新型コロナウイルス感染拡大防止のため、多くの経済活動がストップしてしまいました。その家計的影響は、各人、各家族によってさまざまですが、VERYママたちも、先が見えず不安に感じた方もいらっしゃったようです。そこで今回は、コロナショックだけでなく、万が一のことが家族に起こった場合、妻として母として慌てない、〝家計意識の持ち方〟をファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんに聞いてみました!
Q1
二人目ができた後にコロナショックで収入減。貯金をしておけばなぁ。でもどのくらい貯めればいいの?
我が家は私がフリーランス、夫は会社員で4歳と0歳の子どもが2人。二人目が生まれたけど、夫婦二人合わせてだいたい1,200万は収入があるから、やっていけるかな?と思っていました。ところが今回のコロナでフリーの私は大幅に減収。夫婦のお財布はバラバラだから夫がいくら貯めているか知りません。貯金は大事だなぁと急に不安になりました。
A1
そもそも、共働きでも、家計として使える額は把握しておかないとダメです! 個々の収入や独身時代からの貯金額を公開し合えとは言いませんが、何も知らないと貯金はおろか、いざ何かが起きたときに「こんなはずじゃなかった……」ということが起きます。
コロナで収入が減ったとのことですが、何があるかわからない時代。究極、助けてくれるのは「貯金」と「保険」です。当座をしのぐために必要な生活費は「主な働き手が、傷病手当金や失業保険がある会社員の場合、最低、生活費3カ月分、できれば6カ月分。主な働き手が自営業ならば、最低6カ月分、できれば1年分」と言われています。
でもこれは一般的な平均値の話。VERY読者に多い30代だと、最近は共働き、フリーランスなど働き方も、住む場所も、お子さんの人数や習い事、休日の家族の過ごし方もライフプラン全般が本当に多様。だから1つの指標に当てはめるなんてナンセンスなんです。
そのために、私がぜひVERYママたちにやっておいてほしいのは、「夫とライフプランをしっかり話しておく」こと。10年、20年後、どんな生活をしたいか、どんな老後にしたいか。どこに住むか? 戸建、マンション、分譲、賃貸? 子どもは中学から私立? 車は? 旅行は? 一致しなくても夫の気持ちを知ることで、歩み寄りや覚悟もできます。「貯金」も、一般平均を目安に、多めに必要か、そんなにいらないなど心づもりや意識を変えることができると思います。
Q2
ちょっと余裕がなくなってきた我が家、学資保険を解約しようか悩み中です
子どもが生まれた時に、18歳で受け取る学資保険に入りました。でも、夫の会社の働き方改革で残業代が減り、少し余裕がなくなってきた我が家。貯金もしていることだし、学資保険は解約しようか……と悩んでいます。下にもあと2人いるし、先輩ママたちの話を聞くと、教育費って未知数すぎて不安でもあります。
A2.
まず、「教育資金」は聖域だと思って下さい。万が一の苦しいときには、家計の科目の境があやふやになりがちですが、「教育資金」だけは死守して! 学資保険の解約を検討されているとのことですが、学資保険は死亡保障にもなるし、途中で解約したら大きく損をするので、解約はオススメできません。余裕がないのであれば、まず無駄な出費がないか見直して。また大学までいかせるつもりなら、学資保険だけでは教育資金は絶対に足りません。その対策として私が推奨しているのが、毎月の給料から決まった額を教育資金用の別口座に移すこと。振替が手間な方は、毎月自動で他の銀行から定額を振り替えられるサービスがオススメ! また最近は1名義1口座しか作れない金融機関が多いのですが、1つの口座を目的別に複数分けられるサービスもありますよ。自動定額振替と目的別口座、両方を扱っている銀行なら住信SBIネット銀行などがありますね。
ちなみに、一般的に高校入学時に200万円、大学入学時にさらに300万円あると安心と言われていますが、私立なのか公立・国立なのか、はたまた医学部なのかによって全然違いますよね。ちなみに、私立小を希望するなら、年間約150万円かかります。また私立小受験に習い事で月5~10万円、中学受験準備には年間60~80万円かかると言われています。
もちろん、将来を決めるのは子ども。でも、どこまで出してあげるつもりかを夫婦で日頃から話し合っておくことが必要だと思います。子どもが15歳、18歳になるまでには家計に余裕がある時期も余裕がない時期もあると思いますが、おおよその目標額が見えていれば、平均して月間、もしくは年間でいくらくらい貯めればよいか意識できますよね。できるなら、児童手当は家計費に組み込まず、そのまま貯金することをお奨めします。
Q3
パートとしての安定収入は手放したくないけれど、今回のコロナのような有事のために「副業」として何かを始めるべきですか?
生花店で働いていますが、このコロナの影響でお店が時間短縮営業になってしまったので、まさかの収入が大幅減。同業でフリーランスで活動する友人は、イベントやお店の装花はストップしてしまったけれど、オンラインアレンジメント教室や通販で、乗り切っているよう。私も会社からのお給料以外に、収入を得る「副業」を始めるべきですか?
A3
2018年に政府の働き方改革の一環として、副業・兼業が事実上解禁となり、副業を認める企業も少しずつ増えています。今回のコロナ禍で収入に影響があって、「副収入があったらなぁ……」と思う方も多かったのかもしれませんし、「こういうときのために副業を!」と推奨する専門家もいるのかもしれません。
でも、ちょっと考えてみて下さい! 無理なく副業がまわってくれるならもちろん良いことですが、働いているママたちって、今だって時間も気持ちも余裕ないですよね!? それに副業が加わって、もし子どもとの時間やママが笑顔でいる時間が減ってしまったり、本業に支障が出てしまったら、なんだかそれは本末転倒な気がします。「副業」を保険的に考えるのは違うと思います。
でも、万が一のときに、何もないゼロベースから始めるよりも、日頃から自分の強みやこんなことなら副業にできるかも…とシミュレーションしておく、自分のペースで勉強を始めておく、というのは有効かもしれません。専業主婦やパートの就労時間が少ない方は、実際に少しずつ始めてみるのも手。
保険、という意味合いで考えるならば、雇用保険に加入している会社員やパートの場合は万が一働けなくなっても、傷病手当金や失業保険があるので、もらいながら次を考える時間があります。雇用保険未加入の場合はその時間はないので、日頃からしのげる貯金をしましょう。
Q4
家、車……など、〝所有しない〟方が身軽? ローンは極力組まない方が安全なのでしょうか?
マンションを購入しましたが、ご近所トラブルに耐えきれず、たった3年で引っ越すことに。購入価格と売却価格には思っていた以上の開きがあったので、ローンの残金を貯金と実家からの借金で精算。賃貸だったらもっと身軽だったのになぁ……と、それ以来、住宅も賃貸。そろそろ家も車もほしいのですが、ローンというもの自体に拒否感があります。
A4
ローンの是非は、キャッシュでは変えない価格の「家」と、貯金で対応できる車など「家以外」で考えるといいですね。家の場合は、ローンを組んで買った場合、亡くなっても遺族が返さなくても済む団体信用生命保険に加入できたり、もし住めなくなっても、他人に貸して収入を得ることもできる点で他と大きく違います。また、人生100年時代、老後の住まいとなる持ち家は、大きな安心につながりますね。もちろん、ご近所トラブルや大地震が来るリスクが不安な方は、賃貸の方が身軽なのかもしれません。これだけはどちらがいいとは一概には言えないんですよね。だからこそ夫婦で話し合っておくことが大切。万が一のことに捉われすぎて選ぶよりも、家が家族のベースになるものだから、どんな家でどんな生活を送りたいかのほうをメインに考えていいと思います。
家以外のローンは、生きていくことにマストな衣食住に関係ないものが多いと思うので、極力ない方が安全。どうしても組まざるを得ない場合は、できるだけ返済期間を短くする、また、万が一の時のこともイメージして契約を。特に金利などをよくみて、借りる手段を検討することも大切です。
鈴木さや子さん
2人の娘をもつママさんファイナンシャルプランナー。11年間の専業主婦を経てFP事務所「ライフヴェーラ」を開業。家族が笑顔になるための生活に役立つお金の知識を発信している。
VERY Academyに鈴木さんが出演!
今回取材にご協力いただいたファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんが、6月6日(土) 10:00am〜開催のTwitter LIVE、「VERY Academy」に出演します。VERY公式Twitterから、@very_webをフォローして、ぜひご視聴ください!
取材・文/嶺村真由子