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映画「天気の子」対談!新海誠さん×小栗旬さん「家出?しましたよ。」

間もなく公開の映画『天気の子』。田舎育ちの新海監督と、東京育ちの小栗旬さん。対照的なふたりの幼い頃のエピソードに、我が子の成長を見守るためのヒントを発見。

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「家出したことありますか?」

--映画『天気の子』は、高校1年生の主人公・帆高が家出して東京へ行くことから物語が展開する。今は小さな我が子も、いずれ親に反発することもきっとある。それでも、家出だけは勘弁と思ってしまうのが親心。

小栗「すいません、家出しました(笑)。やっぱり、高校生の時だったかな。どうしてかは覚えていないんですけど、きっと大したことない理由。“捜さないでください”って置き手紙して、吉祥寺で野宿してました。3日目に相当しんどい風邪をひいて終了でしたけど、そのときの置き手紙をいまだに母親が持っているんです」

新海「吉祥寺に野宿とか、かっこいいです。僕の育ったところは、かなりの田舎。でも、都会にはそういう人がいるって情報はあって憧れましたよ。家出も試みましたが、家の近くのきつい坂道を登りきったところで諦めてしまい……(笑)」

--映画のなかで、帆高は東京で色々な人たちとの出会いを経験する。そのひとりが、小栗さんが声を演じているライター・須賀圭介。

新海「須賀は“子供の頃に出会えていたら、人生変わっていたかも”という大人。そのイメージに、小栗さんが重なりました。小栗さんは東京で生まれ育って、かっこいい大人にたくさん出会っていそうです」

小栗「そうですね。憧れることのできる先輩が周りにたくさんいたから、今ここにいるって思います。でも、東京といっても小平なんで大都会ではないんですよ。渋谷とか、怖かったですもん。頑張って、下北沢みたいな(笑)」

新海「僕からすれば、全部東京ですよ。小栗さんが吉祥寺で遊んでいる頃、僕の遊びといえば田んぼのあぜ道をどれだけ速く自転車を漕げるかってものですから」

小栗「最高です(笑)。あとは、六本木とか西麻布とか、新宿もいまだにドキドキするんですよね」

新海「周りの人たちがドキドキしますね(笑)。僕は新宿を歩くと逆にワクワクしちゃいます。やっぱり東京には色んな人がいるなぁって」

 

子供の感情って鮮やか!
表現者として刺激になる

 

--新海監督の映画の楽しみのひとつが、東京の描写。通り行く人々の会話、交差点やビル群などの街並み、そこから聞こえる雑音、うっかり口ずさみそうな宣伝車から流れる音楽……。無意識だけど確実にインプットされている景色や音が、リアルに美しく、心躍るタッチで描かれている。小さな子供たちが映画を観たらきっと「知ってる!」と喜ぶ、ピュアな心で見る東京。

小栗「子供って羨ましい。初めて経験することが、これからもたくさんある。“こんなことで、こんなに喜ぶのか”って、子供たちのリアクション見ても勉強になりますね」

新海「すごくわかります。この間、 娘が遠足の日に寝坊しちゃって。もうダメだーって、悲しいを超えて絶望してい るんですよ(笑)。 子供の頃の感情の鮮やかさや激しさを思い出しますよね」

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◉アニメーション監督・新海 誠(しんかい・まこと) 1973年2月9日生まれ、長野県出身。大学卒業後、一般企業に就職するが28歳で退職し、アニメーション制作の道へ。2016年に公開された『君の名は。』は世界的な大ヒットとなり、『千と千尋の神隠し』に次ぐ歴代2位の興行収入を記録。

新海監督の娘さんも
映画制作をお手伝い

--そんな新海監督の娘さんは、今回の映画制作でパパにちょっとだけ協力。インタビューにあたり鑑賞させてもらった映像は、実はまだ未完成のもので、役者さんがアフレコをする前のもの。その映像のなかで、 主人公から通行人まで、ほぼすべての役の声を 演じていたのは、なんと新海監督!娘さんは、いくつかの声でお手伝い♪

新海「お小遣いをあげて子どもの声なんかをもらいました(笑)」

小栗「微笑ましいですね。でも、新海監督の声の演技が本当に素晴らしくて、伝わってくるものが大きかった。おかげで、須賀のキャラクターも摑みやすかったです」

新海「あれはガイドなんです。1回全部自分でやっておくと、アフレコのディレクションに自信を持って臨める。例えば叫ぶシーンで、 頭で考えて書いたセリフを、実際に言葉として叫んでもらうと全然イメージしていた印象と違ったりする。自分で一度叫んでみて、セリフとイメージを一致させていくんです。そこに役者さんの声が入ると、作品が一気に鮮やかになる。小栗さんの声がまた、かっこいいですから」

小栗「ありがとうございます。でも、僕この声で子供に一生懸命絵本の読み聞かせをしてますけど、 全然集中してくれないですよ(笑)」

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◉俳優・小栗 旬(おぐり・しゅん) 1982年12月26日生まれ、東京都出身。子役時代から経験を重ね、舞台、映画、ドラマと多彩に活躍する実力派俳優。主演映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』が9月に公開する他、2020年には『罪の声』やハリウッドデビュー作となる『ゴジラVSコング(仮)』も公開を控えている。

どうか雨が降りますように!
小栗さんも祈っていた

--映画のヒロイン・陽菜は、不思議な能力の持ち主。それは祈るだけで雨がやみ、空を晴れに変えることができるという力。

小栗「実は僕も小学校の頃、空に向かって祈っていました。土曜の夜は必ず“雨降ってくれ!”って。日曜が大嫌いな野球の練習で……」

新海「どうして嫌いなのにやっ ていたんですか(笑)!?」

小栗「兄が先に習っていて、当然お前もやるだろう的な。小学校の頃は体が小さくて、運動は何をやっても全然ダメ。しかも運の悪いことに左利きだから、ファーストをやらなきゃいけなくて。ファーストって、すごいボールがくるんですよ(笑)。ミスすると、みんなからとんでもないくらい冷たい視線が飛んできたりして」

新海「それは祈りますね(笑)。僕は小さい頃、映画のなかにも出てくる『ムー』というオカルト雑誌を読んでいて、付録に幸運を呼ぶお札とかがあったんですよ。僕はそういうのにすがっていましたね。通学路で苦手な子に会いませんようにとか、人に言えないようなことも願っていたかも(笑)」

小栗「お札といえば、七夕の短冊 に“内田有紀に会いたい”って書いたのを思い出しました。これは、 叶っちゃいましたね(笑)」

叶えたい夢があるからこそ
道を外れてしまうこともある

小栗「小さい頃はドラマが大好きで、かっこいい主人公に出会うたびに夢もコロコロ変わっていました。『ザ・シェフ』というドラマの東山紀之さんがかっこよくて、フライパン振って“違うな”と3日 で辞めて、次の夢へ(笑)。でも、ふと思ったんです。役者になれば、何にでもなれるじゃないかって」

新海「僕の夢だった宇宙飛行士にもなっていましたよね。田舎は星がキレイに見えるから、見えると行きたくなるんですよ。あそこまで行きたいなって。中学生ぐらいで諦めちゃいましたけど。それぐらいの年頃って、夢と現実のちょうど狭間にいるんだと思います」

小栗「確かに。その頃は、何だか悩ましかった記憶がありますね。 当時出演したドラマで、共演した人たちには続々と次のオファーが来るのに、自分のところには1本も来なくて。彼らがスターになっていく姿を眺めながら“あー、俺はダメなんだな”って。でも、そ の経験も悪くなかったと思っています」

新海「僕も東京に憧れてはいましたが、東京で生まれ育っていたら今みたいな作品は作れなかったはず。田舎の景色から、たくさんの美しい色をもらいましたから」

小栗「今はSNSとかでいろんな情報が簡単に手に入ってしまうけど、どうしても見たい景色や、 会いたい人、叶えたいものがあったほうが、人 生はきっと豊かですよね」

新海「それを叶えようと行動に移すと、大人が敷いたレールから外れてしまうこともある。主人公の帆高と陽菜は、外れてしまうタイプの子。教科書的には褒められない選択を繰り返してしまうけれど、 彼らの互いを求め合う気持ちだったり、その外れていくことがすごく美しく見えたりもするんです」

小栗「僕も、しっかりと外れていったタイプの人(笑)。でも、その外れた先に、今 があったわけです」

新海「何がかっこよくて、美しいのか。この作品が、 子供たちが自分なりの答えを見出すためのヒントになってくれたら嬉しいです」

外れた道の先でそれぞれの正解を見つけた、新海監督と小栗さん。慌てて道を正すだけじゃない、“見守る子育て”の勇気をもらいました。

 

7/19公開
『天気の子 Weathering With You』

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世界的大ヒットを記録した映画『君の名は。』から3年。待望の最新作『天気の子』がいよいよ公開!主人公は醍醐虎汰朗さん、ヒロインは森七菜さんほか、小栗旬さんなど豪華な声優陣を迎え、音楽は前作に引き続きRADWIMPSが担当。雨が降るたびに美しいアニメーションや繊細な言葉とともに思い出される作品に。7月19日より、全国東宝系にて公開。原作・脚本・監督/新海誠
©2019「天気の子製作委員会」

撮影/前田 晃〈MAETTICO〉ヘア・メーク/Chika Kimura スタイリング/臼井 崇(ともに小栗さん分) 取材・文/櫻井裕美 編集/磯野文子

*VERY2019年8月号「新海 誠監督×小栗 旬さんインタビュー それた道でみつかる正解もきっとある 『家出したことありますか?』」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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