VERY November 2020
VERY NAVY

VERY

November 2020

2020年10月7日発売

780円(税込)

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公立?私立?不登校、発達障害の子どもに合う学校選び体験談

「公立? 私立? 子どもに合う学校が知りたい」学齢期のお子さんを持つお母さんからよくそんな質問を受けます。お子さんの不登校、発達障害などに向き合ったお母さんたちは、わが子の幼稚園、小学校時代にどんなことに悩み、どのように進路を選んだのでしょう? 現在中学生、高校生のお子さんを持つ先輩ママに話を聞きました。後編では中学、高校に進学したお子さんたちについて伺います。

お話しいただいたのは……

Nさん(中1、小4の母):長男は小3から不登校。学習障害の診断を受ける。現在は公立中学に在籍しながら不登校児のための居場所支援事業などを利用。

 

Fさん(高1、小5の母):長男は幼稚園在園時に発達障害の診断。公立小に通学後、私立中学を受験し、現在付属高校に在学中。

 

 

 

私立受験、公立中学……それぞれの選択

 

──Fさんのお子さんは私立中学を受験し進学します。今の学校を選んだポイントはありますか?

 

Fさん 「不登校にはならなかったものの、小学校の同級生とは違う学校に行きたいという気持ちが強くて。いま通っている私立校は、校則も自由でのびのびと過ごせる校風。もともと何人かの知人に、この学校が合いそうと言われて気になっていたんです。そんなときに、家族ぐるみで仲の良いママ友から“体験授業に参加してみない?”と誘われて。4年生くらいのときでしたね。正直なところうちの子はそんなに乗り気じゃなかったのですが、友だちが行く気満々で“一緒に行こうよ”と言ってくれたことがきっかけになりました。その翌年もまた体験授業に参加して、自分から“この学校に行こうかな”と。通っていた小学校ではほとんどしゃべれなかったのですが、体験授業はとても楽しかったようで、その場では発話もできたんです。他の私立中学も調べましたが、最終的には本人がこの学校がいいと決めました。今は付属の高校に通っています」

 

──一方、Nさんは公立中に進学したのでしょうか?

 

Nさん 「小学校中学年で不登校になってからは、区内の適応指導教室に通いました。ただ、その名称の通り、適応指導教室は子どもを矯正して学校に適応させることを目的としている傾向にあり相性はいまいち。現在は不登校児の居場所支援事業などを複数利用しています。そのほかに週一で中学に行って担任や主任の先生と話をするのが基本的なスケジュール。たった一日ですが学校に通えて先生と話ができることも重要だと考えています。区内の中学の中でも、制服が生徒の意見で私服に変わったり、他の公立中に比べて子どもたちの自治がありそうな校風が気に入って今の学校を選びました。学校選択制があるので、学区域以外の生徒も入学できるのですが、最近は人気が高くて今年の入学は抽選になったそうです。校長先生は教育委員会等で不登校の支援していた人ですごく理解のある方。公立中学の教員は異動が多いから、先生方の顔ぶれにより雰囲気も変わるのでこのタイミングで入学できたのは運がよかったと思います。校長は長男とも話をする機会があるのですが、ざっくばらんに腹を割って話してくれるので息子と気が合うようです」

 

「子ども第一」の目線があるかどうかが大事

 

──実際に学校に通ってみていかがでしょうか?

 

Nさん 「先生と子どもとの間で何か決める際も、“これはお母さんを通さずお子さんの意見を聞いて決めてもいいですか”と言うスタンスなのも信頼できます。子ども第一の視線を持っている先生ってなかなかいなくて、責任回避のためかどんなことでも保護者にお伺いを立てることが前提という考え方になりがちなので」

Fさん 「私立中学にも不登校の子はいます。不登校の生徒に担任がLINEで近況をたずねることもあったと聞いています。親を通さず子どもに直接連絡が来るのはうちの学校らしさかもしれません」

Nさん 「生徒の自主性を重視して何でもかんでも親を通すわけではないというのがいいよね」

Fさん 「イベントの運営も生徒に任され、照明とか音響も生徒が担当し、そのための実行委員会があって、中高一貫校なので異なる年齢の生徒が集まっていろいろなことができる。まず入学式でそのユニークさに生徒も保護者も最初は驚くみたいです」

Nさん 「リミッターを外される感じ?」

Fさん 「親もリミッターを外される感覚。本当に小さなことですが、授業中にペットボトルの飲み物を飲んでもいいんだとか、公立小学校から来るとそんな小さなことでびっくりします。3年間同じクラスなので、親と教員の飲み会も何度かあって。そういうときはお酒の力も借りて大人同士で話をします」

Nさん 「コロナで休校になったとき、長男には、先生方やスクールソーシャルワーカーなど5人くらいから“大丈夫?”と電話がありました。次男のところには担任の先生からしか連絡はなかったけれど」

Fさん 「上の子にはいろんな人が関わってくれているよね」

Nさん 「それは不登校になったからこそで、問題なく学校に通えている次男より恵まれている気がします」

Fさん 「私もそう感じることがあります。たくさんの人に応援されていて “今は元気に高校に通っています”と、かつての先生方に近況を報告すると心から喜んでくれているのが伝わってくるんです」

 

 

子どもの「これからの進路」について思うこと

 

──今後の進路について考えることはありますか?

 

Fさん 「自然体で過ごせていて、うちの子には今の学校が合っているようだけれどあまりにものほほんと暮らしているから心配になることも」

Nさん 「お子さんは、私たちの子どもの大先輩だから、希望の星と思っているけれど」

Fさん 「今の学校のテストは普通の学校の定期試験とは違って、ノートを見ながら解いてもいいから授業を聞いていればある程度はできるみたい。選択授業も多く、語学も英語以外にも選択肢があります。以前、保護者対象の林業講座に参加したのですが、斧で木を切ることを体験しました。どちら側に木を切り倒せば安全かとか、生きた数学とか物理ともいえる授業で、座学ではできない学びができる環境だなと改めて実感しました。進路については大学に進む人も専門学校に行く人もいてさまざま。学校推薦も多いし、選択肢はいろいろあるのだけれど、生き方の進路を見つけるのは簡単ではないですね」

Nさん 「特殊能力が早いうちに見つかると進路を決めやすいということはあると思います。発達障害でもギフテッドを持っているすごい子には注目が集まるけれど、そうでない子は目立たない。」

Fさん 「マスコミなんかで取り上げられるのも特別な才能がある子だから、凸凹があるならその凸にすがっていきたいと無意識のうちに思っていたところはあると思います。でもどうやら、今のところ自分の子どもの場合はその何かは見つかっていないですからね」

Nさん 「特別な才能があっても成功するとはかぎらないけれど、実際に活躍している人を見るとついつい期待しちゃいますよね。特化したものがないと生きていけないかもしれないという漠然とした不安感が子どもが成長するにしたがって大きくなる。でも、Fさんのお子さんが描いた花のデッサンを見せてもらったけれどすごく上手。牧野富太郎(世界的植物学者。自身が採集した植物の細密画を数多く描いた)の作品かと思うくらい巧いけれど、 美術の先生のコメントも温かくて素晴らしい。親が気づいていないだけで才能はもう開花しているんじゃないの?と思ってしまいます」

Fさん 「小学校の通知表とは違って各教科の取り組みとか子ども自身の成長を先生方の温かいコメントとともに見せてくれるのが本当にありがたい。これで本人が絵が大好きだというならそういった方面を伸ばしてあげるのも手かなと思うけれど、別に本人はそこまで美術が好きなわけでもないんだよね(笑)。うちの子は今思春期真っ盛りなので親の言うことは聞かないんだけど、自分探しや将来やりたいことを見つけるのを見守って応援することが親の仕事かなと思います。人より時間はかかるかもですが(笑)。小さいときは将来を悲観したこともあったけど、その子のペースで必ず成長することが分かったので待ちます」

Nさん 「子どもがやりたいことを見つけられたら親も伴走してあげるとか、こちらができることはそれくらいかもしれない。たぶん、これからの社会で必要とされるのは画一的な人物ではなくて、いかに“自分”を知ってプロデュースできるかが重要なはず。学校に合わない子どもが悪いわけではなく、“学校に行きたくない”というお子さんの心のセンサーを感じ取ってあげることも大切なのではないかと。今の学校が合っていないのかも、と親の私たちが理解することも必要かなと思っています」

 

 

取材・文/髙田翔子

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