ラジオやポッドキャスト番組でもおなじみのジェーン・スーさん。美容医療やダイエットに体当たりで挑戦した新刊エッセイも話題です。「若い頃よりも50代の今の自分が好きになった」と話すスーさんに、やってよかった美容や自分を変えるヒントを伺いました。
こちらの記事も読まれています
歯の食いしばり、眉間のシワ…気になる悩みが「美容医療」をはじめるきっかけに
──今月には待望の新刊が発売されました。スーさんが体当たりで取り組んだ美容医療やダイエットの結果も気になるエッセイですが、いろいろチャレンジしてみていかがでしたか?
あくまで自己満足! なのですが、すごく楽しいです。美容医療にそこまで関心がなかった私でも、歯の食いしばりが長年の悩みで……。エラボトックスがいいらしいと聞いたことがハマるきっかけになりました。打つだけでこんなに楽になるんだと驚いて、気になる眉間の表情ジワにもボトックスを打つように。その後は毛穴洗浄、脂肪溶解注射、リニアハイフといろいろ試しました。どう考えてもやりすぎ、なハリウッドセレブもたくさん見てきたので「美容医療にハマりすぎちゃったらどうしよう……」「誰か止めてくれるだろうか」なんて思っていたのですが、今のところそんな心配は無用でした。親しい友人たちにほとんど気づかれないんですよ……。それでも施術後に鏡を見て、「なんかちょっとスッキリした気がする」と思えるとやっぱり気分が上がります。何より自分がポジティブな気持ちになれるから続けています。
30、40代よりも、50代の自分のほうが好き
──新刊では、「30歳の頃も楽しかったけれど、今はそれよりも楽しい50代」というフレーズも印象的でした。
改めて自分の体に向き合い、ケアするようになってから、コンプレックスだった部分もひっくるめて「今の私、ちょっといいかも」と思えるようになりました。ここ最近、ボディ・ポジティブという言葉が浸透してきたのはよい傾向だと思っています。ただ、この歳となると「それ以前に、まず健康が大事」という実感もあります。自分にちょうどいい体型を見つけることは大事だし、ただ痩せてればいいっていうわけでは決してない。でも、50代にもなると過度の体重オーバーは血液検査の数値、ひざや腰にすぐ影響します。この先もなるべく健康でいたいからダイエットも試行錯誤しながら続けています。去年はちょうどテレビ出演が重なった時期に、えいやと頑張って8キロ減。いろいろなダイエットをしてきたけれど、地道なカロリー計算と運動が結局はいちばんでしたね。ウォーキングと食事管理をコツコツやりました。でも、それを維持できないのが私の弱点(笑)。引き続き試行錯誤を続けます。最近はお風呂上がりにボディケアも欠かさないようになりました。美容好きの人からみたらなんでもないことだと思いますが、こまめにクリームを塗るようにすると、あきらかに肌にハリやツヤが! ちょっとしたことの積み重ねで自分のことを好きになれるんだなと今さらながら実感しているところです。
自分で手をかけたぶん、好きになることって、ボディケア以外にもたくさんあります。私と同じようにプロレス観戦にハマっている友人が、あるとき台湾出身の選手のファンになったのです。推しが見つかった途端、都内の台湾料理を一軒一軒自分で調べて尋ねたり台湾旅行に行ったりと、とてつもない行動力を発揮しています。ひとつの興味をきっかけに世界を広げることが得意な女性は意外と多いと思います。世界を広げるのって、自分のことをもっと好きになれる行為だと思います。
憧れるのは、ピンと背筋の伸びた人
──スーさんご自身は、こんな女性になりたいと憧れる人はいますか?
年齢を重ねてから、ますます魅力が増していくような中尾ミエさんや草笛光子さんは素敵ですね。その佇まいや生き方にも惹かれます。中尾さんは現在79歳ですが、筋力がすごいです。(スマホで画像を見せながら)見てください、この背筋、びっくりしません? 92歳の草笛さんも背中がシャンと伸びていて、立っているだけで格好いい。体幹を鍛えていないとこんなふうに立てませんからね。何より素晴らしいのが、お二人とも肉体的にも精神的にも自分の力で立っている様子。もともとの美しさもさることながら、人柄や日々の努力の積み重ねが、姿勢や雰囲気ににじみ出ています。私もあんなふうになりたいと憧れるものの、股関節が固くなってきていると感じることが増えました。座り仕事が長く腸腰筋が伸びていないから、普段からちゃんとトレーニングしなきゃなと思っています。でも一方で、精神的には30代の頃よりもだいぶ自立はしているかなと感じます。30代といっても、前半と後半ではものの考え方がまったく違います。経験値が上がるだけで人って大きく変わるものです。今の時代、失敗しないように、レールから外れないようにと思ってしまう気持ちもわかります。でも、計画通りに物事が進むということは、自分の想像を超える出来事が何も起こらなかったということ。想定外を受け止めることが、人生を豊かに、その人をより魅力的にしていくのではないでしょうか。
PROFILE
ジェーン・スーさん
1973 年、東京生まれ。コラムニスト、ラジオパーソナリティ。TBS ラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」、ポッドキャスト番組「ジェーン・スーと堀井美香の『OVER THE SUN』」、「となりの雑談」のMCを務める。2015 年、『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)で、第31 回講談社エッセイ賞を受賞。『生きるとか死ぬとか父親とか』(新潮文庫)、『ひとまず上出来』(文春文庫)、『きれいになりたい気がしてきた』(光文社)、『へこたれてなんかいられない』(中央公論新社)、『介護未満の父に起きたこと』(新潮新書)など著書多数。
『ねえ、ろうそく多すぎて誕生日ケーキ燃えてるんだけど』(光文社)
「加齢も見た目も思ってるほど悪くない」。自己受容のヒント満載なエッセイ。

取材・文/樋口可奈子 撮影/はぎひさこ ヘア・メーク/藤原リカ(Three PEACE) スタイリング/近藤和貴子
カーディガン¥51,700〈ソブ〉シャツ¥35,200〈ダブルスタンダードクロージング〉(ともにフィルム)パンツ¥15,400(ノーク)ピアス¥27,500リング¥57,200リング¥81,400(すべてアガット)バングル¥33,000(ヴァンドームブティック/ヴァンドームブティック 大丸東京店)ローファー¥27,940(ランバン オンブルー/モーダ・クレア)ソックスご本人私物
あわせて読みたい
▶ジェーン・スーさん「揺れ動くのはマジで意味がない」30代の幸福論
▶テレ東勤務の育児漫画家・真船佳奈さん「VERYママよ、今こそ自意識過剰をぶっ壊せ!」
▶今年後半、幸運を呼ぶ「財布」の最強カラーは?【ミウマさんの占いSPECIAL】











