ロックダウンが緩和(※学校再開は6/1予定)されたばかりのロンドン郊外で、10歳、7歳の女の子と4歳の男の子の子育てに奮闘する宮地歩子さん(37歳)。前回はロックダウン中でも前向きに、ママがハッピーで過ごすための効率育児をご紹介(記事はコチラ)。今回は、そこでご紹介しきれなかったお手伝いや課題にポイント制を取り入れようと思った理由、実際の様子について教えてもらいました。
Q.そもそも、ポイント制を取り入れようと思ったのはなぜですか?
A.いよいよロックダウンになりそう・・・という状態が1週間くらいあったので、その間に少しずつ休校中に楽しむための工作や数独ドリルなどの準備は整えていました。ただこればっかりは実際になってみないと覚悟を決められず…。時間割やポイント制などは、ロックダウンが発表になった当日に「これからどうやって過ごそうか?」と長女と一緒に相談しながら決めました。なかでも、ポイント制は3人の姉弟のケンカをなるべく減らしたくて(笑)。一般的にイギリスの学校には給食当番も掃除当番もなく、外部業者がすべて請け負っていますが、これを機会に日本の給食やお掃除を自分たちで行う学校制度を体験してもらおうと。さらにモチベーションを維持するためにラッフル(くじ引き)というイギリスの学校で行われているものも取り入れてホームラーニング用にアレンジしました。
Q.実際にポイント制を使って、お子様たちはどうですか?
A.進んでお手伝いをしてくれるようになりました。昼と夜の食事は、準備・配膳・後片付けをそれぞれ担当分け。掃除も居間と子ども部屋、お風呂で担当分け。みんなすっかり上手になり、習慣化されてきた気がします。末っ子の4歳も、今では食器を食洗機に入れるところまで出来るようになりました。この自粛生活が終わっても、お手伝いだけは続けてもらえたらなと思っているのですが……どうでしょう(笑)。
ただ、ラッフル(くじ引き)のルールは少し変更しました。思いやりのある行動ができたり、お手伝いをするとその都度子どもの名前を書いた紙をラッフル用の箱に入れ、そこから毎週土曜日に夫が引きます。引いたくじに名前の書いてある子どもだけがプレゼントをもらえるのですが、末っ子がなかなか当たらず拗ねてしまって。そこで、キッズポイントが100点に到達したときに、3人全員にラッフルの景品を選ばせてあげたところ、ちょうどその週にくじも当たって2つも選べると大喜びでした。
Q.イエローカードは出していますか?
A.実はほとんど出していません。4週間続けて、加点のキッズポイントが134枚。それに対して減点はターンカードが10枚とイエローカードが5枚。イエローが出ると子どもたちのテンションが下がるから、滅多なことでは出さないようにしています(笑)。大事なのは子どもたちのモチベーションを上げることなので、それでいいかな、と。
Q.海外はオンライン授業が進んでいるイメージですが、実際はどうですか?
A.
長女と次女は別々の公立小学校に通っています。もちろん学校によって内容はまちまちですが、どちらもしっかりと毎日課題が出されそれなりに充実しています。長女の学校では、このコロナで休校になった歴史的証拠を残すためにと、〝コロナホームラーニングノート〟が配られ、これを使いながら課題に取り組んでいます。課題などはウェブでの提出は任意で、先生による丸つけはありませんが、自分が大きくなった時に、我が子や近所の子に見せて歴史の1ページとして語れるように、ノートは丁寧に書いてやるようにと言われたそうです。子どものメンタルヘルスがとにかく最優先と言われているので課題を終わらせることへのプレッシャーは全く感じません。
Q.学校の課題以外に勉強はしていましたか?
A.遊びの中に学びがあるものを取り入れています。1日1回許されている家族単位での外出時に虫めがねで黒い紙を焦がしたり、おやつにえびせんを油で揚げて膨らませてみたり理科の実験に結び付けています。料理やお菓子作りなども一緒にしました。小学生のお姉ちゃんたちにはミシンの使い方も。はじめは教えるのが大変でしたが、今では一人で筆箱を大量生産しています。
Q.年の差のある姉弟をどうやって遊ばせていますか?
A.どうしても全部同じには出来ないのが現実です。登校時間に合わせた朝の散歩時に公園へ行って体を動かすようにしています。徒競走などは下の子にハンデをつけて、3人が揃って対等に競えるように工夫も。ハンカチ落としなどはかなり盛り上がりました。私たちの住む場所は、徒歩圏内にいくつも大きな公園があり、我が家に限らずみんなお散歩やジョギングに出かけていました。ただ、遊具エリアには鍵がかかっていて入れません。かけっこやブリッジ競争、側転競争、木登りなど、遊具なしで楽しめることを3人で一緒にやるだけで立派なアクティビティになります。シートを広げて、みんなでお絵かきをしたり、『魔女の宅急便』を読み聞かせをしたりもしています。室内ではもっぱらレゴで遊んでいます。
取材・文/塚田有紀子 ※内容は、取材時4月24日時点のものです。