一昨年、子育ての拠点を生まれ故郷の静岡に移した原田夏希さん。3人の育児をする中、ときに情報や選択肢の多さに翻弄されることが多かった都心での生活を経て、“もう少しシンプルに暮らしてみたい”と移住を決意。今回はそんな自分の歩幅で子育てを楽しむ夏希さんに会いに行きました。
地元静岡で子育ての“棚卸し”
原田夏希さん、
3きょうだいママの新生活
静岡↔東京での2拠点生活をスタートしました!
スウェット¥28,600スウェットパンツ¥25,300(ともにカオス/Chaos GINZA SIX)ブーツ¥28,600(ダイアナ/ダイアナ 銀座本店)バッグ、ピアス本人私物
“15年間”の期限付きで
自分が生まれ育った地元に
家族で移住しました
静岡に子育ての拠点を移して2年。週末は家族で山や川に行って自然と触れ合い、平日も子どもたちを送った後に読書したり、お迎え後に近所のおでん屋さんに寄り道したり…自分らしいペースで子育てを楽しめているなと感じます。何でも揃う東京は便利で快適だったし、子育ての選択肢や可能性も大きく広がっているように感じられたけど、今思うと日々たくさんの情報に触れ、振り回されてしまうことも多かった。でも子どもが3人になり、この先の子育てについて漠然と考え始めたあるとき、ふと思ったんです。3人の母として、朝は子どもたちを送り出す準備に追われ、また子どもたちが帰ってきた夕方以降は夕飯を準備して食べさせてお風呂に入れて寝かせて…都心にいても夜に出歩くことはまずなかったし、今のこのルーティンは多分私が世界中のどこにいたとしても変わらない(笑)。だったら東京という土地にこだわらなくてもいいのかも、と。必要があればどうにか通えない距離ではないし、夫から「自分が生まれ育った環境なら、もっと子育てにもシンプルに向き合えるんじゃない?」と後押しされたこともあり、末っ子が18歳になるまでの15年間は、静岡を拠点に子育てすることを夫婦で決めました。移住してきた当初は、2歳の末っ子をそれまでのように預けられる一時保育もなかったため戸惑いもありましたが、上2人の経験からこの時期が過ぎるのはあっという間ということもわかっていたので、「今は末っ子との濃密な時間を過ごそう!」と決めました。


ご当地“黒はんぺん”は青春の味♡
ニット¥41,800 ※メンズ(イレーヴ)Tシャツ¥9,680(スローン/ザ ショップ スローン 新静岡セノバ店)デニム¥31,900(ヤヌーク/カイタックインターナショナル)バッグ、ピアス/本人私物
Data

大やきいも
静岡市葵区東草深町5-12 ☎054-245-8862
定休日/月曜、火曜(不定休あり)
営業時間/10:30〜16:30
明治時代創業、ノスタルジックな魅力溢れる静岡おでんの老舗。
子育ても働き方も
夫婦の2人時間も
新しい形に進化して
子どもの順応力は本当にすごくて、娘たちは豊かな自然の中の暮らしにすぐに馴染み、虫を捕まえたりみかん狩りをしたり、のびのび成長しています。移住を機に、夫も働き方を大きくシフト。平日の月〜木曜は勤務先の千葉で働き、木曜の夜に静岡へ帰宅、金〜日曜の3日間は家族時間を過ごすように。平日の大半は私のワンオペですが、ときどき実家の助けも借りながらマイペースに育児しています。夫が家族と過ごす時間が結果的には増えたのも大きな変化。金曜は子どもたちを送った後は2人でランチをしたり、私の同級生が主宰する生け花教室に通ったりと新しい夫婦時間も生まれました(笑)。そんな静岡の暮らしにとても満足していますが、東京でしか手に入らないものや環境ももちろんあって。移住後も月1で通い続ける子どもたちの絵画教室や、長年お世話になっているヘアサロン、今やライフワークにもなりつつある味噌づくり教室など、必要に応じて2拠点を行き来するライフスタイルが今の自分たちには心地よく、また家族にとって本当に大切なものの解像度が上がったような気がしています。


送迎も東京との往復も相棒はアルファード!
カーディガン¥45,100(カオス/Chaos GINZA SIX)カットソー¥18,700(スリードッツ/スリードッツ表参道店)レギンス¥19,800バッグ¥16,500(ともにSEA/エスストア)ソックス¥3,520(トウキョウ ウィークリー ジャーナル/バロックジャパンリミテッド)ブーツ¥28,600(ダイアナ/ダイアナ 銀座本店)サングラス¥50,600(アイヴァン/アイヴァン 東京ギャラリー)ピアス/本人私物
※車を安全な場所に停車して撮影しています
学びや仕事の拠点は
一つじゃなくていいと
本質的に感じてほしい
子どもたちには2拠点生活を経験することで、将来場所に縛られることなく、どこでもやっていけるんだよ、ということを本質的に感じてほしい。学びや仕事の拠点の間口を広げてあげられたらと思っています。18歳で静岡を出て、二度と戻らないと思っていた故郷に家族でUターンなんて自分でも思ってもみなかった展開だったけど、小さな頃見ていた景色を大人になり母の視点で見るとまた違って見えて、何だか2度目の青春を過ごしているような気分で(笑)。新しい発見も多くて、ファッションも、今までで一番カジュアルが楽しい! 3きょうだいと一緒に私も多くのことを感じ、学ぶ毎日です。
移住を後押ししたパパからの言葉
“子どもも親も余白を持つことで家族の時間がもっと豊かに”-by夫
「選択肢の多い東京での子育てはときに親として悩みすぎてしまい、他人との比較や、大人の価値観を押し付けてしまう側面もあると感じていました。『子ども自身が子どもらしく感じ選び取る体験』が叶う環境を求め、夫婦で移住を決意。空間的にも時間的にも余白が生まれたことで、子どもがのびのび育つだけでなく、親も気持ちに余裕が持てるようになった気がします。妻は常に『子どもの成長と幸せ』を軸に物事を考えてくれる人。母として子どもの変化に気づき、環境を整えてくれるおかげで、自分自身も仕事に専念してこられたし、新しい2拠点のライフスタイルにチャレンジできたと感謝しています!」
愛機“GRⅢx”で切り取る
夏希さんの新生活
家族のイベントやふとした子どもたちの表情、日々の献立、最近読んだ本…、普段の何気ないシーンを大切に残したくて、〈GR IIIx〉のデジカメを入手!スマホでさっと撮るより気持ちがこもって、現像するのも楽しみに。カメラはまだまだ勉強中ですが、いつも持ち歩いて家族の日常を切り取っています。
1.子どもたち3人と夫、私の名前をアラビア語でデザインしたゴールドのネックレスとピアス。ピアスはキャッチ部分に子どもの名前を、家族が増えるたびに名前を足してカスタムした思い入れもひとしおのジュエリー。
2.車で徒歩で、生活圏内がぐっとコンパクトな静岡ではハンズフリーのサコッシュや斜めがけが相棒。トポロジーのサコッシュとビーズで編んだハートのポシェットを愛用しています。
3.幼稚園の送迎から戻ったら読書時間、がルーティン。「月6冊」を目標に、宮本輝や吉本ばななの小説から教育本、『ブッダの言葉』まであらゆるジャンルを読んでいます。
4.子どもたちも喜ぶ、竹ざるワンプレートの晩ご飯。ちょこちょこ盛り付けるだけで見栄えがよく、片付けもカンタン!
5.学生の頃、足繁く通った静岡おでんの名店「大やきいも」の大学芋。素朴な味わいで子どもたちも大好物、お土産に買って帰ると喜ばれます。
6.一昨年に経験して以来、すっかりハマってしまった味噌づくり。杉の桶で丁寧に発酵させたお味噌は市販のものとはまったく違って味わい深く、もうこれ以外は食べられないほど!
7.今年の私の誕生日は家族で都内に中華を食べに行きお祝いしてもらいました。
8.Uber Eatsなどのフードデリバリーが少ない静岡ではスーパー通いが日課。そんな私をアシストしてくれるのが便利家電。スープが簡単に作れる自動調理ポットや、揚げ物がラクにできるノンフライヤーが頼りになります。
9.学生時代の友人が生け花の先生をしていて、地元に帰ってからは定期的にお稽古に通っています。たまに夫と2人で行ったりしますが、多分夫の方がセンスあり(笑)!
10.足元もカジュアル化が加速。雨の日が多いので気分が上がるシャネルのレインブーツや、アクティブシーンが増えて買い足したasicsのハイテクスニーカー、ザ・ノース・フェイスの登山靴は娘の園行事に合わせて。
11.休みの日はすぐ近くの川にみんなで。水の中の生き物に子どもたちは興味津々。親子の有意義な時間です。
カメラ〈RICOH GR III〉¥139,800(RICOH GR/リコーイメージングお客様相談センター)※現在は生産終了
Profile

原田夏希さん
俳優。VERYモデル。誌面はもちろん、ドラマなど多くのメディアで活躍。8歳、6歳の女の子、3歳の男の子ママ。一昨年始めた味噌づくりは講師を務めるなど今やライフワークに。
撮影/川﨑一貴〈ajoite〉(人物)、西原秀岳〈TENT〉(静物) ヘア・メイク/只友謙也〈Lynx〉 スタイリング補助/柴田真帆 取材・文/北山えいみ 編集/引田沙羅
*VERY2025年11月号「猫被りコンサバ派に捧ぐ「本気買い」List」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のもので、変更になっている場合や商品は販売終了している場合がございます。
*掲載のシャネル製品は私物につき、店舗へのお問い合わせはご遠慮ください。











