こんにちは!「とにかく明るい性教育『パンツの教室』」協会代表理事、のじまなみです!
前回は、子どもに性の質問を投げかけられた際の対処方法をお伝えしましたが、今回はもう一歩進んで、具体的に性の話をしていくためのウォーミングアップを。みなさんが苦手と感じている「3つのワード」について、すんなりと口に出せるようになるための方法をお届けします。
聞き慣れて、言い慣れれば、
恥ずかしさなんて飛んでいきます
まず、ずばり、性教育において親が子どもの前で言いにくい「3つのワード」とは、
・ペニス
・膣
・セックス
みなさんは、これらの言葉をさらりと言うことができますか? ペニス(お子さんが言い慣れているようなら「おちんちん」でもOK!)と膣も、セックスも、本来ならば、自分の身体を大切にすることや命の誕生の素晴らしさを伝えるために欠かせない言葉。そうは言っても、ハードルが高いと感じてしまう方は少なくないのではないかと思いますが、言いにくさがあるとしたら、それはきっと恥ずかしさのせい。そこで、恥ずかしさを克服するコツをふたつ伝授! それは、とにかく「聞き慣れること」と「言い慣れること」です。
たとえば、私の講演会では「セックス」という言葉をあえて頻繁に使うようにしています。まずは最初に聞き慣れてほしいと言う願いのもとお話を続けると、はじめは照れながら聞いていた方も徐々に聞き慣れて動じなくなっていくように(笑)。「膣」も「ペニス」も同じことで、聞き慣れてしまえば、「おたまとしゃもじ」くらいに日常的な単語になっていきますよ。
さらにもうひとつ重要なのが、言い慣れること。言い慣れないことには、肝心な時にスムーズに話せません。私からのご提案は、たとえばお茶碗を洗ったり、掃除機をかけたり、家事をしながら、唱えて練習してみること。まさかそんなおかしなことを!?と思う方もいらっしゃると思いますが、要は口に出してみることが大事なので、一人時間などお好きなタイミングでOK。最初は言いにくいかもしれませんが、何度も口に出すことで抵抗感をなくしていきましょう!
慣れてきたと思えたら、お風呂で身体を洗う時などにさりげなく使ってみてください。私は日頃から、娘たちに「尿道口、膣口、肛門の順番で洗ってごらん」と教えていますが、普段なかなか使う機会のない「膣」という言葉を口に出せますし、彼女たちも自分の中にそういう器官があることを学べて一石二鳥! 日常生活の中に性にまつわる言葉を織り交ぜていくトレーニングになります。
可愛らしい呼び名をつけて、
言いやすくするのもおすすめ
また、親子間で呼びやすい愛称を考えてみるのもひとつの手。男性器が「おちんちん」と呼ばれるように、女性器にも愛敬のある名前をつけてみてはいかがでしょうか?
女の子の性器を「お股」と呼ぶケースもあるようですが、股は男女ともにある場所なので、女性器の呼び方としては不向きかもしれません。ご参考までに、我が家では「おまんまん」と呼んでいます。「おまんまん、洗おうね」と言うと、ちょっと可愛らしく聞こえて呼びやすいですよ。
また、地方ではもともと女性器の愛称がある場合も多く、私の育った地域では方言で「ぼんじょ」と呼ばれていました。
そもそも、日本には男性器や女性器を祀っている神社も多いですし、性器は決して恥ずべきものではなく、命が始まる尊い場所。さらに、常々お話ししていることですが、性教育は決して「セックス教育」ではありません。大切なのは、子どもに「この世に生まれてきた奇跡」や「愛し愛されること」を伝え、「生きるって楽しい!」と思えるように育てること。性にまつわる言葉を抵抗なく言えるようになると、命や人生の話にまで話題を広げていくことができるのです。
「生まれてきてくれて嬉しかったよ」「生きてるって素晴らしいことだね」「性犯罪の被害者にも加害者にもなって欲しくないな」「妊娠ってね…」等々、お子さんを愛おしく思う気持ちとともに伝えていきましょう!
◉のじまなみさん
性教育アドバイザー。防衛医科大学校高等看護学院卒業後、看護師としてのキャリアを経て、2016年「とにかく明るい性教育【パンツの教室】」を設立。夫と3人の娘の5人家族。著書『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)『男子は、みんな宇宙人! 世界一わかりやすい男の子の性教育』(日本能率協会マネジメントセンター)がヒット中。
『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』のじまなみ/著 おぐらなおみ/イラスト(辰巳出版)¥1,400