※このコラムはVERY2022年3月号(2022年2月7日発売)に掲載されたものです。
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以前この連載でお話しした「カウンセリング」、まだ定期的に受け続けています。特に悩みがなくてもZoomの予約を入れて、50分話すだけで毎回何か発見があるんです。劇的に何かが変わるわけではないけど、言われた言葉がフックとなって、日常生活でハッと気づくことも多くて。どう生きたいか、自分はどういう人間なのか向き合うことの大切さは、年々実感しています。子どもの叱り方で悩んだときも、自分の生い立ちを振り返ることで客観視できるようになりました。寝不足になると子どもに当たりが強くなってしまうとか…単純なことだけど、自分を振り返る時間がなければ気づけないことってありますよね。
日本ではまだまだ、カウンセリングや心療内科などにかかることへのハードルが高い気がします。一般に日本では一生の間にうつ病や不安症などの精神疾患にかかる人の割合は5人に1人と言われています。3割を超える国も少なくないそう。自分はもちろん、家族や近い友達のうち誰かはかかる、とても身近なものなのです。なのに、日本では会社や友達にさえ、心の不調で通院していることを大っぴらに言いづらい空気がありませんか? 私は喘息持ちで、喘息の薬を常に携帯していますが、誰もそのことを気にしません。でもそれがメンタルの薬だったら、周囲の反応が違う気がしてしまいます。
あらためて声を大にして言いたいのは、体の健康を気にするように、心の健康にももっともっと、気を配るのが当たり前になってほしいということ。人間ドックに行くようにカウンセリングに通うことが当たり前になってほしいし、メンタルの調子が悪いからちょっと病院に行ってくる、というのが普通に受け止められる世の中になってほしい。自分1人の時間を持つことも、子どもをパートナーに任せて先に寝ることも、心の健康のためなら率先してやってほしい。体と同様、メンタルヘルスも命に関わる問題だからです。
心が弱ったとまだまだ言いにくい風潮がありますが、子どもたちはお腹が痛いときに病院に行くように、心が辛くなったら児童精神科にかかったり、メンタルのプロに相談することを躊躇しないでほしいなと思います。子どもの頃から行っておけば、大人になっても相談するハードルが低くなるかもしれないですよね。
先ほど5人に1人が精神疾患にかかるといいましたが、残りの4人は全くの無縁かと言えばそうではなくて、心が弱くなることは誰にでもあるはずです。私にもそういう瞬間、めちゃくちゃありますよ。特に離婚前と離婚直後は本当に辛かった。でもカウンセリングを受けたことで「もうダメかも」から「意外と大丈夫」になれたんですよね。だから、家族や友達や同僚がメンタルヘルスを患っても、ごく自然に受け止めたい。それが広がっていけば、みんなが生きやすくなるだけでなく、自分や自分の大切な人を守ることにもつながると思っています。
◉SHELLY|シェリー
1984年生まれ、神奈川県出身。14歳でモデルとしてデビュー以後、タレント、MCとして幅広く活躍。6歳と4歳の娘の母。
撮影/須藤敬一 取材・文/有馬美穂 編集/羽城麻子
*VERY2022年3月号「シェリーの「これってママギャップ?」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。