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Girl Talk with LiLy〜TALK3.「実はオトナも本当は、そんなに強くはないのよ」by リンゴ

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illust. Shogo Sekine
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「実はオトナも本当は、
そんなに強くはないのよ」

by リンゴ

 

聞こえてくる子どもたちの話し声に、ついつい耳を澄ましてしまう。あ、子どもたち、なんて呼んだら彼女たちに失礼ね。椅子に座り直しながら、すぐにそう思い直す。

私の背中の後ろ、一枚の布で仕切られたベッドに寝ているのは、6年生の女子二人。ちょくちょくここに眠りにくる雨川さんと、初めてここにきた泣き顔の鈴木さん。

どうして泣いているのか。もちろん気になった。でも、すぐに聞くのは違うと感じて二人をベッドへと通した。
正解だった。
「心が痛い時も熱がある時と同じように保健室を利用していいと、母から聞きました」と初めて会った雨川さんに言われた時から感じていたけれど、彼女は独特の世界を持っている。
奇跡という下の名前がピッタリすぎてびっくりする。娘をそう名づけたご両親も素敵な人だということが、彼女を見ればすぐにわかる。
いつもは「キキ」、「アミ」と互いを呼び合う親友同士の竹永さんと連れ添ってくることが多いけど、今日一緒にきた鈴木さんは二人とは雰囲気が違う。とても大人しそうな女の子。
「雨川さんは友達もいっぱいいるから、私の気持ちはわからない」と話す鈴木さんに、「友達はいても、本当の居場所は学校の中にはない」と答える雨川さん。
なんて深い会話をしているのだろう。盗み聞きをしたいわけではないのに、耳が離せなくなる。子どもなのにスゴい!とは思わない。子どもを下に見る大人たちの方こそ、なにもわかっていないのだ。
二人はすでに、とても魅力的なレディたち。

保健室の先生としてこの小学校にきてまだ2ヶ月だけど、私はすでにここでの仕事を愛しはじめている。子どもたちの魅力と果てしない可能性に、胸がいっぱいになるからだ。
あ。「子ども」とは呼ばれたくない妙齢の少女たちの気持ちもわかるけれど、やはり「子ども」とは素敵な存在。今でもとっても魅力的なのに、さらに進化する可能性が無限大に広がっているのだから!
これは、もうすっかりオトナになった今だからこそわかること。自分はもう、逆立ちしたって「子ども」には戻れない。そうなって初めて見えてくる。「少女時代」というかけがえのない時期の特別さが!
今すぐにでも仕切りのカーテンをめくって伝えたくなるけれど、彼女たちは同じ年だからこそできる会話を続けている。
—————「オトナになんか、なりたくない」、「子どもでなんか、いたくない」。
二人がそう言い合うのを聞いて胸がソワソワしはじめた。

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