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松井ケムリさん「子どもが生まれてから妻と対等とは思わなくなった」

お笑いコンビ・令和ロマンとして多忙な日々を送りながら、1歳のお子さんを育てる父でもある松井ケムリさん。父親になったことで世の中の見え方や教育への考え方が大きく変わったと語ります。「勉強しろとは言わない」「好きなことを伸ばしてあげたい」。自身の経験も交えながら、松井さんらしい等身大の子育てについて伺いました。

子どもが生まれて実感した“子育ての大変さ”

お子さんが生まれて約1年が経ちますが、現在はどんなふうに子育てに関わられていますか?

非常に難しい質問ですね(笑)。仕事で家を空けることが多いため、妻にはとても負担をかけていると思っています。できる限りは関わろうと、休日は一緒にお世話をしたり、仕事がある日も8時くらいまでに帰れる日は、お風呂の前後で遊んだり。あとは読み聞かせですね、生後23カ月くらいから始めましたが、今も遊びの時間に絵本を読むことが多いです。振り返って大変だったのは、まずは生後12カ月くらいの乳児期。いわゆる「背中スイッチ」で、抱っこで寝てもベッドに置くとすぐに起きちゃって。ちょうど今も手足口病にかかっていて、熱がある間はずっと泣いていたので、それも大変でした。たまにベビーシッターさんをお願いすることがあるんですが、補助制度があっても直前にだと予約が取りにくいことが多かったり、うちは猫がいるので来てもらえる方が限られたりと、思った以上に難しいことも多くて。…とはいえ、自分たちだけでの子育ては、相当しんどいという現状がありますね。

出産に立ち会い、育児を経てパートナーへの気持ちに変化が

父親になって、ご自身の中で一番変わったことは何でしょうか?

一番変わったのは、妻への思いやりというか、尊敬ですね。出産にも立ち会い、普段の生活を見ていても、本当に頑張ってくれているんです。子どもが生まれてからは「妻のほうが絶対に偉い」という気持ちがあります。夫婦だけの頃のような、対等という感覚はもうなくなりましたね。父親としての感覚でいうと正直なところ、我が子を心の底から「可愛い」と思えたのは、生後半年くらい経ってからでした。最初は「壊れちゃいそう」と思う気持ちが強かった。でも、しばらく経つと表情も出てきて、今は本当に可愛くて仕方ないです。仕事の現場でも同じ世代の子どもを持つ芸人さんたちと子どもの話をたくさんするようになりました。「今どんな感じ?」「もう歩いてる?」とか、成長具合いを話し合いますね。
一方で、夫婦の関係そのものはあまり変わってはいません。呼び方も「パパ」「ママ」ではなく名前のままですし、子どもを寝かせた後は一緒に夕飯を食べたり、テレビやYouTubeを見ながらよく会話しています。紺野あさ美さんや辻希美さん、実はVERYモデルの辻元舞さんのチャンネルも見ていて。みなさん本当に「すごいな」と尊敬しています。

“父親”になったことで思い出す感覚とささやかな願望

大きな変化の中で、変わらないものもあり、大変ながらも育児を楽しまれているように感じます。お子さんが生まれて、世の中の見え方も変わりましたか?

すごく変わりました。別の仕事で小学生の子どもたちと話していたら、「『イカゲーム』は見ちゃいけないから見てない」と聞いて、「そうか、子どもには見せちゃいけないものがあるんだ」という感覚を思い出したんです。街を歩いていても、今まで気にも留めなかった子ども向けの施設が目に入るようになって、日々「こんな場所あったんだ」と思います(笑)。大型ショッピングモールにも行ってみたいし、子どもが乗れるキャラクターカートにも乗せたいですね。

 

松井さんご自身はこれから、お子さんにはどんなことをしてあげたいと思いますか?

とにかくいろいろな経験をしてほしいですね。妻が子どもを連れて実家へ帰ったときには、義理の両親と旅行したりしているんですけど、そのたびに子どもができることが増えて帰ってくるんですよ。だから旅行もそうだし、日々の遊びの中でもとにかくいろんな経験をさせてあげたい。先日は初めてディズニーランドデビューもしたし、この夏は僕の実家の庭でありえないくらい大きいビニールプールを出して甥っ子や姪っ子たちと一緒に遊ぶ予定です(笑)。

「好き」の芽が出た瞬間を逃さず、自由に伸ばしたい

―慶應義塾大学のお笑いサークル出身で、中学受験では桐朋中学校合格と“高学歴芸人”と呼ばれることもある松井さん。教育については、どんなことを大切にしたいと思っていますか?

僕自身、中学受験でかなり勉強を“させられた”経験があるので、「勉強しなさい」とはあまり言わないと思います。いろいろな人から話を聞いていて思うのは、何かをするうえで子どもが「自分が選んだ」ということが大切らしいんですよ。人から強いられたことってどうしても続かないし、嫌いになってしまうこともある。そのうえで目指すのは、子どもが勉強をしなくても焦らず、好きなことや得意なことを伸ばせる環境づくりですかね。

 

―お子さんに関しては、ご自身が通ってきたルート“じゃないほう”を選ばれるんですね。

そうですね。今はもう、勉強だけの時代じゃない気がしています。僕自身、生き物が好きでよく虫取りをしましたし、たくさん飼育もさせてもらいました。そんな環境づくりは、自分の子どもにも引き継いでいきたいですね。あと最近、いいなと思ったのは(レイザーラモン)RGさんの子育てです。お子さんが車に興味を持ったらモーターショーへ連れて行くし、鳥が好きになったらバードウォッチングへ行く。「好き」の芽が出た瞬間を逃さず、一緒に楽しむところは本当にすごいですし、見習いたいと思います。実は、バードウォッチングに誘っていただいてるのですが、まだ実現していません(笑)。今は「好き」があるほうが人生を楽しめる時代だと思うんです。だから、子どもの好きなことや得意なことが見つかったら、それを思い切り応援して、自由に伸ばしてあげたいですね。

待望の絵本は、2026年7月24日発売!

絵本『ちがうちがう』
集英社/34ページ 1980円(税込)

ある日、不思議な世界に迷い込んだただしくんは、神様に出会う。そこで“神さまがつくった世界”を見せてもらうのだが、目にするものすべてに、ただしくんのツッコミが止まらない! ただしくんは無事におうちへ帰ることができるのか――

PROFILE

松井ケムリ(まつい・けむり)

1993年生まれ。神奈川県出身。お笑いコンビ・令和ロマンのツッコミ担当。2023年、2024年の『M-1グランプリ』で史上初となる連覇を達成。バラエティ番組やラジオなど幅広く活躍するほか、2026年に初の絵本『ちがうちがう』を刊行し、絵本作家としての活動にも注目が集まる。現在は1歳の子どもの父として子育てにも奮闘中。

撮影/土岡虎太郎 取材・文/松倉和華子

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