VERY December 2021
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December 2021

2021年11月6日発売

890円(税込)

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【言いなり、先回り、世話焼きetc…】あなたも『召使いママ』?タイプ別脱却法

忙しい毎日、「育児は待つこと」が大事とは知りながらも、ついかいがいしく世話を焼いたり言うことを聞いてしまっている=召使い業に精を出しちゃって自己嫌悪に陥ること、ありませんか? “召使い”にはどんなタイプがあって注意すべき点は何か。召使いを脱却するためにはどうしたらいいのか、幼児教育の専門家・岩立京子先生に、聞きました!

根負けママ先回りママ気忙しママ
“召使いママ”への処方箋

\教えてくれたのは…/

岩立京子先生

東京家政大学 子ども学部 子ども支援学科教授。専門分野は幼児教育、発達心理学。東京学芸大学教育学部教授、同大学附属幼稚園長を経て現職。

泣かれたくないから言う通りにしちゃう「根負けママ」

根負けママはこんな人!

2歳になった頃から、どこでもいいから寄り道したい子どもと、まっすぐ帰りたい私との終わりなき戦い。帰り道はこっちがいいなどと指示され、従わないと後ろからバシバシ叩かれ大泣き。仕事終わりで疲れてるのに、一時期は毎日踏切に寄らされ、そのあとは自動販売機ブームや、パン屋さんブームなど…。お迎えも最近は19時だから遅いのに、そこからどこかに行けと言われて。ここ数日ついに「なんでお迎えママなの? パパがいい」と言いだしました。パパは忠実な召使いのように好きなところへ連れていってくれるので。(4歳男の子ママ)

絶賛イヤイヤ期の次男のよくわからないこだわりに毎日付き合うのも、召使いの日課。階段は自分から先に下りる、お風呂はママから先に洗う、飲み物は全員ストローで飲むなど他人に迷惑が掛からないことであれば基本、王様の言いなりです。(3歳男の子のママ)

YouTubeで見ているものに飽きたり、気に入らなかったりしたときは「これやだ!」と大騒ぎ。放置したいから仕方なくYouTube見せてるのに、専属DJのようにチャンネルを変えさせられます。(3歳女の子のママ)

【岩立先生のアドバイス】

時には泣かせてもいい。「気逸らし」を使いつつまずはお約束を決めることからはじめて

1歳半くらいから2、3歳くらいまでが強烈に自我を出してきますから、ママはしんどい時期ですね。お菓子が欲しいと泣く時に「ワンワンだ!」とほかの好きなものへ気を逸らすことは保育のプロも使う技。スーパーで泣いているところを抱き上げて帰るとか、そうして切り抜けるのは悪いことじゃない。でも3歳になっているなら、ママの疲れや気持ちにも気づいてほしいころです。感情のやりとりは大事ですから、泣かれても寄り道の召使いは卒業して、「ママは疲れたから帰りたいよ」としっかり伝えて毅然と対応を。子どものお気に入りのコンテンツがあるならよいですが、見たくもないものを延々と見てしまうようなYouTubeとのかかわり方もちょっと気になります。このDVDのこのお話だけなどお約束ができるといいですね。もちろん、子どもが大きくなってからでもいくらでも取り返せるので大丈夫。代替案でのせたりもしていいので、折り合いをつけていけるといいと思います。

 

子どもが考えるより先に手が出ちゃう「先回りママ」

先回りママはこんな人!

水が欲しい、暑いなどと言われたわけではないのに自然と先を読んでやってしまっている。普段は気が利かなくて情けなくなることが多々ある私なのに、子どもたちに対して気が利きすぎて自分で引いています。(4歳男の子、1歳女の子ママ)

歯ブラシをくわえたまま歩き回る子どもが心配で、つい歯を磨いてあげてしまう。最近は「歯ブラシ!」と言うと、携帯を持ってきて私のひざに寝っ転がって携帯を見るまでに…。(2歳女の子ママ)

【岩立先生のアドバイス】

「どうしようか?」と問いかけるアクションが大切です

子どものことにすごく気がつくいいお母さんなんだと思います。赤ちゃんの頃はそれで完璧、でも大きくなったら、なんでもやってあげるのではなく、「汗かいたね、どうしよう?」とまずは問いかけをして。3歳までは、汗をかいたら親が気づいて問いかけながら取り替えますが、4歳からは自分で気づいて着替えることを目指します。でも2歳の歯ブラシをくわえて歩いちゃう子は、これは車道に飛び出すのと同じ危険なことなので、まずは召使いにならず毅然と注意しないといけません。その後でやってあげるのは仕方がないけど、「代わりにやってあげるね」と召使いが当然ではないことを徐々に伝えましょう! それが子どもが自立していくチャンスにもなっていきます

 

時間も余裕がないからやってあげちゃう「気忙しママ」

気忙しママはこんな人!

お風呂あがりにパジャマをなかなか着てくれないのですが、風邪ひきそうなのでつい着せてしまいます。なので、ずっとボタンかけができません。しかも、パパママ2人で着せる→寝る、というのがすっかりルーティーンになってしまっていて、寝かしつけ完了まで2人して息子にかかりっきりで効率めちゃ悪いです。(3歳男の子ママ)

朝は忙しいので手摑み食べも、コップ使いも、汚されるのが嫌でいまだに食べさせてあげたり、手の汚れないおにぎりにしたり。そのおかけで朝は仕事がたくさんでイライラ。(1歳女の子ママ)

無駄に几帳面なうちの子。靴下はもう自分ではけるのですが、ちょっと曲がってたりすると一度脱いでやり直し→ママイライラ。なので、ついはかせてしまっています。(3歳男の子ママ)

コロナでおうち時間も増えたので、娘とお菓子作りを!と思い、クッキー作りをするものの、娘は型抜きのまねと飾りのみ。準備片付けすべて私。娘のためと思いつつ、やること多すぎて、いつも疲れてしまいます。(4歳女の子ママ)

【岩立先生のアドバイス】

忙しくて親子ともにイライラしちゃうのなら、やってあげたっていい。でも、その際は一言添えて

時間が許すならもちろん子どもにやらせたほうがいいので、できるだけボタンもスプーンも難易度を下げたものを与えるという工夫はできると思います。もちろん、「〇〇させなきゃ」とタスクを課すとさらに余裕がなくなってきちゃうので、できる時だけで。基本はある程度時間を区切るとか、途中からは食べさせる、または急いでいるなら割り切ってママがやったっていいんです。幼稚園や保育園で自分で身の回りのことができるように促してくれますし、人頼みのところがあってもいいと思いますよ。ママが苦しくてイライラして、家庭の雰囲気がギスギスしちゃうほうが一番よくないと思うので。でもその時も、「今日忙しいから、ママがやっちゃうね」などコミュニケーションを添えて。何度もお伝えしていますが、コミュニケーションって本当に大切。無言でやっちゃうような召使いに徹しないようにしてみてくださいね。

 

まとめ

「召使いも時々はOK。
でも、長期的視点も必要です」

黙ってやってあげちゃうのではなく、
「ママも疲れるよ」「代わりにやるね」と気持ちを伝えて

赤ちゃんが泣いた時など、欲求に応えてあげるのは発達上とても大事。でもいつまでも要求に応え続けていると、子どもはわがままを言っているつもりではなくても、全部満たされる状態が当たり前になってしまうんです。満たされないと不満に思って、人間関係を悪くしたり結果的に本人が辛い思いをする可能性もあります。全部の要求に応えてもいい赤ちゃんの時期は、だいたい8カ月くらいまでで、それ以降は親も自分の気持ちを伝えたり、ダメなものはダメと線引きをしていく必要があります。この転換は親にとって難しいところではあるのですが、0歳児でも幼児は感情のコミュニケーションにすごく長けています。ご飯を投げられたりおもちゃを壊されたりしたら、黙って片付けるのではなく「あ〜あ」「悲しい」と顔や全身や言葉で伝えていく。壊れやすいものはなるべく置かないようにするなど、禁止したり怒ったりすることを減らした上で、それでも残念なことをされたら気持ちを伝えて。またいわゆるイヤイヤ期は「気逸らし」も有効。毎日バトルでは関係も悪くなりますから、泣いた時に向き合いすぎるのではなく、気を逸らしたり、時々はお菓子で引きつけたりしてもいい。そして2歳を過ぎたら、「お約束」が徐々にできるようになるといいですね。でも楽しい世界に生きている子どもに、何もなしで我慢させることは難しいので、代替案を出してシフトさせることも必要でしょう。3歳になれば言葉でのコミュニケーションも発達し、幼稚園や保育園でのお友達同士での遊びも増えて世界が広がり、こだわりが分散されて聞き分けがよくなることも多いです。時間や余裕がなくてやってあげちゃう=召使いになってしまうこともあると思いますが、全部ではないなら構いません、だって仕方がないですよ(笑)。でも4、5歳以上になってもまだ毎日召使いをして疲労困憊しているのなら、少し心配。転換のタイミングはいつだっていいんです、今からママの気持ちを伝えることから始めてほしいですね。いいママでいようと思わなくていいし、疲れていて当然なんですから、「ママもう疲れてできないからやってね」「ちょっと待ってね」「時間がないから今日はやっちゃうね」と素直にありのまま伝えて。むしろそんな親のほうが、子どもが助けてくれて「役に立っている」有用感を持ちやすいかも。もちろん激しい怒りはコントロールしてほしいのですが、人の気持ちを理解できる子になるためにも、ママだって子どもにもっともっと自分の気持ちを伝えていいのではないでしょうか。

イラスト/カツヤマケイコ 取材・文/有馬美穂 編集/羽城麻子
*VERY2021年9月号「私が疲れているのは「召使いママ」になってたからだった」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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