2022年4月より不妊治療保険適用が施行されました。これまで高額な医療費ゆえ、身近な存在として捉えづらかった20代にも「不妊治療」を考え始める人が増えるのではないでしょうか。30代で経験した多くの女性が口にする「もっと早く知っておけば良かった」という言葉は、後輩たちへのメッセージでもあります。そこで、20代で妊活・不妊治療を始めた方に、そのきっかけやご夫婦の思いをインタビュー。今回は、パートナーとの歳の差があり、事実婚のまま治療をスタートしたという女性にお話を伺いました。
*掲載中の内容は取材当時のものです。
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パートナーと歳が離れていて……
H.Y.さん
現在、IT会社勤務 27歳 妊娠6カ月
私たち夫婦は、出会った時からお互いにすぐに子どもが欲しかったので「授かり婚」を希望していました。しかし、自然妊娠が難しかったため、事実婚のまま不妊治療をスタート。籍を入れずにスタートした大きな理由は、「子どもが欲しいというお互いの思いを尊重し、授からなかった時の選択肢を持っておきたかった」というのが理由でした。
20代で妊活・不妊治療を始めることは会社にも、両親にも言わずにスタート。そんな状況下でもスタートできたのは、「自分たちの子どもに早く会いたい」というお互いの気持ちが一緒だったことが大きかったのだと思います。
また、夫との年齢が10歳以上離れているので、夫の周りの女性たちが、妊活・不妊治療に対して「もっと早く始めておけば良かった」というお話を聞く機会が多かったのもありました。歳が離れている分、夫婦としての価値観が異なる場合もありますが、女性の先輩方が「年齢で治療を断念せざるをえなかった」というお話を聞くと20代で始めることは、自分の選択肢を広げるためにも必要な選択だったと思います。
長期にわたる妊活・不妊治療は、身体的にもですが心理的な部分の負担がとても大きいと感じました。医学的なことは、クリニックの先生を信頼していたため、大きな不安はなかったものの、夫婦間で足並みを揃えて治療を行うことの難しさも経験しました。治療を行うことは、主に女性がメインとなりますが、男性の協力なくしては授かれない。同じ気持ちでモチベーションを保つことは容易ではなく、ネットで体験談を見ては、他の旦那さんと比べてしまうこともありました。その中でも夫婦間で大切にしていたことは、気持ちを「共有」するのは大切ですが「強要」をしてはいけないこと。
約2年にわたる治療を振り返ると、本当に「子どもが欲しい」という夫婦としての覚悟がぶれない限り、妊活・不妊治療は続けられると私は思います。妊娠は、できる人は年齢に関係なくできますし、10回目にできなくても11回目にできる場合もあります。だからこそ、湧いてくる自分の感情に一喜一憂しすぎないことも大切だと思います。
そして長きにわたる治療だからこそ、抱いた気持ちを吐き出せるコミュニティも身近にあったら良いなと感じました。
イラスト/ayaka illustrator 取材・文/中村真怜 編集/フォレスト・ガンプJr.
*VERY2022年5月号「夫婦で向き合う20代からの不妊治療」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。