1月に開催したVERY児童館では『風邪引かせたくない!引いちゃった!どうすれば?』をテーマに小児科医で2児のママでもある工藤紀子先生をお迎えして、風邪予防や引いたときの対応について教えていただきました。今回はイベント中にみなさんからいただいた「赤ちゃんの風邪」についての質問を一問一答にしてまとめて一挙公開!
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Q. 受診を急いだほうがいい発熱はどのような場合ですか?
・3カ月未満で38度以上の発熱のとき
・ぐったりとしていて元気がないとき
・呼びかけても反応が鈍くウトウトと寝てしまうとき
・嘔吐が止まらないとき
・水分が全く取れず、半日以上おしっこが出ないとき
・痙攣したとき
上記に当てはまる場合はすぐに受診してください。
「特に3カ月未満の赤ちゃんは、基本的にお母さんからの移行免疫のお陰で熱を出しにくいので、38度以上の発熱がある場合は重症な病気の可能性や、細菌感染による場合があるのですぐに受診してください。また、お母さんの『何かおかしい!』という勘は当たるもの。そういう場合も受診することをお勧めします。元気があっても熱が3~4日以上続くときは診療時間内に診察してもらいましょう。比較的元気で水分を少しずつでもこまめに取れていれば、救急外来や休日診療を緊急で受診しなくても大丈夫です」(工藤先生)
Q. 発熱したとき自宅でできる正しい対応は?
「まずは子どもが不快でないことを前提に、太い血管が通る脇や鼠径部、頭を冷やしてあげるといいですね。ただ、ジェル状のペタッと貼るタイプのものは接触性皮膚炎になる可能性もあるので乳幼児にはあまりおすすめしません。ある程度大きくなって本人が貼りたいというようであれば使用してもいいと思います。次に、解熱剤を適切に使用すること。解熱剤には風邪を治す効果はありませんが、本人を楽にするという目的をメインに使用するもの。あまり頑張らせすぎず、38度くらいあってしんどそう、なかなか寝付けない、食欲がない、頭痛があるなど、本人の様子がぐったりしているときは飲ませてあげてください。お薬はシロップより粉がおすすめ。個包装で容量を間違えることもなく、ゼリーやアイスなどと混ぜやすいです」(工藤先生)
Q. 咳がひどいときの正しい対応はありますか?
「身近にある食材で対策できるんです。1歳以上であれば『はちみつ』が役立ちます。咳はそもそも身体の中にある悪い菌を出そうとする自然な現象で無理に止める必要はないので、小さなお子さんにはあまりお薬は処方しません。必ず1歳以上であることを前提に、スプーン1杯分のはちみつをお湯に溶かして飲ませてあげると効果的ですよ」(工藤先生)
Q. 鼻水吸引器は一日にどれくらい使用していいものですか?
「朝・昼・夕・寝る前の1日4回を目安に使用することをお勧めします。特に効果的なタイミングとしては、寝る前(寝つきがよくなる)、起床時(睡眠中にたまった鼻汁を取り除けます)、お風呂上がり。鼻水の程度に応じて回数を増やすことも可能ですが、過度な使用は避けて、1回の吸引時間は3~4秒以内を目安とし、左右交互に数回ずつ行うのが適切です。頻繁に使用することで鼻粘膜を傷つける原因になったり、子どもが嫌がって拒否する原因となる可能性があるため注意が必要です。適切に使用を続けていれば、子ども自ら鼻を吸引するようになることもあります。もし鼻血が出てしまったら、その鼻側の吸引を1日程度中止し、出血していない側は通常通り吸引を続けても構いません。必ずしも常に全ての鼻水を取り除く必要はないということと、子どもが不快に感じないということが前提です」(工藤先生)
Q. 鼻水と咳が出ているとき耳鼻科か小児科どちらに行くか悩みます
「私個人の意見としては、耳鼻科では聴診をしないことが多いと思うので、咳が出ている時は小児科、中耳炎を繰り返している時は耳鼻科、鼻水だけの時はどちらでも良いと思います」(工藤先生)

お話を伺ったのは…
工藤紀子先生
順天堂大学医学部卒業、同大学大学院小児科思春期科博士課程修了。栄養と子どもの発達に関連する研究で博士号を取得。日本小児科学会認定小児科専門医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/保育園、幼稚園、小中学校の嘱託医を務める/現在2児の母。クリニックにて、年間のべ1万人の子どもを診察しながら子育て中の家族に向けて育児のアドバイスを行っている。
取材・文/小川理蓉