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こだわりが強い子を持つ親必見!週7、虫採りがしたくて昆虫博士になった牧田習さんの話

大阪の進学校から北海道大学へ進み、現在は東京大学大学院で研究を続けながら〝昆虫ハンター〟としてTVでも活躍する牧田習さん。輝かしい経歴とは裏腹に小学校の頃から昆虫が好きすぎて友達もできず「学校に行きたくない」と母親とぶつかることもあったそう。自身を「育てにくい子どもだったと思います」と振り返りつつ、まっすぐに好きを伸ばしてきた牧田さんの言葉は、〝育てにくい〟と感じる瞬間があるママ必見。

「どうすれば週7
虫を採って暮らせるか」
を考えた結果、

昆虫博士になった牧田 習さんの話

昆虫ハンター 牧田習さん

教室にいられない、
話すのは虫のことだけ。
「学校に行きたくない」と衝突

 幼少期について採った虫のことは詳細に覚えているのですが、それ以外はあまり記憶になくて……。気が付けば先生に呼び出されて怒られているという感じでした。昆虫をはじめ自分が興味を持ったことには打ち込めたのですが、興味が向かないこと・苦手なことはまったくやらないので周りの手を焼かせていたと思います。幼稚園・小学校の頃は自分が興味のある虫のことしか話せなかったので友達もいませんでしたし、周囲になじめず浮いた存在であることにはずっと劣等感を抱いていました。虫の話を聞いてくれる校長先生や保健室の先生は話しやすかったですね。学校の勉強に関しては、みんなと同じペースで勉強していくのが苦手でした。「問題が解けたから虫採りに行っていいでしょ」と授業中も教室にいられず虫採りに行ってしまうので何度も親が学校に呼び出されました。納得できないまま我慢して従うことができない性格で、「ちゃんと授業を受けなさい」と怒られていたけれど「なんで学校に行かないといけないの?」と衝突することも。でも、勉強が嫌いというわけではなかったと思います。できないことができるようになったり、努力によって成果が見えてくると楽しかったです。虫採りも虫についての勉強がほとんどなので実は学ぶことは好きなのかなと感じています。

母は教育熱心で厳しい人。
でも「好きなこと」を
応援してくれた

 母親は教育熱心だったので、小さい頃から幼児教室や塾に通わせてもらっていました。よく忘れ物をしたり物をなくしたり部屋を片付けられなかったり、だらしないところがたくさんあるので学業面でも生活面でもしょっちゅう叱られていました(今もですが……)。小学生の時には学校の先生や周囲から「牧田君は変わっていて…」と随分言われたようですが、「理解してあげてほしい」と促すこともあり、僕も自分の個性については「だから、なに?」と。そんな母の様子を見ていたからか、僕も自分の特性については個性と受け止められたのかなと思います。僕は自分が進んできた道について「虫採りが好きだから●●になろう」と仕事に繫げることを意識したことはなく、ひたすら「どうすれば、虫と楽しい人生を歩めるかな」と思い進んできました。転機は高校生の時。このままだと〝ただの虫好き〟で終わってしまう、と将来を意識して勉強するようになりました。大人になっても虫採りが好きな人はいるけれど、虫と関係ない仕事に就いて週末だけ虫採りをするという人が大半ですよね。でも、僕は週7毎日、虫採りがしたい。そのためにどうすればいいか、と逆算して考えて今に至ります。もし、あの時、勉強しなかったら今頃、ただ虫採りするだけの人になっていたかも(笑)。家族はいつも「好きなことをしていればいい」と僕の選択を応援してくれました。お金やポジションは後からついてくると割り切って自分が「楽しんでやれること」にフォーカスしている方が結果として仕事にも繫がっていったり、好きなことを伸ばしていけるんじゃないかな、と思います。

子どもの「普通じゃない」を
もっと認めてあげてほしい

 僕の人生は本当に虫を追いかけてきただけの人生で、今のところすごく楽しいです。ただ、小学校の時などなかなか難しい時期もあって学校に行きたくない時もありました。
僕と似たお子さんをお持ちのママにお願いしたいのは、学校に行かせる・周囲と同じようにさせるというゴールを設定するのではなくて、お子さんのやりたくない・行きたくない理由をきちんと聞いてほしいということ。僕は学校に行きたくない=集団行動をしたくない、できないということもあり、保健室登校をしていたこともありました。また、これは小学校の時にわかったのですが、僕は授業を聞くのが苦手で。教科書を読むのは問題ないのですが、先生の日常会話と授業についての会話の区別がつかなくて、必要な情報を整理することが苦手でした。そこで、支援室に相談して、大学のパワポ授業についてはノートテイカーのサポートを受けていました。子どもは自覚できていないけれど困っていることがある場合もあると思うので、まずは型にはめずにじっくり様子を見て話を聞いてみてほしいです。自分が親だったらと思うと大変だと思いますが…。それでもやっぱり、人間は誰でもプラス・マイナスがあって当然だし、完全にノーマルで普通の人なんていないんじゃないかなと自分は思っています。

このままだと〝ただの虫好き〟で
終わってしまう、が
大学進学のモチベーションに

「どうすれば週7虫を採れるか」
考え続けてきた
牧田さんの半生を紹介!

1: 北海道で虫採りがしたい一心で北大へ

 中高一貫の男子校は僕にとって良い環境でした。6年間同じメンバーで過ごすので友達を作るのが苦手な僕でも自然と居場所ができるし、虫好きの友達と出会えたことも大きかったです。僕の特性を理解してくれる先生も多く中学に入ると『学校に行きたくない』と思うことはなくなりました。ただし、学業面は虫採りばかりでなおざり。長い休みには1人で小さい頃家族とよく訪れた沖縄や石垣島に行って、自転車や徒歩で島を巡って毎日日が暮れるまで虫採りをしていました。親に「成績が下がったら虫採りは禁止」と言われたりしていたけれど大学受験はまだ先のことでイメージができず虫採り以外のことにはやる気が起きない状況でした。
でも、高校になるとそうもいっていられない。進学先を考えた時に頭に浮かんだのが北海道。中・高時代に日本全国に虫採りへ出かけた中でも、高校1年生の時に訪れた北海道での虫採りが印象的だったから。北海道の虫は、外見が美しいのはもちろんなのですが、その中に品があるんです。「北海道で思う存分、虫採りがしたい」と目標が定まったことで自然とやる気も湧きました。

2: 虫採りに明け暮れ留年決定。海外へ

 北大入学という目標を達成したことで、北海道に着いた瞬間から虫採りのことで頭がいっぱいに。慣れ親しんだ中高から一転して知っている人が一人もいない環境に戸惑いもあってさらに虫採りに没頭し、学校にも行かなくなり、翌年の4月には留年が決まりました。せっかく1年間、自由に過ごせることになったのでフィリピンに語学留学した後、バイトをしてお金を貯めニュージーランドにワーキングホリデーで渡航し、虫採りをしながら7カ月ほど滞在し全土を巡りました。博物館に出入りしているうちに現地の昆虫学者に出会い大学の研究室のデスクを貸してもらって昆虫の研究や英語での論文の書き方を教えてもらい、新種を発見した際には論文を書き上げることもできました。

3: 海外に虫採りに行きやすい東京の大学=東大へ

 すっかり海外での虫採りに魅了され「世界中を飛び回れるような昆虫学者になりたい」とビジョンが明確に。北海道は素晴らしい環境ですが海外に行くには不便だったので海外に虫採りに行きやすい東京の大学、東大大学院へ進学を決めました。そもそも院へ進学したのも、その方が虫採りがしやすくなるから。日本ではどこでも自由に虫採りができますが、かなり例外。多くの国では虫採りに許可が必要です。研究をしていれば許可も下りやすいし、僕としては単に虫採りが好きで虫を採っているけれどそれはなかなか人に理解してもらえないので「大学で研究しているから」と言えるという便利な一面も。

Profile

1996年生まれ、兵庫県出身。3歳の頃に祖父がミヤマクワガタを生きた状態で捕まえてきてくれたことをきっかけに自然が育む昆虫とその多様性に魅了され、昆虫博士を志すように。清風高校を卒業後「北海道で虫採りがしたい」という一心で北海道大学へ。現在は東京大学大学院 農学生命科学 研究科に所属。大学3年生の時に虫採りの楽しさを世の中に伝えていきたいと考えタレント活動をスタートし、今年1月にはNHK『ダーウィンが来た!』で〝昆虫ハンター〟として南米ロケに参加するなど幅広く活躍。テレビ神奈川「猫のひたいほどワイド」毎週水曜 12:00~13:30に出演中。

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撮影/佐藤航嗣(UM) ヘア・メーク/堀 紘輔(+nine) 取材・文/増田奈津子
*VERY2021年8月号「「どうすれば週7虫を採って暮らせるか」を考えた結果、昆虫博士になった牧田 習さんの話」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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