、安藤美姫さんにスケートとの出会いや小学生の娘さんへの思いなどを語っていただきました。

父を亡くした悲しみから救ってくれたコーチが人生の目標

世界を代表するフィギュアスケーターの安藤さんですが、スケートを始めたのは9歳。幼少期からレッスンを始める選手が多い中、意外にも遅咲きの選手でした。

 

——フィギュアスケートを始めた経緯を教えていただけますか。

 

3年生の冬に友達に誘われてなんとなく始めたんです。他にも習い事をたくさんやっていたので、最初は習い事が増えただけの感覚でした。フィギュア界ではかなり遅めのスタートでしたね。

 

——始めた頃はどんな気持ちでしたか?

 

私がスケートを始めた頃は、まだテレビでも今ほどフィギュアが取り上げられていなくて、こんなに注目されているスポーツではなかったですし、そもそも習い事として始めただけだったので、焦りや「トップを目指そう」という気持ちもありませんでした。ただ、実はスケートと出会った時期と、事故で父を亡くした時期が同じなんです。他の習い事も中断していましたが、ある時友達が「また一緒にスケート行こう」って誘ってくれて。そしてレッスンを再開した時、コーチの笑顔が私を救ってくれたんです。名古屋で指導していた門奈裕子先生でした。先生の笑顔に会いたくて毎日リンクに行くようになったのが、きっかけです。そのおかげで、習い事の中からスケート一本に絞って、スケートの道に一歩踏み出しました。

今の若い選手たちのように、オリンピアンやチャンピオンになりたいとか、そもそもそんな知識もなければ夢もなかった状態だった自分を救ってくれたのがコーチでした。9歳からずっと「先生のように笑顔が素敵な、みんなに夢を与えられるコーチになりたい」と思ってスケートをやっていました。学校の卒業アルバムにもそれしか書いていないです(笑)。

 

——今は大阪や名古屋で子どもたちへのレッスンもされていますが、夢の実現は近いでしょうか?

 

まだ叶えられていないですね。コーチに専業することは今すぐは考えてはいなくて。緊張していたテレビの仕事も最近は楽しめるようになりましたし、アイスショーにも声をかけて頂いて、自分自身がまだ滑れるうちは自分でクリエイトしていきたいなと思っています。

 

——安藤さんほどの経験があってもスケートで緊張しますか?

 

そうですね。そういう時は観客席で自分の名前が書かれたバナーを見つけて「私は一人じゃない」「応援してくれる人がいる」と思いながら滑っています。

 

——2月には、2.5次元ミュージカルにも出演されて活動の幅が広がっていますね。未知の世界への挑戦にドキドキすることはありますか?

 

あります!私はすごく人見知りで、最初は人に対して壁を作ってしまいがちですが、仕事では「スケートの安藤美姫」になりきるので大丈夫なんです。お芝居はそのキャラクターにならないといけないから大変ではありましたね。でも仲間に恵まれましたし、最近、こんな風に違ったジャンルの方との出会いも多かったりするので、さまざまなことにチャレンジしたいなという気持ちが強くなっています。なので、本格的にコーチ業に専念するのは数年先に…と考えています。

ボランティア活動が”当たり前”で育った

——本誌でも紹介しましたが、コロナ禍のステイホーム中に、親子で楽しめるようにとインスタで自作の塗り絵を発信したり、2005年のトリノ五輪前にもグッズの売り上げ全額をユニセフに寄付する、という活動をされていました。こうしたボランティア精神はどのように育まれたのですか?

 

小さい頃から「赤い羽募金」や「緑の募金」などの活動が自然と生活の中にありましたね。6年生の時には「赤い羽根募金、お願いします!」と路上での声かけ活動もしていました。中学生の時も、名古屋の栄の24時間テレビの募金活動スポットに、偶然通りかかって声をかけられて、そのまま一緒に参加して。当時はみんなで楽しめるからいいな、という感覚でした。だから、ボランティア活動に対しては楽しい記憶ばかりで、やって当たり前という感覚がありますね。

 

——現在も、知的障がいをもつアスリートをサポートする国際的スポーツ組織「スペシャルオリンピックス(SON)」のサポーターや、日本介助犬協会の大使など、社会貢献活動に積極的に取り組まれていますね。

 

SONは2015年の冬季ナショナルゲーム新潟にサポーターとして参加したのがスタートでした。介助犬サポート大使は、協会のトレーニングセンターがある名古屋の長久手町に私がメイン拠点としているスケートリンクもあり、縁があるということでお声かけいただき2014年から務めています。ドリームサポーターの活動では、スポーツを愛して競技にまっすぐ向き合うアスリートたちの姿勢の強さと輝きを感じて刺激を受けています。介助犬サポート大使を通じては、介助犬たちが本当に楽しみながら訓練を受けていて、人を支えることに喜びを持っているんだということが伝わりました。今度は私がそれを伝えていくことで介助犬への理解がもっと広がっていってほしいですね。

 

娘にも、スケートだけは甘い気持ちを許さない

 

——習い事に関しては、子どもの興味で始めたものの親子ともに忙しすぎたり、子どものやる気が途中でなくなったりで中途半端になってしまい悩む読者もいます。

 

習い事は無理なく通えるように徹底的にリサーチして、全部徒歩圏内でまとめています。それに、私は辞めたいなら”辞めてもいい派”なんです。きついことをやっても絶対に楽しくないし、伸びない。だから、辞める時のことを考えるよりも、いつも好きなことにチャレンジさせてあげたいです。将来的に、やっていてプラスに繋がることも多いし、何ならスケートが一番辞めていいよ、と思っています(笑)。

 

スケートに関しては、実は娘からは遠ざけていたんですよね。厳しい世界ですし。ただ、私がアイスショーで、元フィギュア選手のお嬢さんと一緒に滑っていたのを見た娘が「私もママと滑りたい」と言い出して。言われちゃったら叶えたいじゃないですか(笑)。ただし、自分も通ってきた道なので厳しさを知ることも大事かなと、今はしっかりレッスンを受けさせています。他の習い事は私の土俵ではないので「楽しい」でいいのですが、スケートだけは「甘っちょろい気持ちでは許さない」という思いです。

 

——安藤さんがレッスンをしているのですか?

 

私は教えないです。音楽を編集してあげたりはしますが、コーチは別の方にお願いしています。フィギュアをやるなら、最初はジャンプよりもスケーティングの美しさやエッジワークといったスケーティングの基礎テクニックが大切なので、信頼している先生に指導してもらっています。基礎さえしっかりできればジャンプは練習すればできるようになるので、「ダブルが飛べるようになった時にちょっと教えてあげる」と言っています。

 

——ママに対する憧れや尊敬を伝えられたりはしますか?

 

リスペクトはないです(笑)。むしろ、「ここ失敗したでしょ」なんて指摘してきます。一緒にいるときはめちゃくちゃ喧嘩もしますし。でも、私が疲れていたり落ち込んだりしていると、「ママ、寝てていいから」って気遣ってくれるようにもなりました。娘とはいいことも悪いこともシェアできる友達のような関係になりたいですね。

●安藤美姫さん

あんどうみき・フィギュアスケーター。国際大会で女子史上初の4回転サルコウを成功させ、2006年、2010年に2度のオリンピ ック出場を果たす。引退後はスケーターのみならず、女優として舞台に出演するなど活躍の場を広げ、現在は小学生の娘と二拠点生活中。

安藤美姫さんの趣味の時間の過ごし方や、子育てエピソードは本誌のインタビューでも! VERY7月号をチェックしてみてください。

【安藤さん衣装】トップス¥19,800(シー/エスストア)パンツ¥17,600(ヘリーハンセン/ヘリーハンセン原宿店)肩にかけたスウェット¥4,800(USED/ロングビーチ 表参道)イヤリング¥33,000ネックレス¥79,200リング(中指シルバー)¥28,600(中指ゴールド)¥25,300(薬指)¥37,400(すべてブランイリス/ブランイリス トーキョー)

撮影/佐藤航嗣〈UM〉 スタイリング/山本有紀 ヘア・メーク/信沢hitoshi 取材・文/馨都 編集/矢實佑理

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