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きょうだい二人に「学校を休みたい」と言われたとき、 フリーランス母の選択は?|我が家の不登校体験談②

【お話を伺ったのは】

N.Kさん 37歳・フリーランス/小6男の子、小2女の子のママ 

今回話を聞いたのはフリーランスで仕事をするN.Kさん。発達の凸凹が大きいお兄さんと不登校になった妹さん、二人の小学生の母であるN.Kさんに「お子さん二人が学校に悩みを抱えると大変ですね」と伺うと意外な答えが……。

発達の凸凹の大きい息子の学校生活

息子は集団行動が苦手なタイプです。発達の凸凹があり、得意不得意に大きな差があります。幼稚園時代からひとり遊びが好きで、他の子が集団で遊んでいても、黙々と自分の好きなことをしているような子どもでした。友達の名前もまったく覚えられなかったので何となく、「人と違うかも」とは感じていました。検査をして息子の発達の傾向がわかったのは小学校に入ってからのことです。没頭しやすい性格で先生の指示に気づかず自分のペースで物事をすすめたり、宿題を忘れるようなことが増えました。当時の担任の先生から、「息子さんはわざとサボったり気づかないふりをしているのではなく、『本当に』忘れてしまうみたいですね」と言われ、一度調べてみようと思ったのです。結果は、「個人内差がとても大きい」ということ。能力の高い部分とそうでない部分の大きな開きが特徴でした。検査を受けて良かったです。考えていることをうまくアウトプットできないジレンマがあった息子も、検査結果のレポートを読み、「その通りで腑に落ちた!」とスッキリした様子でした。私も今までは、息子の行動が理解できず、「わかっているのになぜできないの!」などと叱ってしまうことがありましたが、本人の特性なのだと受け入れられるようになりました。
「学校は嫌い」と本人は言っていますが、完全な不登校にはなりませんでした。同じクラスの子どもたちも人と違うところのある子をからかったりいじめたりすることはないそうです。息子は1、2週間に一度は休むといったマイペースで通学しています。苦手なことは多いのですが、理系科目や雑学など好きなことにはとことん熱中し究められる性格。担任はベテランの先生だからか、「てこの原理」 などを理科が大好きな息子に解説させるなど、彼の特性とうまく付き合ってくれています。

現在は中学受験に向け勉強中。息子と見学に行き、のびのびと好きなことに没頭できそうな環境で本人も気に入った学校を見つけたので、そこを第一志望にしています。集団で学ぶ大手中学受験塾は合わなそうなのでほぼマンツーマンで教えてもらえる塾を選んで通っています。受験はしますが、合格するかどうかもわからないし、受かったら安心というわけではありません。本人に合う学校かどうかは入学してみないとわからないので、合格して学校生活が楽しいなら良かった、御の字という感じですね。下に娘がいますが、お金もかかることですし、きょうだい二人とも必ず私立受験、と考えているわけでもないんです。公立私立にかかわらず、娘に合う学校はゆっくり考えたいと思います。

不登校になった娘の居場所は……

 妹である娘は不登校ですが、昨年秋から区の適応指導教室に通うようになりました。HSC(ひといちばい敏感な子ども。周囲の音や他人が叱責されていることなどがストレスになってしまう。大人にも多い)で騒音や周囲の子どもの声が気になるタイプ。学校が嫌いなわけではなく、いじめられているわけでもなく、仲のいい友人もいるのですが通学できなくなりました。はじめは頭痛や腹痛を訴え、遅刻やお休みの日が増えました。「学校に行きたくない」と言語化できるようになるのにも時間がかかり、ストレスで眉毛や頭髪を自ら抜いてしまう抜毛も始まりました。「学校には行かなくてもいいよ。行けるかどうか朝に決めよう」と話をしたのですが、毎朝、登校するかどうか決めることや、学校に行くと「よく来たね」と先生や友達から歓迎されることも娘にはストレスだったようです。「今日は行くの? 行かないの?」と親に判断されることも辛かったのだと思います。「欠席が基本」ということにしたらリラックスできるようになったのか抜毛も治まってきました。

私はフリーランスなので、娘が不登校になってからは一緒に自宅で過ごしました。絵が大好きな子なので、イラストを描いたり一緒に美術館に行ったりすることも多かったです。学校には行けないけれど民間の学童なら行けるというので、放課後の時間には学童にだけ通う日も。学童の友達には「学校はどうしたの?」と聞かれることもあったようですが、本人は「行ってないんだ」とあまり気にしない様子で答えていました。

不登校のままホームスクーリングを続けるのでもいいかなと思っていたのですが、昨年秋頃からは区が不登校児支援のために作った適応指導教室に行けるようになり、現在通学中です。都内でも自治体によって不登校児の支援、施設の種類や数には幅があるようで他区の知り合いには「ずいぶん充実しているね」と驚かれました。適応指導教室も向き不向きがあるようで、「通えない」「苦手」という子もいます。

現在は図工のある日だけ元の学級に通学し、他の日は適応指導教室のある他の地区の小学校まで私が送迎しています。音楽の授業など音に敏感な娘にはつらい授業のときは、耳栓やイヤーマフ をつけさせてもらっているそうです。

「学校に行けない」と言われても慌てなかったわけ

 もともと、子どもが幼い頃から地域でボランティアをしたり子育て関連のイベントに多く参加していたので、育児や不登校に関してもいろいろな情報を見聞きしていました。我が子が不登校になった時も、相談先を多く知っていたことが大きな救いとなりました。

その中で「必ずしも学校に行く必要はない」というスタンスになりました。不登校になった先輩たちの話をたくさん聞いて、「時に学校自体が苦になることもある」「せっかくの個性が潰されて意欲が消えてしまうことや立ち直れなくなることだってある。それに比べたら学校に行けなくなることくらい大したことじゃない」と思うようになったんです。娘が、朝「お腹が痛い(学校に行きたくない)」と言い出した時も、そういった視点 があったので「行かなくても大丈夫」と言えました。

ただ、在宅で仕事をしていたからできたことで、会社員で毎日通勤していたら休みをとることも難しかったでしょう。また、私自身は不登校の親同士でつながる機会が多かったので助かりましたが、ネットワークや情報が少なく孤独になってしまうお母さんも多いと思います。クラス単位で見れば不登校の子どもは一人、二人いるかどうかだったりするので「うちの子だけ」と思ってしまうこともあるかもしれません。でも、偶然話をしてみたら「うちも不登校で」、なんて話が本当にたくさんあるんです。決して少数派ではないんです。学校で先生が「あちらのお母さんもお子さんが不登校で」なんて紹介してくれることはまずないので気がつかないだけかもしれません。

取材・文/髙田翔子
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