※このコラムは2021年6月号(5月7日発売)に掲載されたものです。
仕事柄、10代20代前半の若い人と接することが多いのですが、上世代と比べて圧倒的に「人を認める」ことを分かってる!とすごく嬉しくなる瞬間が多い最近です。見た目やジェンダーなどで判断しないことへの理解は若い世代ほど深まっていて、いろんなことが私の世代とは違うなと感じることも。いろんなことを知っているしオープンで、でもだからこそ怖がりで一歩踏み出さないところもあるみたいです。
例えば私のYouTubeチャンネルにもいろんな相談が寄せられるのですが、「セックスが怖いから付き合いたくない」という相談が男女問わず多かったりします。セックスしていないことに対して、ダサいとか恥ずかしいという意識ではなくて、付き合うと相手のペースに合わせないといけないから付き合いたくない、とも思っているみたい。私たちの時代は、「〇歳なのにまだ付き合ったこともない!」と焦ったり、割とその辺りは競争だったような感覚があって。そもそも「自分を大切にする」という発想が身近ではなかったし、「もっと自分を大切にしなよ」という言葉は、いろんな人とセックスをしている=自分を大切にしていない、という意味でしたよね。今の若い世代は、怖がりではあるけれど自分を大切にする感覚はちゃんと持っているんだな、と感じます。
テレビの現場でも、上の世代はココでこう笑う、という暗黙の了解があったりするのですが、若いコほど、いい意味でそのルールブックにのっとらない感じがして、賢いなと思うし新鮮です。自虐の笑いにも乗らないし、そういえば「劣化」という言葉もここ5年くらいでめっきり使われなくなりました。昔は「ハーフは劣化が早い」なんて当たり前に言われていたけれど、若いコには「それって人種差別だよね」と普通に気づける感性があると思う。差別に関する炎上事件があるたび、どうして何度も過ちが繰り返されるんだろうと思ってしまいますし、それはほとんどいい大人たちの責任です。
私も子育て真っただ中のタレントとして、自虐的な笑いはとらないように気をつけています。離婚している私がラブラブな人の話を聞いて「もういいよ、その話!」って怒るとかはやめたいなと。「SHELLYも寂しいもんな!」とひな壇で言われたら、「間に合ってますよ! なんで恋愛してないって決めつけるんですか!」って返します。矛先を変えても怒っているから笑ってくれるし、そうやって見せ方はいつも考えています。そのせいか、離婚いじりはほとんどされなくなりました。
〝不幸なおばさんキャラ〟は一番簡単に笑いがとれるし便利な武器で、もちろんそれを魅力的なキャラクターに昇華している人もいますが、私は使わないでおこうと思っていて。離婚=かわいそう、悲しい、寂しいとか、年齢を重ねることはネガティブなことだと植え付けてしまうのは嫌なんです。そもそも、25歳に戻りたいかといったら、私は戻りたくない。世間を知らず、人を喜ばせよう、自分の立場をなんとか見つけようと必死だったあの頃を思うと、今はなんて伸び伸び生きられているんだろうと思います。大丈夫、もっと楽しくなるから!とか、最初から自分に自信を持つのは難しいかもしれないけれど、努力だけは続けていけば大丈夫だよ、と過去の自分にも、これからの若い世代にも伝えたい。とはいえ、そもそも若い世代はおばさんいじりなんてほぼしないんですよね。
それに若いコはもう十分に、言いたいことをズバッと言ってくれることも多くて頼もしいんですよ。例えばコロナ前のとある番組で、ある男性が「お酒は吐いて覚えるんだ」と冗談半分、多分本気半分で言ったんですね。私も飲むキャラだから、みんなの「なんだかんだ飲めるほうがいいよね」という流れについ乗ってしまって。それに対して若いコが「強要するのはダサいし、そもそも飲めなくてもいいじゃないですか」ってさらっと発言したんです。ほんとその通りだよおっしゃる通り!とハッとしました。
また、「付き合いたい男性の職業」というVTRへのコメントにも、ある人気女性タレントが「ちょっとピンと来なかったから自分で稼ぎたいなと思いました」と堂々と発言して場が締まって。シングルマザーの私が言うと、今はまだ強がりに聞こえるかもしれないけれど、彼女が言うと「いいね!」となる。若いコにしか言えない言葉ってあるんだな、と勇気をもらえました。私たちも若い世代から見習うべきことってたくさんありますよね。
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◉SHELLY|シェリー
1984年生まれ、神奈川県出身。14歳でモデルとしてデビュー以後、タレント、MCとして幅広く活躍。5歳と3歳の娘の母。
レインボー好きな仲良し2人♡
撮影:須藤敬一 ヘア・メーク:高橋純子 取材・文:有馬美穂 編集:羽城麻子
*VERY2021年6月号「シェリーの「これってママギャップ?」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。