コロナ禍にあって、今世の中は大きな変革期を迎えている。VERY2020年6月7月合併号「アフターコロナの子どもたちへ 我慢させない頑張らせない 逆転の子育て戦略」で、これからの子育てや、令和を幸せに生きるコツについて語ってくれた、元自衛隊メンタル教官で心理カウンセラーの下園壮太さん。親が子どもに言ってはいけないNGワードを教えてもらいました。
◉言ってはいけないNGワード1
「我慢してえらいね」
「お姉ちゃんだね」
こうして、「我慢=いい子」と学んでいく。我々は、うまくやっていくには我慢すればいいという価値観で生きてきた。大人になったときに均一な文化の中で一人浮いてしまうと生きにくくなるから。みんなが農業をしている時代に「やりたくない」とは言えないし、自己主張ばかりしていたら会社組織には馴染めない。今までの躾は子どもには我慢をさせることを重視していたんです。もちろん「子どもに我慢をさせたくない」という親も増えてきています。でも、親が我慢をして育ってきているから我慢をしない子どもを見るとイライラするんですよね(笑)。
◉言ってはいけないNGワード2
「いつまでもメソメソしないで」
「そんなことで怒らないの」
これは常套句ですね。さらに「男の子なんだから」とか「お姉ちゃんなんだから」と続く。回数が少なければ問題はないですが、ずっと言われ続けていると、自分の感情よりも大切なものが世の中にはあるんだ、と学んでいくんですね。
◉言ってはいけないNGワード3
「ごめんなさいって言いなさい」
場を収めるために子どもに謝らせる場面において、感情が伴わないのに言わないといけない、ということも多いですね。この躾自体は社会ツールとして重要なことなのですが、子どもの気持ちが置きざりになってしまうと自分の気持ちを尊重するのが苦手になる。後からでも「〜が嫌で叩いてしまったのね、それは嫌だったね。でも、叩くのはいけないことよ」と親は一度子どもの気持ちを受け止めてあげると良いでしょう。
◉言ってはいけないNGワード4
「あなたが決めたことでしょう」
子どもがやりたくないことを続けさせるのも危険。一度決めたことはやり通さないといけない・続けなければいけないという発想が古い。江戸時代の価値観ですね。手工業の時代は続けなければ会得できない技術があって、大工なら大工を継がないといけない、嫌でもやらないといけないから挫折というものが忌み嫌われるようになったんです。これからは挫折の時代ですから、挫折に慣れることはむしろ必要です。
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◉下園壮太さん
心理カウンセラー、MR(メンタルレスキュー)協会理事長、同シニアインストラクター。
陸上自衛隊初の「心理幹部」としてメンタルヘルス教育に携わり自衛隊の心の強靭化のためのプログラムの作成や、過酷な環境で任務にあたる隊員の心のケアを指揮してきた。退官後は豊富なカウンセリング経験を活かして独自のカウンセリング技術の普及に努めている。
イラスト/JUN OSON 取材・文/増田奈津子 編集/フォレスト・ガンプJr.
*VERY2020年6月7月合併号「アフター・コロナの子どもたちへ 元自衛隊メンタル教官 下園壮太さんに訊く 我慢させない、頑張らせない 逆転の子育て戦略」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。