VERYモデル東原亜希さんのこれまでを振り返るインタビュー連載の第2回。今回は夫・井上康生さんとの出会いから、結婚までのエピソードです。(前回はこちら)
デビュー早々の大抜擢
そして、未来の夫との出会い
18歳で芸能界入りした東原さんは、20歳でビール会社のイメージガールに大抜擢。デビュー後わずかな期間で大役を手に入れるという好発進ぶりでした。しかし、だからこそ思い知らされることも多かったそう。
「芸能界は可能性のかたまり!と、勢いで飛び込んだものの、経験のなさや考えの甘さを痛感することばかりで。見渡せば、驚くほどにきれいでスタイルのいい人がいっぱい。どんどん後ずさりする感じの自分がいました。これが芸能界か……と」
それでも必死に頑張る東原さんに、人生の転機となる瞬間が訪れます。それは、現在の夫である、井上康生さんとの出会い。「井上康生さんに投げられてみよう」という番組の企画で、二人は初めて顔を合わせました。東原さんは一瞬にして運命を感じてしまったと言います。
「その頃、私の周りにいた男性は軽いタイプの人が多くて(笑)。こんなに熱く、真面目に何かを一筋に頑張っている人を見たことがなくて……すごく感動しました。さらに一人暮らしで炊事、洗濯も自分でやっていると言うので、猛烈にこの人の家事を私がやりたい! つまりは結婚したい! と思ったんです」
世話好きな母に育てられた東原さん。知らず知らずのうちに培われ眠っていた“寮母魂”が、井上さんとの出会いで目覚めました。それ以来、仕事をしながらもどうしたら“井上康生さんの家事ができるか?”を考える日々だったと言います。知り合いを通じて、どうにか再会できたのが半年後。井上さんにも〝東原亜希が家事をしたがっている〟という噂が伝わっていたこともあり、スムーズに二人は連絡先を交換。その後すぐに付き合うことになりました。
彼と彼の父と彼の付き人。
男性3人との同居スタート
付き合い始めて間もなく、お互いに忙しいこともあり、二人は同棲を開始。念願叶って井上さんの家事ができることになったのですが、ラブラブな同棲生活とはいかなかったのです。
「同棲は、康生さんと二人ではなくて、彼のお父さんと付き人の方と4人で暮らしてました。康生さんが、お父さんに一緒に住んでほしいってお願いしたんです。アテネを終えて北京五輪に向けての4年間、近くにいて自分を見てほしいと。小さな頃から親子で頑張ってきて、お母さんも早くに他界されているから、康生さんとお父さんの絆はすごく強い。何よりも目指している目標がすごいじゃないですか。拒否感や疑問など ないぐらい、素直に賛成しました。私にも、結婚して柔道部の寮母になるという大きな目標がありましたから!」
芸能活動をしながらの集団生活。井上さんは増量中で、彼の父親は糖尿病ということもあり、食事には気を遣ったと言います。 JOC(日本オリンピック委員会) の栄養士の人を紹介してもらい、少しずつ勉強していったそう。
同棲期間には、井上さんが2005年の試合で大けがを負うという事件もありました。目指す北京五輪は2008年。支える身としてはさぞかし大変だったのでは、との問いに東原さんは「人に言われて〝あ、大変なの?〟と思う感じで、毎日夢中だったからツライというのはなかったかな。それよりも、そんな大変なときに必要とされている喜びのほうが勝っていたかもしれません」とおおらかさとマイペースさを発揮。
同棲期間は3年間。作った料理をブログにあげれば〝このご飯を食べたから負けたんだ〟と心ないコメントが届いたり 、バラエティ番組に出れば交際のことをいじられたり 。真面目に交際しているのに、なかなかそうは捉えてもらえない現実もありました。
「康生さんはこんな人見たことない、というくらいとにかく頑張る人。あれだけ一生懸命に練習しているんだから、勝利は本人の努力の結果 。負けたら私のせい? それでもいいんじゃないかって思ってました」
ずっと近くでたゆまぬ努力を見てきたからこその一言。この人のために家事をしたい!というひらめきは、一瞬では終わりませんでした。3年の同棲期間に、すっかりアスリートを支える存在に成長していた東原さん 。しかし、当時23歳。芸能界という華々しい世界で、出会いの可能性もまだあったかもしれない。どうしてそんなに結婚したかったのか、という問いに彼女はこう答えてくれました。
「男子柔道は男の世界。“恋人”って何だか中途半端で、気軽に試合とか観に行ける感じではなかったんです。私にとっての一番のご褒美は康生さんの試合を観ること。妻として、堂々と応援したかったんです」
東原さんと康生さんが入籍したのは、北京五輪の代表を決める大会の2カ月前。そんな重要な大会の前に入籍を決めたのは〝この大会が最後になるかもしれないから、しっかりと見届けてほしい〟という康生さんの気持ちがあったからだそう。 次回は、新婚旅行&結婚式のお話です。
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取材・文/櫻井裕美 再構成/馨都
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。