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不登校、発達障害を経験したママ対談「診断が出てよかった」

「公立? 私立? 子どもに合う学校が知りたい」学齢期のお子さんを持つママからよくそんな質問を受けます。お子さんの不登校、発達障害などに向き合った方たちは、わが子の幼稚園、小学校時代にどんなことに悩み、どのように進路を選んだのでしょう? 現在中学生、高校生のお子さんを持つ先輩ママに話を聞くと、ともに話すのは「早めに診断が出てよかった」ということでした。

 

 

お話しいただいたのは……

Nさん(中1、小4の母):長男は小3から不登校。学習障害の診断を受ける。現在は公立中学に在籍しながら不登校児のための居場所支援事業などを利用。

 

Fさん(高1、小5の母):長男は幼稚園在園時に発達障害の診断。公立小に通学後、私立中学を受験し、現在付属高校に在学中。

 

 

「集団行動が苦手」「板書ができない」「学校がつらい」

 

──お2人とも、2人のお子さんの育児中のお母さんです。上のお子さんは現在中学生、高校生ですが小さな頃はどんな様子だったのでしょう。

 

Nさん 「私の子どもは、小学校の中学年から学校に行かなくなったけれど、Fさんのお子さんは不登校ではなかったんですよね」

Fさん 「小学校時代から学校に悩みはあったものの、不登校にはならなかったの。ただ、最初に入った幼稚園は半年でやめているんです。みんなと一緒に集団行動するのが苦手で年少の夏休み明けくらいには“園バスに乗りたくない”と言うようになりました。私が送って行ったりもしたけれど、嫌がる子を無理に行かせることもないなと思って。それから半年間、発達がゆっくりの子のための幼児教室に通ってから、2年保育の区立幼稚園に入園しました。保育士をしているママ友からこのへんの公立幼稚園は、サポートが必要な子を手厚く見てもらえると思うよ、とすすめられたのも大きくて」

Nさん 「意外、私立のほうが手厚いのかと思ってた」

Fさん 「園にもよるのだろうけれど、最初に通った園では“発達に問題はないですか”なんて相談しても“そんなことはありません”の一点張り。うちの子は集団行動は苦手だったけれど、よそのお子さんを叩いたり問題行動が目立つわけではなかったから、トラブルがない限りなかなか踏み込んでこない雰囲気だったの。退園後に通った幼児教室には週に2、3回行きました。そのころ区の発達支援センターで発達検査を受けたら発達障害の診断が出ました。年少の冬くらいです。知能検査の結果を見ても知的にすごく劣るわけではないけれど、社会性やコミュニケーション能力は低い。このままでも通常学級に通えそうだけれど、通級(通級指導教室)にも行きながら学校生活に慣れていくのがいいのかもしれない。そんなアドバイスを受けました。結果としてこのときに言われたことがほぼその通りだった感じです。小さい頃はこだわりも強く、かんしゃくも多くて大変でした」

Nさん 「小学校に入ってからもよく様子を見に行っていたよね」

Fさん 「そう。公立幼稚園は環境がよくて、友だちもでき、子どものペースに合わせて過ごせていました。小学校に入ってからは夏休みくらいまでは私が教室に付き添っていました。子どもはマイペースではじめてのことに抵抗あるタイプで、無理やりやらせると逆効果になってしまう。低学年のときの担任はベテランの先生で、子どもの様子を見守りながら個別にできることを見つけて声掛けしてくれるようなやり方だったから子どもには合っていたみたいでした」

Nさん 「それは、うちの子にはこういう症状があるんです、とあらかじめ伝えていたの?」

Fさん 「入学のときに幼稚園や療育の先生にも就学支援シートを書いてもらって提出しました。進級後、どこまで申し送りされたかは分からないけど、その都度担任にも口頭で話をしていたので。 “いいのよ。無理しないで”と言ってくれ配慮してくれる先生もいるのだけれど、そうなるとなかなか学習面でも生活面でも伸びないことも。加減が難しいです」

 

 

「大丈夫よ」と言ってくれたママ友

 

──息子さん自身は小学校ではどのような様子だったのでしょうか?

 

Fさん 「高学年になってからは学校で一言も発しなくなってしまって。はっきりした理由は分からなくて、家でも学校のことはしゃべろうとしなかったのだけれど、保護者面談などで聞いた様子からクラスで嫌なことを言われたりしたんだと思う。不登校にはならなかったけれど、学校でしゃべらないことで自分を守っているみたいでした。放課後も学校の友だちと遊ぶことはなくてきょうだいで遊んだり、幼稚園時代の幼馴染みと遊んだり。その子も小学校にはなじめなくて一緒に中学受験して同じ中学に通うことになりました」

Nさん 「つらい気持ちを共有できる友だちがそばにいるのは本当にうらやましい。それだけでも全然違うよね」

Fさん 「家族ぐるみでキャンプに行ったりして仲良くしていたの。そのママに“面談でこんなこと言われて泣けてきちゃった”と愚痴をこぼしたら、“それはメモしておくのよ。子どもを育てた軌跡をちゃんと残しておいたほうがいいよ。後に本を書くことになるかもしれないじゃない”って言ってくれたの。本当につらいときに単なる同情でないアドバイスをくれるママ友がいたから、子どもへの虐待をまぬがれたんじゃないかと思う。“大物だから大丈夫よ。大器晩成型なのよ”と言ってくれてどんなに救われたか」

Nさん 「普段“大丈夫”って言われることがないもんね。結局、自分で言うしかない。本当は親が子どもに、“これからの時代はいろいろな選択ができるから大丈夫よ”と道を示してあげることが一番重要なんだけれど。子ども以上に親が、“この子は大丈夫”って思っていないとそれはできないよね」

Fさん 「学校に行ったらいったで、自分はみんなとちょっと違うんだもん。つらいよね」

Nさん 「お母さんたちの多くは“学校に行かないといけない”とか、どうしてもノーマルなほうに合わせようとするから。“行かなくてもいいよ”と親が言ってあげられないと子どもは大変だよね。誰もがやっぱりうちの子どもは進学できるだろうか、将来ちゃんと自活できるだろうかとか不安になると思う。私自身は学校にも割合楽しく通えたタイプだから、当初は学校でつらいことがある、行きたくないという子どもの気持ちが分からないことも多くて。」

Fさん 「この子のペースで成長すれば

いいと思えるようになるまでは悲惨ですよね。“みんなと同じ行動をする”ことが苦手だから。“なんでできないの? どうしてやれないの?”ということばかりだもの。学校行事を見に行っても“みんなと一緒に踊れないのはなぜ? 一列に並べないの?”とクエスチョンマークだらけになるの。だんだん、“この子は体の動かし方自体が分からないんだな”とか、“こだわりが強いんだな” “感覚過敏で大きな音が苦手なのかも”と理由に気づけるようになりました」

 

 

診断が出ているほうが学校側に対応してもらいやすい

 

──発達障害や学習障害だと診断が出たのはどんなタイミングですか?

 

Nさん 「専門機関で発達障害や学習障害を指摘されないと、気づくのが遅れることもあると思います。うちの子は小学3年生になっても字を書くのが苦手で、板書もしないし自分の名前も漢字で書こうとしない。低学年のうちは“名前が長いから書くのが面倒なのかな?”なんて考えていました。でも学年が上がるにつれて“あれ、これはまずいかも”と思うようになって。でも“学習障害です”と診断されなかったら無理やり、“書きなさい!”と言っていたかもしれない。識字障害の中にはいろいろなタイプがあって読めない子もいれば書けない子もいて、うちは読めるけど書けない。なんとなく、おかしいなとは思っていたけれど、障害だと決めつけるのもよくないと思っていて。注意散漫で落ち着きがないからADHD等の傾向があるかもしれないとは思っていたけれど、学習障害には気づかなかったんですよね」

Fさん 「わが子の場合は成長の折々でつまずきがあったから早めに分かったの。1歳児健診とか3歳児健診はクリアしていた?」

Nさん 「その頃は、特に指摘されることがなくて、3歳くらいまで全くしゃべらなかったから発達が遅いなとは思っていたんだけれど。初めての育児だから分からないことも多かったの。次男が生まれて、早い段階からぺらぺらしゃべるから、ああ、普通の発達はこうなんだ、長男はだいぶゆっくりだったんだなと気づいたくらいです」

Fさん 「うちの場合は1歳半で指さしのテストで引っかかったり、3歳時にボキャブラリーが本当に少なくて、当時は様子を見ましょうという判断ではあったけれど、早めに気づけたの。4歳で広汎性発達障害でADHD傾向ありという診断が出ました」

Nさん 「それはいいことで、早めに気づいてあげるのは重要だよね。うちの子は字が書けないことに気づいてから検査をしてはじめて学習障害ということが分かりました。でも病院などでも“障害です”という明言を避ける傾向があって。“字を書くのが苦手な子ですね”とかそういう言い方をされるの。それで私から、“それは学習障害ということですか? 診断がほしいです”と言ったら“そうですね”ということになって。小学校では、“うちの子は発達障害かもしれないので対応をお願いします”などという親がけっこういるのだけれど、学校側では保護者の主観だけだとなかなか対応できないと思います。診断書があったほうがきちんと対応してもらえる」

 

 

親が「一人で抱え込まないこと」が一番大切

 

──今、悩んでいる人に伝えたいことはありますか?

 

Nさん 「困難を抱えているからこそ、一人きりにならないでと言いたいです。孤独になってはいけない。Fさんは家族ぐるみで仲良くしている同志がいたからうらやましいな」

Fさん 「それはママ友がオープンマインドだったことも大きいと思うの。それから、同じ悩みを持つ親の会に行って話を聞いたりすることも多かったです。定期的に臨床心理士の先生に学校や学習のこと、生活面のことを相談できたのもありがたかったです。子どもが自分でできるようにモノを整理して生活の仕組みを作ることも、家族のストレスを減らすために大いに役立ちました」

Nさん 「自分一人で抱え込んだり、学校に行ける子の親と比較して“あなたにはどうせ分からない”と敵にしてしまうのはもったいないよね」

Fさん 「そうそう。私は保護者会などでは、診断名は出さないようにしていたの。“発達障害”と言葉が独り歩きしてしまうから。その代わり“みんなと一緒にやることが苦手だったり、迷惑をおかけするかもしれませんが、ご理解いただけたら”と話すようにしていました。臨床心理士の先生と話し合ってそうしました」

Nさん 「そういう一言があるかないかで全然違うと思う。何も言わないと、乱暴な子とか自分勝手な子と問題児扱いされたりするかもしれないし。最初にことわっておくことで印象も変わるよね」

Fさん 「他の親御さんとスーパーとかで偶然会っても、みんな、子どものことを優しく気にかけてくれありがたい」

Nさん 「たとえば不登校で、昼間近所でふらふらしていても“あの子は学校に行っていない”と分かれば見守ってもらえたりする。地域のつながりは持っていたほうがいいよね」

Fさん 「自分の子どものことはある程度オープンにしていたほうが後々ラクだと思います」

Nさん 「子どもが生まれたときは“この子が健やかに育ってくれたらそれだけでいい”と思ったはずなのに、いつのまにか幸せの条件づけをしてしまうの。発達が早いとか遅いとか、周囲の価値観で子どもをがんじがらめにして、可能性を奪ってしまうこともあるかもしれない。中には学校にクレームを入れたり、子どもを変えようと必死になる親もいるけれど、親自身の考え方を変えるほうが早いし、子どもにとってプラスになると経験から学びました。字が書けないなら書かなくていい方法を考えてみるとか、そこに気づけるかどうかも大切だと思います」

 

 

(後半に続く)

 

 

取材・文/髙田翔子

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