VERY July 2024

VERY

July 2024

2024年6月7日発売

930円(税込)

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亜希さん「離婚後、ちゃんとした親でなければと縛られなくなりました」

いつも自然体で明るい笑顔が魅力的な亜希さん。野球好きの二人の息子を育て上げたパワフルなお母さんである亜希さんの30代は、結婚、母との死別、出産など、「人生で最も忙しい時期」だったそうです。新しい家族の形、そしてお子さんの自立を迎えた今の心境について伺いました。

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【画像集】息子たちも成長して…亜希さんの今の表情

子どもたちの成長が「家族の形」を変えてくれた

──VERYの読者の多くは30歳前後で、育児中心の生活を送っているという世代です。亜希さんの30代はどんな時期でしたか?

30代は結婚と同時に環境もがらりと変わり、自分の人生の新しいページを開いたような感覚がありました。同時に、これまでの人生で最も忙しい時期でもありました。長男を出産したのは33歳のとき。その2カ月前に、シングルマザーとして私と兄を一人で育ててくれた母が亡くなりました。妊娠中のお腹の大きい時期に葬儀をしたんです。人生のなかであれよりもしんどいことは、なかったです。いちばん大切な人を亡くした瞬間にかけがえのない存在が生まれてくる。生と死という両極端の出来事が一気に訪れ、命に向き合った複雑な時間でした。母の死は本当に辛かったけれど、長男の誕生によって喪失から救われたような気がします。

 

──その後、36歳で第二子を出産。2人のお子さんの母親として、忙しい日々を過ごされていたかと思います。時間がない中で、どうやってリフレッシュをされていましたか?

私にとっての気晴らしはやっぱり料理かな。旅行から帰ってくると、家族みんな疲れてソファに寝転んでいるけれど、私はすぐキッチンに立っていました。私の場合は疲れたときも台所に直行するほうが気持ちがスッキリするんです。家のなかで過ごしていても、音楽を聴くとか植物を育てるといったことはできなかったのに料理は「やらなくては」と思わなくても体が動くんです。日常生活こそが、自分をフラットに戻す鍵だったのかもしれません。

──一時は交流が途絶えた元夫とお子さんたちとの家族ショットを公開したことも、大きな話題を呼びました。

家族の形は人に指図されて決めるものではないはず。私たち家族が納得できていればいいと思っています。子どもたちは今年22歳と19歳になりますが、彼らの成長が家族の形を確実に変えてくれました。元夫と再び交流するようになったのも次男からの「お父さんに野球を教えてもらいたい」という言葉がきっかけでした。子どもたちが小さいころは母である私が言うことがすべて。言うことを聞かないときは「あんたたち、ちょっと黙ってなさい!」と一喝するなど、今思えばまるで鬼軍曹みたいな母親でした。当時はそうするしかないと思っていたけれど、いつの間にか、私よりも子どもたちのほうが物事をよりフラットに見ていることに気づいたんです。離婚後、一時は元夫の顔も見たくない、名前を聞くことすら嫌だという時期がありました。でも、子どもたちの成長によって考え方や価値観がブラッシュアップされているような感覚があり、頑なだった私の心にも変化が。いつの間にか再び交流する今の形になりました。なんだか息子たちの手のひらで転がされているような感じもしますが、今はそれがありがたいです。

 

シングルになって気づいた「子どもの目線」

──お子さんは二人ともスポーツで活躍されています。小さいころは「勉強しなさい」「練習しなさい」といった声がけをしていましたか?

子どもたちが小さいころは、「〜しなさい」とばかり言っていました。ほかには「するよね?」「なんで〜しないの?」というパターンも。息子が起きた瞬間から「なんでもっと早く起きられないの?」と詰問していたことも (笑)。思えば、その子の個性を伸ばすよりも、規律を守る子、人に迷惑をかけない子に育ってほしいと気負っていたのかもしれません。私自身も周りからどう見られるかを気にして、「親として常にきちんとしなければ」と考えていました。

 

──その気負いのようなものがなくなったのは、いつごろからでしょうか。

離婚して一人になったときに、「私は何役にもなれる」とふと感じました。お母さんであることはもちろん、あるときは息子たちの先生役にも友だち役にもなれる。これまでは常に上から目線だったのに、急に子どもと同じ目線に立って物事を見られるようになった気がしました。あんなにたくさん「〜しなさい」なんてガミガミ言ってしまったけれど、そんなふうに親から厳しく言われて喜ぶ子はいないと今は思っています。たまたま先に生まれてきただけで、親も子どもも同じ人間です。できなくて当たり前のことを「なんでできないの」と責めるのは、相手を傷つけるだけだったかなと思います。時間が経てば経つほど、「もっとおおらかに子育てすればよかった」と反省しますが、それがなかなかできないのが子育て真っ最中の難しさですよね。

 

──亜希さんの書籍やInstagramなどから、お子さんとの仲がとても良好なことが伝わってきます。息子さんの反抗期などで悩まれたことはあったのでしょうか。

幼いころより言葉数が少ないと感じる時期はありましたが、反抗期はほとんどなくて。そういうものかなと思っていました。2人とも高校生になったあたりからグッと大人びて、自分の意見を言えるようになりました。最近は友だち同士のような会話も増えてきて、長男に「このパンツを穿くなら、上に何を合わせたらいい?」とファッションのアドバイスを求められることも。「あの子のことが気になるんだ」なんて恋バナをされることもありました。かなりオープンな親子関係ですが、それが我が家流。子どもたちにも「うちは変な家族でいい」と伝えていますし、2人とも「うちはちょっと変」って思っているはず。親である私もこんな感じだし(笑)。でも、私たちの好きな形を貫こうと思っています。

 

自然に迎えた「巣立ちのとき」これからの人生に思い描くこと

──上のお子さんは家を離れて大学で寮生活を送っています。巣立ちの瞬間にはどんなことを思いましたか

「あ、もう行っちゃうんだ」って。子離れのタイミングについてあれこれ想像していたのですが、思ったよりあっさり自然に巣立っていきました。今日何食べたかとかどんな顔色をしているかとか、いつも見ていたものが見えなくなる。今まで気にしすぎていたことを考えなくてもよくなったことに、寂しさよりもラクさを感じました。こうやって親子ってうまく離れていくんですね。いつまでも家にいられてたら、ちょっと危険なくらいベタベタしちゃっていたかもしれない(笑)。

 

──次は下のお子さんの番ですね。

下の子が家を出たら、いよいよ一人ですね。長男のときと同様に意外なほど寂しい気持ちはないのですが、「これから何をしよう」と、うっすら先のことを考えるようになりました。あの雑誌に出たいとかあの番組に出たい、という表に出る願望ではなく、裏方のような形で誰かの役に立てるようなことをやってみたい。昔から「いつかご飯屋さんができたら」と思っていたのですが、子育て中は夕飯の支度や寝かしつけがあるので、あきらめていました。でも子どもが巣立てば誰の予定を気にすることもなくなります。今ならやれるのでは? と思っているんです。特に具体的な計画があるわけではないけれど、こうやって発信することでアンテナが立ってきっかけになるかもしれない。これからも「やりたいこと」など願望はどんどん口にしていきたいです。

PROFILE
亜希(あき)
1969年、福井県生まれ。2019年にモデル業を引退。現在はアパレルブランド「AK+1」のディレクターを務めながら、テレビのコメンテーターや料理家として活躍。大学生と高校生の息子を育てている。食べざかりの息子たちに作る豪快な料理や、明るく飾らない人柄が、幅広い世代に人気。日テレ系の情報番組「DayDay.」にて木曜レギュラー(隔週)として活躍中。YouTube「亜希の母ちゃん食堂」配信中。オンラインサロン「まどい家の人々」も好評。著書に『亜希のことば 私を笑顔にしてくれるヒト・コト・モノ』(講談社)、『家 ごはんと野球』(CCCメディアハウス)ほか。

『亜希の「ふたが閉まるのか?」弁当 ~母ちゃんと息子2人、笑いと涙の18年の弁当記録~』
(オレンジページ)

今話題の亜希さん、待望の初弁当レシピ&エッセイ。テレビや雑誌で活躍中の亜希さん。じつは18年にわたり、野球に励む2人の息子さんに豪快弁当を作りつづけてきました。おいしさもボリュームも規格外のレシピは、見るだけでおなかがすいて元気になれるはず! 充実のエッセイ&コラムも必読です。

取材・文/樋口可奈子 撮影/秋山博紀

ワンピース、ニット(エーケー ワン/ビームス、ゴールドカラーネックレス ※二連のうち1本着用 ¥17,600、シルバーカラーネックレス¥62,700(ともにMARIHA)

【衣装お問合わせ先】
ビームス
MARIHA 03-6459-2572

 

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