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しっかり者の娘が小1から不登校。大人が見逃した兆候とは?【行き渋り・不登校】

夏休み明けに急増すると言われている不登校。子どもが「学校に行きたくない」という気持ちを言葉にできずにずっと我慢を続け、親は深刻な状態になってから気付いた、というケースもあるようです。今回は、しっかりしていて手がかからなかった娘さんが不登校になったというシングルマザーの読者の体験談です。

我が家の不登校体験談 

T.Nさん 33歳・団体職員/子ども・小2

子どもが不登校になったとき

親がついやってしまうことは逆効果

―普段仕事をしているとお子さんが不登校になったときに大変ですよね。

娘が幼いころに離婚し、シングルマザーになりました。フルタイムで働きながら娘を育てています。娘が学校に行きたくないと言い始めたのは小学校1年のときでした。不登校の子どもを持つ人と話すと、「我が家もそうだった」と言われることが多い「あるある」なのですが、最初に子どもが学校に行きたくないと言い始めたとき、多くの親は「どうしたらこの子は学校に行くようになるのか」考えるんですよね。周囲の人に相談しても、誰も「学校に行かなくてもいい」なんて言ってくれないし。朝、友だちに迎えにきてもらったり、泣いている娘の手を引いて学校へ連れて行き先生に引き渡したり、今思えば苦笑いするしかないのですが、逆効果になることばかりやっていました。無理に学校に行かせなければもう少し早く娘は元気を取り戻していたかもしれません。その後、娘は家から全く出られなくなってしまいました。

 

―その後はどうやって不登校期間をのりきったのですか?

小1の娘を留守番させて出勤するのは難しく、やむなく休みをとってしばらく親子で家にこもっていたものの私の有給には限りがありますし、元夫にも頼れない状況でした。結局、週に数日実家の母に来てもらって私は仕事に行くようにしていました。幸い理解のある職場だったので母の来ない日は子連れ出勤をさせてもらいました。職員は娘にはむやみに話しかけないというルールでしたが、みんな、気になって声をかけてくれるんですよね。娘は「みんなにとっては一回かもしれないけれど、私は一日に何度返事しなきゃいけないと思う?」なんて言っていましたが(笑)。「みんな気を遣ってくれているんだよ」と話しました。思いがけない形でしたが、社会の中で大人と触れ合う機会ができたことは娘にとって良かったと思います。

一見しっかり者に見えるため

娘の「つらい気持ち」に気づけなかった…

―(笑)。娘さんは小学校低学年という年齢のわりに大人っぽい性格なんでしょうか?

大人ばかりの環境で育ったせいなのか、もともとの性格なのか保育園時代から周囲のやることをよく見ていてほかの子の面倒を見るような子どもでした。ただ、そのぶんしっかりしていて手がかからないように見えてしまいます。細かなことにも目がいく娘の繊細な性格に気づいていたのは、当時もベテランの一部の先生だけでした。

娘が入学した小学校には、同じ保育園から入学した友だちはひとりもいないという環境。プールに入るのが嫌だとか、男の子からあだ名で呼ばれるのが嫌だと言うようになりました。当初、担任の先生には「娘さんは大丈夫ですよ。しっかりしているし」と言われていました。掃除の時間もほかの子どもたちの世話をしていたらしく、その様子を見ていたスクールカウンセラーにも「まるで中学年以上の年上の子のよう」と言われるほど。「娘は学校に以前からの友だちがひとりもいないんです」というと「えっ、そうなんですか?」と驚かれました。一見周囲に馴染んでいてしっかり者という印象なので娘の「学校がつらい」という気持ちに周囲の大人が気づくのが遅れ、わかったときにはもう手遅れ、学校には行けないという状態でした。

「まさにうちの子だ!」

娘が「HSC」だと気づくきっかけになった本

―しっかりしているように見える反面、とても繊細なお子さんなんですね。

娘は典型的なHSC※タイプだと思います。職場の先輩ママに教えてもらったHSC関連の本を読んで、まさにうちの子のことだと感じました。子ども自身も本を読んで納得した様子で、最近は「私はHSCだからこういうの苦手なの」なんて言っています。食べ物の好き嫌いやアレルギーもあり給食も苦手。保育園の給食は刺激物が除いてありますが、最近の小学校の給食はキムチやこしょうの入ったメニューも多く食が進まないようでした。ミートソースやカレーなど複数の食材が混ざったメニューも食べられません。逆に白いごはんに味噌汁、焼き魚といった和食メニューは好きなんです。心配になって栄養士の先生に相談したら、「中年になっても単品メニューばかりが好きで生活習慣病になる人、食生活の指導に苦労する人も多いんです。今から和食中心の食生活ができるなんてとてもいいこと。問題ありません」と逆に励まされましたが(笑)。

※HSC (Highly Sensitive Child)ひと一倍  敏感な子ども

「学校スタンダード」って何のため?

日本の教育は60年変わっていない!?

―私(ライター)は未就学児の母なのですが、これからの小学校生活がちょっと心配になりますね……。

保育園のときは、子どもたちそれぞれの個性を尊重してくれたのに、いざ小学校に入学するとみんな一緒にひとつのことに取り組む能力が求められ、そこからはみ出ることはなかなか受け入れてもらえません。保育園は福祉施設で小学校は教育施設であるという違いもあると思うのですが、最近は各校の「学校スタンダード」というのも増えていますが、中には本当に必要なのかなと思うものもあって。机と椅子の間はにぎりこぶし1個分開けるとか、筆箱は指定のデザインで、中に入れる鉛筆の種類と数も指定といった決まりのある学校もあると聞きます。一律のルールがあれば子どもがわかりやすかったり、経済差が出なかったり、先生方は子どもを管理しやすいというメリットがあるのだと思いますが、真面目な子ほどルールを守らなければいけないと萎縮してしまいます。不登校の子どもを持つママたちとは「日本の教育は60年変わっていないんじゃないか」とよく話しています。

 

──ここ数十年の間に学習指導要領の改訂や法改正もされているのに結局、変わっていないと思いますか?

会社組織だって社員がみんな同じことができるわけではないはず。それぞれ得意不得意があって当たり前。苦手分野のある社員を「あいつは使えない」と捨ておくのではなく、特性を理解して適材適所に置くのが本当にマネジメントができる人ではないでしょうか。みんな同じ時間に同じことをすることから、はみ出てしまう子どもにとっては、昔以上に今の小学校は居づらい環境なのかもしれません。

取材・文/髙田翔子
*掲載中の情報は、過去記事を再編集したものです。

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