赤ちゃん期から幼児期にかけて、「ねんね」で悩む人はとても多いもの。「ネントレ」という言葉も一般的になってきましたが、「ママが悩んでいるなら迷わずやってほしい」というのは夜泣きドクター・もりたま先生。ママの自分時間確保のためにも知りたい、そのポイントは?
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生まれる前からやるって本当?
ネントレで
「やったほうがいいこと」
「やらなくていいこと」
お話を伺ったのは…
森田麻里子先生
医師。東京大学卒業後、起業。CISA小児スリープコンサルタント指導講師。著書に『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』など。5歳から0歳まで3児の母。
ネントレとは?やり方は?いつからいつまでする?
そもそも「ネントレ」って
どうやるもの?
「ネントレ」とは、赤ちゃんが自分で眠る習慣をつけるトレーニングのこと。例えば生後6カ月ならねんねの前にルーティンを行い、ベッドでおやすみをしたら親は部屋を出ます。泣いても数分様子を見て、泣きやまなければ部屋に入り、声をかけます。部屋に入るまでの時間を徐々に長くしていき…最終的に一人で寝つく。これを2週間も続けると、だいたいの赤ちゃんは慣れてきて、一人で眠れるようになります。これがネントレの基本メソッドです。そして耳にタコかもしれないのですが、ぐっすり寝るためには早寝早起きが基本です。
夫婦でネントレ派も
どんどん増えています
ネントレ中はどうしても赤ちゃんを泣かせることになるので「かわいそう」と罪悪感を持つ方もいますが、ママや赤ちゃんが夜中起きていることになり、昼間辛いのならぜひためらわないでください。ネントレが赤ちゃんの心の成長に悪影響を与えないことは、医学研究によって証明されています。最初ちょっと泣いたとしても、寝られるようになって昼間笑顔で過ごす時間が増えたら、赤ちゃんにとっても幸せなはず。また、夫婦でネントレに取り組むケースも増えています。ネントレはパパが参加しやすい育児でもあるので、夜中起きる大変さをまずは一緒に分かち合って。アプリなどで睡眠効率を見せ合ったりするのもおすすめです。
とはいえなかなか寝かしつけられないとイライラすること、ありますよね。私も思い当たること、もちろんあります! 私は怒りそうになったら「ママはお仕事あるから、ちょっと行ってくるね」と離れるようにしています。そしてちなみに、日本人は子どもだけでなく大人も寝不足。睡眠6時間未満というママも多く、本当は7〜9時間が理想なんです。6時間睡眠を1〜2週間続けただけでも徹夜したのと同じくらい注意力が落ちます。睡眠は脳のお掃除をする時間でもあり、食事と同じくらい大事。つい私も寝かしつけ後に自分時間…と思ってしまいますが、子どもと寝落ちしちゃうのも、健康を思えばむしろおすすめです。
ネントレで「やったほうがいいこと/やらなくてもいいこと」
必要な人は罪悪感を持たず
ためらわずやってほしい!
やったほうがいいこと
ふわふわお布団はNG。暖房を!
1歳までは安全上、羽毛布団はおすすめしません。また特に2歳まではベビーベッドが好ましく、夜泣きをするリスクも低くなる可能性が。寒すぎる・暑すぎるとぐっすり眠れなくなるので冬は18~20℃、夏は赤ちゃんの場合、少し涼しめの25〜27℃にエアコンを活用してキープして。冬は着せすぎに注意しながら布団ではなくスリーパーを。寝ている間に汗をかいたり、胸を触って熱くなっているときは〝暑すぎ〟のサインです。
1歳半を過ぎたら本人と相談して
ネントレは生後6カ月くらいからやる方が多いのですが、イヤイヤ期を過ぎて同じことをすると抵抗してうまくいかなくなってきます。1歳半を過ぎたら本人にいかにやる気を持ってもらうかが大切なので、本人とお話ししながらゆっくり進めます。
鉄分をしっかり摂って
夜の〝ぐっすり〟には日中の栄養摂取も大切です。離乳食は時間を遅らせないほうがよく、鉄分も睡眠の安定に重要。鉄は吸収率のいいお肉のほか、卵黄にも約1mg入っているのでおすすめ。鉄分入りのおやつやベビーフード、フォローアップミルクも活用を。
3歳まで寝室は遮光
睡眠を深くするために3歳ごろまでは遮光し(一級遮光カーテンがおすすめ)、加湿器などのランプもすべて消すのがベター。暗闇を怖がるときは、明るすぎないフットライトを。夏の早朝、明るさで起きてしまうことも防げます。6〜7時になったらカーテンを開けて朝の光を浴びさせましょう。
寝る前の甘いものは控えて
甘いもので血糖値が上がると興奮しやすくなるので、寝る前のスイーツは控えて。食べるとしたらできれば2、3時間前までに。フルーツであれば安心です(ジュースではなく果物そのもので!)。
やらなくてもいいこと
母乳、添い乳はやめなくていい
授乳をやめると朝まで寝る子が増えるのは事実ですが、ママの意思で授乳を続けたい場合、そして夜中に1、2度起きることへのストレスがないのならやめる必要はありません。子どもは睡眠が浅くなったタイミングで自然に起きておっぱいを飲んでいるので、少し起きるのは子どもにとって悪い習慣ではありません。ただ、〝そろそろぐっすり寝たい!〟というママはネントレをためらわずに。
泣いたらすぐあやさなくていい
赤ちゃんは「寝言」で泣くこともあるし、放っておいたほうが寝やすい子も。赤ちゃんの感情を発散させてあげる、と捉えてみるのもいいかもしれません。研究結果でも、ネントレのために少し泣かせたくらいでは成長に問題はないことがわかっています。
静かにしなくてもいい
「無音=安眠」とは限りません。静かなときに突然音が鳴ると覚醒してしまうもの。静かにできない場合は「ホワイトノイズ」を活用します。「ザー」「ゴー」という音で、流しっぱなしにすると物音で目覚めるのを防ぎますし、赤ちゃんがお腹の中で聞いていた音なのでぐっすり眠れます。アプリでも見つかりますよ。
お昼寝を短くしなくてもいい
赤ちゃんのうちはお昼寝が足りない子が多く、昼寝で「寝すぎる」ことは心配しなくていいでしょう。2、3歳以降になると、あまり遅い時間にさせないほうがベター。2018年に保育指針が変わり、保育園でも基本的にお昼寝はその子の必要に応じてするようになっています。とはいえ現状、対応はさまざま。これから保活の方は、個別に対応してくれるか、お昼寝事情について確かめて。
ネントレしなくてもいい
ネントレは必ずすべきものではありません。困っているわけではないのに〝子どものため〟あるいは〝パパのため〟(!)にマジメに取り組まれる方もいるのですが、「赤ちゃんもママ・パパもこんなに眠れないなら、どんなに泣いてもネントレして改善したほうが絶対にいい」と心から思えてからで遅くありません。
もりたま先生が回答!ネントレを進める上で気になること
それでも気になる
「寝てくれないうちの子」への疑問集
Q. 妊娠中の生活が影響するって本当?
A. 妊娠中のママの生活習慣が赤ちゃんに影響することがわかっているので、できれば早寝早起きするのが理想ではあります。とはいえ妊娠時は寝苦しくもあり、神経質にならなくても大丈夫。
Q. 寝かしつけでどんな
言葉かけをすればいいですか?
A. 「大丈夫だよ」「ねんねだよ」と短い言葉で、刺激しないよう気持ちは込めなくていいです。合図くらいの感覚で。寝るのは本人なので、声かけで安心させるというより、赤ちゃんが寝るのを待つという気持ちで。
Q. そもそも赤ちゃんは
何時間寝たらいい?
A. 昼寝を含めて以下の時間が目安です。
-
0~3カ月:14~17時間
-
4~11カ月:12~15時間
-
1~2歳:11~14時間
-
3~5歳:10~13時間
Q. どれくらいで寝つくのが普通?
A. 20~30分以内くらいが多いようですが、添い寝だと40分か1時間弱かかる場合も多く、添い寝のほうが長い傾向があります。一緒に寝ることが刺激になってしまうようです。
「お昼寝はさせないほうがいい?」ママたちの疑問にもお答え
誌面に載せきれなかった読者さんからの疑問に森田麻里子先生がお答えくださいました。WEB限定公開です。
【ネントレの疑問6】
Q.スリーパーはどんなものを選べばいいですか?
Q.おくるみの安全な使い方が知りたい!
Q.夜の睡眠を邪魔しない昼寝のコツはありますか?
Q.寝る前のミルクは腹持ちがいいから起きにくいって本当?
Q.子ども用にも差し支えないサプリなどはあるのでしょうか?
Q.赤ちゃんにもショートスリーパーはいるんでしょうか…?
ベッドメリー¥11,000〈Pehr〉クーファン¥14,960〈BOBO〉ベッド右の人形¥19,800〈SOULEIADO〉(すべて10mois)その他私物
撮影/五十嵐 洋 取材・文/有馬美穂 編集/井上智明
*VERY2023年1月号「ねんトレで「やったほうがいいこと」「やらなくていいこと」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。