“効くオールインワン”の先駆者としても知られる「幹細胞コスメ」。実際のところ、どんなものか分からないという人も多いのでは?そこで、内科医・皮膚科医の友利新さんに「幹細胞コスメ」について成分や働き、選ぶ際のポイントなど根掘り葉堀り聞いてきました!
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〝効くオールインワン〟の先駆者
「実のところ、何がいいの?」
今さら聞けない幹細胞コスメの話
〝幹細胞〟というのは、わかりやすく言うと〝何にでもなる細胞〟のこと。再生医療の分野では、治療したい部分に投与することで、修復・自己再生を可能としています。〝幹細胞コスメ〟と言うと、まるで幹細胞が入っているかのように聞こえますが、配合されているのは幹細胞を培養する液体から幹細胞を除いた上澄み液(幹細胞培養上清液)。もちろんDNAは一切入っていません。
幹細胞は培養する過程で、あらゆるシグナルを培養液に放出するのですが、大切なのはこのシグナル。簡単に言うと、培養液とは美肌になるためのシグナルが詰まったお出汁ということ。肌に塗ることで、衰えた機能を修復し、ダメージ修復、抗炎症、くすみ・シワ・たるみケアなど、多角的なエイジングサインへのアプローチが期待されています。
幹細胞には、人間由来のヒト幹細胞、豚や馬由来の動物幹細胞、植物由来の植物幹細胞があり、化粧品では主にヒト幹細胞培養液と植物幹細胞エキスが使われています。両方とも期待できる効果は同じですが、植物幹細胞は修復よりも抗酸化作用や保湿効果のほうが優れています。
また、一番注意しなくてはいけないのが、濃度。「原液100%ならよい」わけでは決してありません。というのも、培養液の割合は100%だったとしても、シグナルの濃度が薄い可能性が否めないから。ヒト幹細胞培養液という名前は成分表記に明記されていても、実はピンキリなのが実情なんです。では何で見極めればいいのか。こればかりは、私は「値段に比例する」と思います。ヒト幹細胞を培養するとなると、施設や技術の高さも相当なものになるので、自ずと値段も安くはできないのです。
逆に比較的手に入りやすい〝幹細胞コスメ〟とうたっているものは植物幹細胞と考えてよいでしょう(もちろんお高い希少な植物幹細胞エキスもありますが)。最近では幹細胞培養液からシグナルを一定量含んでいる〝エクソソーム〟を抽出&配合したスキンケアも発売され始めました。〝エクソソーム〟を配合していると言えるものは、シグナルの濃度基準をクリアしているので、選ぶポイントにしてもよいと思います。
何にせよ、スキンケアは毎日続けなければ意味がありません。期待する結果だけでなく、使い心地がいいものや無理なく続けられるもの、というスキンケア選びの基本をお忘れなく。
医師
友利 新先生
内科医・皮膚科医。医師という立場から美容と健康を医療として追求し、各メディアにて活動中。YouTubeも大人気で、読者からの信頼も厚い。
撮影/菊地泰久〈vale.〉 ヘア・メーク/林 由香里〈ROI〉 モデル/辻元 舞 スタイリング/坂野陽子〈f-me〉 取材・文/矢﨑 彩、髙丘美沙紀 編集/太田彩子、髙田彩葉
*VERY2021年12月号「【VERY BEAUTY】オールインワンコスメで「あ〜、よかった♡」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。