❝1回のリアルな経験が
本や映像で得た知識をはっきり
させてくれることも。そんな
機会をたくさん与えたい❞
どう感じるのかは
子ども次第。でも親は
体験を与えることができる
高崎 1回のリアルな経験が、本や映像で得た知識をはっきりとした形にしてくれるような気がしています。夏にアスファルトの上を裸足で歩くと、足の裏が強烈に痛くなりますよね。それを言葉で教えることもできるけれど、実際に子どもに「夏のアスファルトは熱い」ということを肌で感じてもらいたい。だから子育て中は繰り返しこういう体験をさせていました。
申 自分で感じてほしいんですよね。私が子育てで意識しているのは余白の時間。旅先にiPadや絵本などの暇つぶしをたくさん持って行く人も多いと思いますが、我が家は手ぶらです。暇だったら旅館のメモにペンで絵を描けばいいかなと。刺激的なことばかり与えすぎると、「風が気持ちいい」くらいのちょっとした幸せにも気付きにくくなる気がしています。
高崎 制約があったほうが楽しめるんでしょうね。私は自分自身が本の虫だったのでたくさんの本を子どもに与えましたが、全然読まなかったですから(笑)。上の子はもう21なのですが、理系なので私の知らないことをたくさん知っています。たった一問の数学を何時間もかけて解くとか、話を聞いていると面白いんですよ。数年前からは子どもに教わるという感覚で接しています。
申 教わるというのは違いを認めることにつながりますよね。日々忙しいなかつい子育てに効率や正解を求めてしまうけど、その子に委ねて待つことの大切さに改めて気づきました。
高崎 子どもと自分とは別の人生ですからね。同じ本を読んでも、全く異なる感想が出てくるかもしれない。「まっくろ」もお子さんと一緒に読んで、感じ方の違いを楽しんでもらえると嬉しいです。
撮影/佐藤航嗣(UM) ヘア・メーク/川村友子 取材・文/樋口可奈子 編集/羽城麻子
*VERY2021年12月号「シンマイの、今、会いたい人/高崎卓馬さんと考える あなたの子育て『あらすじ病』になっていませんか?」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。