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夫への要求を『オブラートに包む』って本当に必要?【家事育児のモヤモヤ解消】

※このコラムはVERY2023年8月号(2023年7月7日発売)に掲載されたものです。

先日、初めて国会に行ってきました。この連載を国会議員の方が読んでくださっていたことがきっかけで、性犯罪の法律改正にあたっての衆議院法務委員会に参考人として呼ばれたんです。性犯罪の規定を見直す刑法の改正案が審議されていたタイミングで、何か良い影響があるならぜひということでお引き受けして、発言をし質問に答えてきました。さまざまな場で、性的同意や性交同意年齢の話をし続けてきて本当によかった! 今まで性犯罪の立証には、暴行・脅迫されたりしてそれに抵抗したことの証明が必要だったのですが、それが変わり、抵抗できなくても「不同意」であれば犯罪になります。もうVERYでは何度も話題にしている「NO MEANS NOは一昔前だよ。今はYESのみがYES! NOと言えない人がいるんです!」という話をするのが今回の目的。

参考人としての発言は15分以内と持ち時間が決まっていたので、何日もかけて推敲しました。気をつけたのは、できるだけエビデンスを入れること、柔らかいトーンで話すこと。「苦い薬をオブラートで包んで飲みやすくするのと同じで、受け入れられるようソフトにね」という姉の助言があったからです。タレント・SHELLYがするように時々いじって笑いをとりにいったりも。ボケるかどうかは当日様子を見て決めようと思っていましたが、思いのほか温かい雰囲気だったので、思い切ってボケました(笑ってもらえてよかった)。あの場にいた多くが男性だったので、男性・女性の対立のようにしたくなかったから、(被害者は圧倒的に女性ではありますが)あえて被害者・加害者という言い方にしたりしてみました。発表後は想像以上にたくさん質問をいただき、女性としての想いもたくさん述べることができました! ちなみに当日は、エンフォルドの一張羅的オールインワンに、前々日に焦って買いに走ったH&Mのピンクジャケットという格好。いい経験ができましたし、また議論が前進してくれたらいいなと思います。VERYのWEB記事から動画もぜひチェックしてください!

と、お話ししていてふと気づいたのですが、この「オブラートに包む」やり方というのは、社会において女性側に求められることが多かったのかもしれませんよね。これまで家庭内での家事や育児などの大変さを「オブラートに包んで」、女性が大丈夫なふりをしたり、周囲に合わせてカモフラージュしたり。男性に家事を〝お願い〟するためにストレートに言わず柔らかく伝えてみて、なんていう女性への助言もよくあります。オブラートに私たちは一体何を包んでいるのでしょう。もしかして本当の私たち自身かもしれません。意外かもしれませんが、私自身誰かの代わりに怒るのは得意だけど、自分のこととなると話は別。セラピーで、「身近な人に自分の意見を言って場を気まずくさせるのが、とても苦手な人ですね」と言われたこともあります、こんな私でも、です。国会での姉の「柔らかく伝えなさい」という助言は、新しい法案についての意見が受け入れられるための現実的な方法でした。でもパートナーに対しては、必ずしも私のようにオブラートに包むのが正解だとは思いません。夫婦は対等な立場だから、時にはストレートに伝えていくことも必要なはず。

例えばいつまでも育児用品の使い方や保育園の持ち物を覚えないなら、はっきり伝えていいと思う。ずっと聞かれ続けたら「育児は自分がやるべきものなの?」と辛くなるのは当たり前だと思う。一回やってみて、自分がしたように一回調べてから聞いて欲しいじゃないですか。このことは今よくアメリカでも言われていることで、たとえば黒人差別について(白人が)黒人の方に「何が問題だと思う?」と聞くことは、一見意識が高いように見えるけど、聞かれている方からすれば100回同じことをもう答えていて、それくらい自分で調べてよと思うわけです。聞かれるたび疎外感や差別、マイクロアグレッション(マイノリティ属性の人に対して、あからさまな敵意や悪意はないように見えるがネガティブな評価を与え、傷つける行為。『ハーフでかわいくていいね』『女性なのに社長ですごい』など)を感じるということについて、最近よく言われます。育児のやり方を妻に聞き続けるのは、夫がマイクロアグレッションをしているということ。それでもやもやとしたり傷つく気持ちは、もうオブラートに包まなくていいんじゃないかな、と思います。

◉SHELLY|シェリー
1984年生まれ、神奈川県出身。14歳でモデルとしてデビュー以後、タレント、MCとして幅広く活躍。7歳と5歳と0歳の娘の母。

長女は三女を抱っこするのにすっかり慣れました。これはバーベキューした時の写真。周囲にびっくりされています!

撮影:須藤敬一 取材・文:有馬美穂 編集:羽城麻子
*VERY2023年8月号「シェリーの「これってママギャップ?」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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