──VERY3月号では自身の博士論文をもとにした著書『自民党の女性認識 ──「イエ中心主義」の政治指向』が話題の安藤優子さんに話を聞きました。フリーキャスター・ジャーナリストとして活躍する安藤さんは、日々トレーニングを続けています。体を動かす習慣は「30代から40代にかけて、体重増加やメンタル不調に悩まされていた」頃から習慣化したそう。安藤さんが日々心掛けている自分の心や体との「付き合い方」を聞きました。
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安藤優子さん(あんどう・ゆうこ)
キャスター・ジャーナリスト。1958年生まれ。東京都立日比谷高校からアメリカ・ミシガン州ハートランド高校に留学。同校卒業。上智大学外国語学部比較文化学科卒(現:国際教養学部)。上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科グローバル社会専攻修士課程を経て、同専攻博士課程後期・満期退学。グローバル社会学博士号取得。1986年、テレビ朝日系「ニュースステーション」のフィリピン報道で、ギャラクシー賞個人奨励賞を受賞。その後はフジテレビ報道と契約。1987年から連日、ニュース番組の生放送でキャスターとして取材、放送を手掛けてきた。フジテレビ系では「スーパータイム」「ニュースJAPAN」「スーパーニュース」を経て、同系の「直撃LIVE グッディ!」MC等を務めた。
どこにいても一人でできる「自分の励まし方」
──以前のご著書『ひるまない』を読んだら「30代後半から40代前半は私の一番ダメな時期」とおっしゃっていて驚きました。落ち込んだり、体形の変化に悩んだり。いつもはつらつとしていてかっこいい安藤さんにもそんなふうに思う時期があったのかと……。
私なんて考え方はブレまくりだし、ひるんでばっかりいたからこそ『ひるまない』なんてタイトルをつけたんでしょうね。でも、何事にもひるまずブレのない人なんて存在しませんよね。誰に言われた言葉だったのかもうはっきり覚えてないのですが、「才能っていうのは自分を保育し続けることだ」と言われたことがあるんですよ。それから私は自分もできる限り保育し続けようと思いました。そう、保育園の「保育」です。時々落ち込むことはあるけれど、自分で自分を褒めたりあやしたり、ご褒美をあげたり、時には叱ったりしてみるといいんです。ブレたりひるんだりしたときは「ダメだなあ」と失敗は認めながらも、「でもこんなことができてきたよね」と褒めてあげたりして、ひとり保育するんです。
「体を動かす習慣」ができてから私は変わりました
──急に体重が増えたという40代前半の頃から現在まで、トレーニングを続けていると聞きました。
「ひとり保育」の延長線上で体を動かす習慣もできました。私は運動することによって、初めて自分の体のマスターというか、自分が自分自身の主人になれたんです。トレーニングを始めて、自分の体がコントロールできるようになったら、気持ちも落ち着くようになりました。ここに筋肉をつけたい、もう少し痩せたいと思って、運動でそれをかなえられたとき「安藤優子の主人は、ほかの誰でもない私自身だ」ってことに気づいたんです。そのときに「保育」という言葉が思い出されました。「保育し続ける」ことは私にしかできないと気づけたから、今までどうにかやってこられたのではないかと思います。読者の皆さんも試してみてください。これは一人でやるのがいいんですよ。自分を褒めて叱って、時にはご褒美においしいものを食べたり、プレゼントをしたりして「自分の主人は自分なんだ」という感覚を身につけると少々のことではへこたれなくなります。現状の不満や不機嫌を第三者に言って解決する方法ではないけれど、自分が納得できればいい。人に「そんなことない。大丈夫だよ」と言われても、大体納得できないでしょう? 「よかったね。頑張ったね」とか「今回はダメだったね」と毎回自分に語りかけていたら、ちょっと変な人と思われるかもしれないけれど、自分が自分のマスターであるってことを感覚的につかむと、自分自身をすごく大切にできるし、心身の不調をコントロールすることもできると思います。
『自民党の女性認識 ──「イエ中心主義」の政治指向』
(明石書店)2,750円
自民党は長らく、女性を従属的な「わきまえる」存在と見なし、「イエ中心主義」の政治指向を形成してきた。戦後の保守再生の流れの中で、そうした「女性認識」はいかに形作られ、戦略的に再生産されてきたのか……? 国会に女性が増えない原因を解き明かす画期的試み。
取材・文/髙田翔子